憂愁平野

ゆうしゅうへいや|----|----

憂愁平野

レビューの数

7

平均評点

60.8(20人)

観たひと

35

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 文芸
製作国 日本
製作年 1963
公開年月日 1963/1/15
上映時間 113分
製作会社 東京映画
配給 東宝
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督豊田四郎 
脚色八住利雄 
原作井上靖 
製作佐藤一郎 
金原文雄 
撮影岡崎宏三 
美術伊藤熹朔 
音楽団伊玖磨 
録音長岡憲治 
西尾昇 
照明榊原庸介 
スチル橋山愈 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演森繁久彌 納所賢行
山本富士子 納所亜紀
新珠三千代 時津美沙子
浪花千栄子 時津節子
仲代達矢 巽魚次郎
長門裕之 乙枝虎夫
大空真弓 江能信子
乙羽信子 大黒さん
久里千春 女中朗子
若宮忠三郎 ホテルのボーイ
桜井浩子 納所商事女事務員
中谷一郎 木次茂夫

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

週刊朝日連載・井上靖の同名の原作を「忠臣蔵 花の巻・雪の巻」の八住利維が脚色、「如何なる星の下に」の豊田四郎が監督した文芸もの。撮影は「喜劇 駅前温泉」の岡崎宏三。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

何不自由のない妻の座が急に空虚に感じられた時、亜紀はフト夫の賢行が自分の全く知らない生活を持っているのではないかと思った。早速、亜紀は夫のいる軽井沢へ出掛けた。が、夫はゴルフに疲れて寝ていただけだった。その帰途、亜紀は乙枝と信子という若者に逢い信子を乗せて帰った。一方、賢行は偶然にも亡くなった白友の妹、時津美沙子にに会った。賢行は美しく成長した美沙子に女を感じ、美沙子は賢行をいつしか男性の理想として見るようになっていた。こうした二人の感情を何も知らない亜紀は、ホテルのロビーに賢行を尋ねて来た美沙子に逢い本能的に反発していた。ある日、街角で乙枝とバッタリ逢った亜紀は、彼の友人である彫刻家、巽魚次郎を紹介された。そして、巽と美沙子が遠縁に当ることを知った。亜紀は夫と全く違ったタイプの巽に次第に魅かれて行った。そして、二人で古木を見て回ったり彫刻展へ行ったりした。ある晩、美沙子と賢行はゴルフ練習場のグリルで逢った。そこで美沙子は今まで抱き続けて来た気持を語り、「あなたの子供が欲しい……」と美沙子は泣きくずれるのだった。賢行は家へ帰らないという美沙子を伴い軽井沢で二人の一夜を過した。一方、亜紀は巽の胸に顔を埋めていた。その時、巽の「今、御主人は何処にいるのですか」という言葉に、一瞬亜紀は賢行と美沙子が軽井沢のホテルに同宿している、と思った。亜紀は軽井沢へ行った。と、そこでばったり巽と顔を合わせ、美沙子が恵那へ帰ったことを知った。亜紀は思った。過ぎ去ってしまえば自分も賢行も美沙子を忘れるだろう……。そして、何不自由のない家庭の妻として一生賢行を愛し続けるだろう……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1963年2月下旬号

日本映画批評:憂愁平野

日本映画紹介:憂愁平野

1963年1月下旬正月特別号

特別グラビア:「憂愁平野」の豊田組

新作グラビア:憂愁平野

1962年11月上旬号

シナリオ:憂愁平野 東京映画

2023/05/22

2023/05/27

60点

映画館/東京都/神保町シアター 


二枚目森繁をめぐる山本富士子VS新珠三千代

井上靖の原作は未読。2度目だったのに、すっかり忘れていた。兄の親友である森繁に対して受胎告知願望を持つ新珠三千代がクレイジー過ぎて怖い。森繁の妻山本富士子も、「夫が浮気しているのでは?」と東京から軽井沢まで車を飛ばして朝イチで夫を訪ねるのも、これまた怖い。山本と新珠が会うシーンは、いずれもおどろおどろしくて、まさに「対決」。森繁と何も起きていない段階での新珠の狼狽ぶりは、病的。一方、山本に抱きつかれても「奥さん、芝居はやめてください」と突き放し、新珠一筋の仲代達矢は、いい人過ぎ。ラストの車の窓越しの会話は、「浮気された者」同士の慰め合いか。車が逆向きなのは、2人は行く道は違うという意味か。何とも摩訶不思議な珍作。監督豊田四郎、主演山本、共演森繁は、先日「生誕110年 森繁久彌~国民的名優“モリシゲ”の泣き笑い人生譚」の特集で観た「如何なる星の下に」と同じトリオ。

2023/05/24

2023/05/24

65点

映画館/東京都/神保町シアター 


山本富士子さん

山本富士子さんの最後の映画出演作。山本さん、それにしても美しいですね。

2023/05/20

2023/05/21

-点

映画館/東京都/神保町シアター 

『憂愁平野』。山本富士子が大映から出張出演。森繁久彌の奥さん役。♫黄金虫は酒飲みだ〜、ビールセーキ(黄身と黒ビールを混ぜ混ぜ)を飲む森繁。有楽座前、日比谷公園、赤坂プリンスホテルなどでロケーション。美沙子(新珠三千代)が落としたらしいトルコ石の首飾りは結局どうなったんだろう。

2021/04/16

70点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


まるでダグラス・サークとラッセル・メティのよう

監督ダグラス・サーク、撮影ラッセル・メティの鮮やかなメロドラマの色彩感覚を、まさか豊田四郎と岡崎宏三コンビもやっていたとは思わなかった。ただし、この明暗のハッキリしたキツい色彩は、50年代のアメリカ中流階級の見てくれを描くの絶品の演出だったが、山本富士子と新珠三千代の森繁久彌をめぐる色恋話には適していないように思う。

冒頭の赤の印象が強いが、山本富士子はそんな赤く燃えるような熱をもってはいない。それは新珠三千代のトルコ石の青さにしても同様で、そもそもドラマ性が希薄なのだ。どっちつかずの森繁久彌が女優ふたりの奪い合う対象でしかなく、仲代達矢、長門裕之との関係もドラマにまで昇華しない。それがあの正反対の道をゆく車越しの握手である。結局、山本富士子と森繁久彌は元の鞘に戻り、新珠三千代は仲代達矢とどうなるのか。頭では分かるが感情的にピンとこない。思えば色彩の感覚から、私が勝手にダグラス・サーク的なメロドラマを連想しつつ映画を観ていたのかもしれない。豊田四郎もこんな映画を撮っていたのか。

2016/12/15

2016/12/25

60点

映画館/東京都/新文芸坐 


山本富士子VS新珠三千代

森繁久弥を取り合う天下の美女対決なのだが、情熱を超越した新珠の狂女ぶりが見所。いくら美人でもこんな女性に惚れられたら男は恐怖だと思うのだが、森繁が平然と相手をしているのが不思議。森繁の二枚目役ラストの仲代達矢と山本の車の窓越しの会話も不思議。田舎の誰も通らない道なのだから普通は車を降りて話をすると思うのだが。原作は井上靖。「あすなろ物語」や「天平の甍」など国民的大作家というイメージがあるが、本作や「氷壁」など風俗小説の作家という一面もある。【文芸映画の巨匠 豊田四郎 生誕111年祭:併映「千曲川絶唱」】

2009/10/13

2015/06/23

30点

映画館/東京都/新文芸坐 


著名な監督作品はすべて素晴らしいという誤解

こんな非生産的で、明日への希望も何もない作品を、何人かの大物俳優を使っただけで(たまたまか、山本富士子の最終映画出演作になった)文芸大作と惹句をつける映画界に驚きを覚える。
それと、一番気になったのは会話において、通常ならば「はい、☓☓☓」と返辞するところを、「いいえ、☓☓☓」と否定語で返辞させるのが耳につき、豊田の演出らしいが、役柄の高慢さが強調されただけで、人物に対しての思い入れは全く生じない。