旗本退屈男 謎の竜神岬

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旗本退屈男 謎の竜神岬

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レビューの数

3

平均評点

57.8(8人)

観たひと

15

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1963
公開年月日 1963/1/9
上映時間 88分
製作会社 東映京都
配給 東映
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督佐々木康 
脚色結束信二 
原作佐々木味津三 
企画田口直也 
新海竹介 
撮影松井鴻 
美術鈴木重平 
音楽山田栄一 
録音中山茂二 
照明増田悦章 
編集宮本信太郎 
スチル熊田陽光 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演市川右太衛門 早乙女主水之介
里見浩太朗 若十
桜町弘子 菊丸
八代万智子 朝乃
北条きく子 みゆき
堺駿二 喜内
清川虹子 おとら
星十郎 伝吉
上田吉二郎 鍵屋十左
平参平 久兵衛
河村満和 赤塚作兵衛
堀正夫 遠藤修理
関根永二郎 瀬川采女
那須伸太朗 三谷勘左衛門
津村礼司 安南権兵衛
鈴木金哉 張竜伯
小田部通麿 小岩井周蔵
丘郁夫 桜井邸若侍
村居京之輔 漆原祐軒
和崎隆太郎 大橋左内
長田健二 島一平
有馬宏治 丸木屋仁左衛門
沢村精四郎 黒田忠継
阿部九洲男 伊藤郡兵衛
山形勲 桜井兵部太夫
東千代之介 早川左馬之助
美空ひばり 季芳蘭

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

昭和五年「旗本退屈男」(原作・佐々木味津三、脚本・監督・古海卓二、共演・大江美智子、小夜文子)に始った市川右太衛門のこのシリーズは「旗本退屈男 謎の竜神岬」で三十本めである。佐々木味津三原作を「血文字屋敷」の結束信二が脚色、「お坊主天狗」の佐々木康が監督、撮影は「血文字屋敷」の松井鴻。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

玄海灘の怒涛に臨む竜神岬は、天刑病舎があるため世人が恐れ近づがぬ謎の岬だった。ある夜、この岬から医師祐軒と大橋が逃亡を企て、重傷を負った大橋は祐軒の家にたどり着いて息絶えた。祐軒の娘みゆきは父の身を案じて岬へ向ったが覆面の一団に襲われた。危機を救ったのは折よく来合わせた早乙女主水之介の諸羽流青眼崩し。主水之介は黒田藩に武器弾薬などの禁制品密輸入の疑いありとして、探りに来たのだ。父の安否を尋ねて家老桜井兵部太夫を訪れたみゆきは、意外にも監禁され、隙をみて抜け出したところを目付役早川左馬助に助けられた。助手である網元の若主人若十と連れだって岬にやって来た主水之介は、強引に病舎を案内させ何事かを掴んだ。折から満月の夜が訪れ、主水之介は桜井が竜神岬に出かけたとの注進を受けて駆けつけた。潮が満ちて日頃海面の上にある洞窟が格好の水路となり、華麗な地下の大広間に次々と密輸品が運びこまれていた。洞窟に忍び入った主水之介は、芳蘭と名乗る不思議な女に会った。先代黒田侯と恋仲だった彼女は兵部太夫の策略により侯が命を絶つと、その復讐だけを生き甲斐に機をうかがっていたという。明けて博多名物どんたくの日、大広場には城主忠継の席も設けられその最高潮に達した時天刑病人の不気味な一団が押しよせて広場は騒然となった。それをみて兵部太夫らは忠継公を包囲した。慌てふためく役人、町人共の中にゆうぜんと割って入った男、主水之介だ。人々の制止も聞かず一群にとびこむと、病人を装った逆賊を相手に獅子奮迅の大活躍。修羅場と化した広場も、左馬之助の活躍もあって騒ぎは収まった。お家乗っ取り、さては幕府顛覆を計った兵部太夫も主水之介の慧眼の前に崩れ去ったのである。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1963年2月上旬決算特別号

日本映画紹介:謎の竜神岬

2015/05/08

2021/02/08

65点

選択しない 


主水之介、最後の活躍

 戦前から通算して遂に30作目の「謎の竜神岬」であります。結果的に最終作となりましたが、当時はさういふアナウンスはなく、まだ続くと思はれてゐました。
 聞くところによると、東映は片岡千恵蔵の「いれずみ判官」を鶴田浩二に、右太衛門の「旗本退屈男」を大川橋蔵に夫々引き継がせやうと目論んださうです。世代交代ですな。

 鶴田の「いれずみ判官」は実際に完成しましたが、橋蔵の退屈男は、右太衛門の反対により実現しなかつたと。まだ自分がやりたかつたのでせう。また、引き継がせるなら息子の北大路欣也にやらせたかつたのかも知れません。実際に北大路欣也さんは後年、TVで早乙女主水之介を演じてゐます。
 また、当時の東映の主力ラインアップは既に任侠ものにシフトしてをり、時代劇は集団抗争劇が中心。もう「旗本退屈男」は役目を終へたと認識されてゐたのでせう。

 タイトルとなつた竜神岬は、疫病患者の病舎があるため人々は近付かない土地。ここから逃亡した医師・祐軒(村居京之輔)と左内(和崎隆太郎)でしたが、祐軒は絶命し左内は瀕死の状態。左内は祐軒の娘・みゆき(北条きく子)に「竜神岬」と告げ死んでしまふ。
 みゆきは竜神岬を訪ねますが、ワルどもに囲まれます。そこへ都合よく現れる我らが退屈男・早乙女主水之介(市川右太衛門)であります。待つてました! ワルどもを蹴散らす主水之介ですが、奴らは新式の短筒を所持してゐました。これは密輸品ではないのかと訝しがる主水之介。竜神岬には如何なる謎があるのでせうか......

 といふ訳で、珍しくタイトル通り「謎の竜神岬」が中心になります。監督は佐々木康、脚本は結束信二であります。スタア美空ひばりや東千代之介が出てゐますが、どうも扱ひが勿体ない。寧ろ里見浩太郎ら取り巻きが事件の捜査に走り存在感を見せます。

 主水之介は自ら調査するよりも、捜査本部長みたいに、部下の報告を受け捜査の方針を決め、事件を解決するパタンです。クライマックスではお馴染み諸羽流正眼崩しでワルどもを倒す。しかしこのシリーズは、剣豪と一対一の息詰まる対決といふのが少ないですな。やはり捕物控の面が強いのか。

 ところで竜神岬は玄海湾に臨むらしいが、これは架空の岬でせうか。疫病舎があるといふ設定なので、実在の地名は避けたのですかね。調べると北海道に「竜神岬」はあるらしい。まあ関係ないやね。わたくしは以前「竜神町」といふ土地に住んでゐた事があります。もつと関係ない話ですが。

 サテこれで銀幕での「旗本退屈男」は終り。市川右太衛門は早乙女主水之介を生涯の当り役とし、以後はTV(白塗りが目立ちすぎてちと気持ち悪い)や舞台での活躍となるのです。

2016/01/15

2016/01/15

50点

テレビ/有料放送/東映チャンネル 


天刑病=ハンセン病

1963年当時は、ハンセン病が空気感染する認識だった。

2015/09/10

2015/09/10

55点

テレビ/有料放送/東映チャンネル 


助六張りの芝居がかった登場

いやあかっこいい登場。難を逃れた娘と相合い傘で登場し、切りつけられるところを蛇の目傘からかっこよく登場。実に芝居がかって主水之助らしい。
登場はそれで良いが、ストーリーに甘さが目立つ。美空ひばりの登場で理屈を考えたのだろうが、どうも動機としては不十分。桜町弘子や北条喜久の活躍場面も欲しいし、東千代之介の目付も活躍の場がない。これだけのスターをそろえながら脚本がイマイチ。
マンネリズムと言えばそれまでだが。時代劇で物語が荒唐無稽なのはわかりきったことなので、多少のことは飲み込んでいるが、常識の範囲を守って欲しいところもある。