六本木の夜 愛して愛して

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六本木の夜 愛して愛して

レビューの数

4

平均評点

62.2(15人)

観たひと

20

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1963
公開年月日 1963/1/29
上映時間 87分
製作会社 東宝
配給 東宝
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督岩内克己 
脚色田波靖男 
原作笹沢左保 
製作山本嘉次郎 
市川久夫 
撮影完倉泰一 
美術阿久根巖 
音楽団伊玖磨 
録音伴利也 
照明猪原一郎 
スチル秦大三 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演峰健二 海老名昌章
清水将夫 海老名文六
中川ゆき 芥川千景
淡路恵子 芥川恵子
高島忠夫 大木検事
土屋嘉男 伊原検事
藤原釜足 内山刑事
松村達雄 今川
当銀長次郎 横田
草川直也 支配人
三井紳平 バーテン
中真千子 牧京子
小栗一也 婦人科医
塩沢とき バー女給A
江島和子 バー女給B
遠矢淳子 バー女給C
宮崎姫恵子 バー女給D
伊藤智子 せん
田村奈己 女子学生A
宮川澄江 女子学生B
浦山珠実 女子学生C
吉本隆志 山田
南弘子 友子

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

中央公論所載・笹沢左保原作『六本木心中』より「若い季節(1962)」の田波靖男が脚色、新人岩内克己が第一回目に監督した青春ドラマ。撮影は「私と私」の完倉泰一。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

夜ともなると今まで気のつかなかった深夜営業のレストランがネオンのトンネルをつくる。そんな六本木の一角で、昌章は十六歳の千景と知り合った。レストランを経営する母をもつ千景と実直な裁判官を父にもつ昌章とは、奇妙に惹きあうものがあった。二人はドライブに、遊園地に、そしてスケートに若いエネルギーを発散させて、自分たちの孤独を忘れた。千景は妊娠していた。三人の愚連隊に睡眠薬を注射したミカンを食べさせられて乱暴されたのだ。千景はなんとかして自分の身体から胎児をもぎとろうと必死になっていた。だが今、千景にとって無条件で信頼出来るものはお腹の赤ちゃんだけだった。昌章はそんな千景にいよいよ惑かれるものを感じた。昌章は毎日何をしたらいいのかも分らなかったし、大人達がおしつける社会的責任におびえていた。だが千景と一緒にいる間だけは自信がわき、何か新しい生き方が出来るような気がした。そうだ、千景のお腹の赤ちゃんは俺たちの子だ。千景の母はこのことを知ると狂ったように二人を責めた。千景も夢中で抵抗した。そして誤って千景は母親を窓から突き落してしまった。警察に自首したのは昌章だった。取調べが進むにつれて彼の供述の信憑性は薄くなった。二人が知り合ったのは三日前であるのに千景は妊娠四カ月だという。しかし二人にとってはそんなことはどうでもよかった。たとえ服役がどんなに長くとも辛抱しよう。二人の愛のために、俺たちの赤ん坊のために。だが万一この秘密が暴露されたときは……。昌章のもとに突然、ミカンが差し入れられた。同じ時刻、千景の運転する車は死の暴走をつづけていた。--「六本木心中、恋人に毒ミカンを差入れ」ビラがむなしく風にゆれている。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1963年1月上旬新年特別号

日本映画紹介:六本木の夜 愛して愛して

2023/07/10

2023/07/10

69点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


峰健二→峰岸徹

戦前の六本木は米軍基地でいっぱいだったそうで、昭和30年代にはすでに接収。代わってアメリカの町となったそうだ。イルミネーションの派手さはその名残と思われる。
高度経済成長期のさなか、この地域では夜遊びに徹する若者が多くなり、彼らを深夜族と呼んだそうだ。そんな背景がこの映画では描かれている。日本映画専門チャンネルにて解説されていた。

峰岸徹の若き日の初々しさが印象に残り、ドラマのほうも21歳、不眠症の青年とトラウマを抱える16歳の少女との夜の出会いを描き、いずれも悩ましき青春を抱える。そんな二人が出会い、恋に落ちる。何一つ不足なく、面白く観れた。

2023/06/23

2023/06/23

65点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


真実は一つしか無い

父親が裁判官(清水将夫)の海老名昌章(峰健二=峰岸徹)はノイローゼで休学して六本木をさまよっている。一方六本木のバーのマダム芥川恵子(淡路恵子)の子千景(中川ゆき=中川裕季子)も母親の職業に反発し、遊び回っている。
バーで昌章に声をかけたことからふたりは付き合うようになるが、千景は強姦されたことにより妊娠していた。昌章は自分の子として育てることを千景に言い、結婚を申し込む。反対した母を千景が突き飛ばしたことから母は転落死する。
身代わりとなった昌章に検事(高島忠夫)は真実を話せという。昌章は差し入れの毒入りミカンを食べて死に、千景も同じくミカンを食べて自殺する。
「真実は一つしか無い。我々(検察)の力で姿を現す」と検事が言ったが、真実を隠したまま彼等は逝ってしまった。
笹沢佐保原作のラブストーリー。ちょっと甘ったるいのと、主人公二人の演技があまりうまくない。ま、原作の力と監督のまとめ方で見せた映画だろう。中川ゆきはダンスの中川三郎の娘らしい。
母親が淡路恵子なのに、あまり見せ場なく死んでしまうのは残念。もう少しドロドロした演技を見たかった。

2016/01/23

2016/01/24

67点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


若者の60年代の閉塞感

岩内克己の第1回作品は、勝井作品の脚本が多い田波靖男のホンだが直情的な表現と時代世相を取り込んで、閉塞的生活の若者を描き出した。一部セリフに頼ったところもあるが、くい打ちの音、惰性的デモなどで60年代の時点でしか作りえない作品となった。技術は「砂の香り」の方が上だが、本作の新鮮さはかけがえのないものだ。

2013/01/26

2014/07/10

75点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


良く出来た風俗映画

ネタバレ

1963年、東京オリンピック前夜の六本木交差点。まだ地下鉄日比谷線が開通しておらず、その工事が進められている真っ最中です。そんな夜の六本木を、自称情緒不安定で不眠症という大学生・峰健二(のちの峰岸隆之介)が徘徊して香妃園に入り、カウンターに座っていると小母さま族にからかわれ、そんな彼に助け舟を出したのが女子高生の中川ゆきで、香妃園を出た二人はもう一軒行こうという気になり、峰は近くの深夜喫茶に行こうとするものの、中川は“あそこは嫌”などと言うのですが、峰は強引にその店に入ってゆくと、そこでは中川のことを“お嬢さん、お帰りなさい”などと言うので、そこが中川の母・淡路恵子がやっている店だとわかり、店には今で言う風営法違反に当たる生バンド演奏が繰り広げられており、そんなところに警察の手入れが入ってゴタゴタする中、中川は峰の手を引いて裏口から外に逃げ出し、そのまま中川は店が所有する車を無免許運転で転がして都内を走り回るものの、六本木交差点近くに戻ってきたところで地下鉄工事の掘削機の音を聞いて嫌な記憶が甦ったらしい中川は、そこで峰を車から放り出すという展開を示します。
こうして知り合った峰健二と中川ゆきが、お互いの孤独を埋め合うように寄り添ってゆき、一夜の強姦事件によって妊娠しているという中川のお腹の子供を、峰は自分の子供として育てる決意を固めるものの、中川の母・淡路恵子に反対されたため、中川が抗議して揉み合いになった結果、淡路が家の2階から転落して死ぬという事態となり、中川を庇う峰が自らが犯人だと警察に捕まるのですが、腹の子供は自分の子だと主張する峰の供述に矛盾が多いことを検事・高島忠夫が見抜く中、毎日12時に届けられる中川からの差し入れが峰が大好きな鮨だったのに対して、この日は、中川が強姦される際に食べさせられた睡眠薬入りのミカンに似せたミカンが差し入れられたため、それを峰が覚悟して食べると、それは毒入りのミカンだったのであり、その頃、中川のほうは車を猛スピードで走らせて電柱に激突し、自ら死を選び取っていたという、心中物語です。
63年の六本木の街がロケーションによって捉えられ、その景色が若い二人の心境をヴィヴィッドに反映するという、なかなか良く出来た風俗映画でした。