河のほとりで

かわのほとりで|----|----

河のほとりで

レビューの数

10

平均評点

65.8(34人)

観たひと

54

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1962
公開年月日 1962/11/23
上映時間 116分
製作会社 東宝
配給 東宝
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督千葉泰樹 
脚色井手俊郎 
原作石坂洋次郎 
製作藤本真澄 
金子正且 
撮影西垣六郎 
美術河東安英 
音楽黛敏郎 
録音藤好昌生 
照明西川鶴三 
スチル高木暢二 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演山村聡 多賀谷新歳
草笛光子 多賀谷とも子
星由里子 多賀谷たね子
田辺靖雄 多賀谷正二郎
一万慈鶴恵 姿や
加東大介 高山兼吉
淡島千景 高山あさ子
加山雄三 高山新太郎
桜井浩子 高山妙子
東野英治郎 沢田藤五
乙羽信子 関口珠子
小林桂樹 坂本敬三
池内淳子 武原信子
有島一郎 牧師
沢村貞子 牧師夫人
村上冬樹 酒場の客
小川安三 進藤正雄
井上大助 学生A
大前亘 学生B
新野悟 学生C
内山みどり 浅野雪子
穂高あさみ 女学生A
宮川澄江 女学生B
矢野陽子 女学生C
佐多契子 スチュアデスA
田辺和佳子 スチュアデスB

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

“毎日新聞連載”石坂洋次郎原作より「放浪記(1962)」の井手俊郎が脚色、「香港の星」の千葉泰樹が監督したホーム・ドラマ。撮影もコンビの西垣六郎。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

多賀谷たね子は二十一歳。フランス文学を専攻する美しい女子大生で潔癖な性格の持ち主だ。ある日、母親とも子と知人の藤五が激しく言い争っているのを耳にした。父親の新蔵にはむかし別の妻があり、とも子がその人から新蔵を奪いとったとか……。その人はとも子のまたいとこにあたりしとやかで美しく、とも子とは親友だったという。両親の秘密はたね子にとって大きなショックだった。自分が一人の女の人の幸せを踏みにじって、この世に生れたということに嫌な気持がした。その頃、出張に出かけた新蔵は帰りの飛行機の中で、二十年ぶりにそのむかしの妻、あさ子と再会していた。あさ子は高山兼吉と再婚、熱海で旅館を経営し幸福な家庭を築いているという。空港にはあさ子の息子、新太郎が迎えにきていた。新太郎はたね子と同じ大学の経済科の学生。ラグビーで鍛えた身体は逞しく、明るく飾り気のない好青年だ。たね子と新太郎はお互いに好意を抱きながら、まだ口をきいたこともない。しかし、両親が知り合いであることから急速に仲よくなっていった。夏休み。新太郎はたね子に年上の女信子と関係があると自分の秘密を打ちあけた。「……不潔だわ」たね子は涙をこぼしてののしった。彼にしてみれば、自分の醜くさを洗いざらい知ってもらおう。その上で愛してくれるならそれでいいと思ったのだが……。数日後、あさ子は上野の展覧会に出かけて新蔵に会った。しかし、あさ子は新蔵に会っているだけでは何かもの足りない。そうだ。とも子さんに会いたい、とも子さんの声に、匂いに、身体にふれたい、そういう願いで新蔵に会っていたのだと気付いた。そしてある夜、あさ子は団欒の多賀谷家を訪れ、とも子と劇的に対面した。二人の女と一人の男が、こだわる気持もなく二十年振りの再会を喜び合うのだった。澄みきった秋の空、白い雲をうつした河のほとりを散歩する新太郎とたね子の胸は幸せに溢れていた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1962年12月下旬号

日本映画批評:河のほとりで

1962年12月上旬号

日本映画紹介:河のほとりで

1962年11月号増刊 秋の特選シナリオ集

特別グラビア:河のほとりで

東宝映画:河のほとりで

1962年11月上旬号

新作グラビア:河のほとりで

2018/08/13

2022/12/09

80点

選択しない 


実質の主役は淡島千景か

 大阪から出張帰りの多賀谷新蔵(山村聰)は、羽田へ帰る飛行機の中で、偶然元妻のあさ子(淡島千景)と再会します。新蔵の現在の妻・とも子(草笛光子)があさ子から彼を奪つた過去があるやうです。略奪婚ですか。離婚後23年経つてをり、あさ子も再婚して新蔵と同様に一男一女を儲けてゐます。羽田ではあさ子の息子・新太郎(加山雄三)が迎へに来てをり、その爽やかな若者ぶりに、新蔵は好印象を持ちます。

 新蔵の娘・たね子(星由里子)は、母が父を前妻から奪つたと知りショックを受けてゐます。自分の生はあさ子の不幸の元に存在してゐるのかと......
 たね子と新太郎は同じ大学に通ひ、交際を始めてゐます。学友に小川安三を起用するとは、ワザとミスマッチを狙つたのでせうか。違和感バリバリで可笑しい。とも子は新太郎があさ子の息子と知り動揺します。新蔵からあさ子との再会を聞いてゐただけに、心穏やかではありません。

 たね子と親しくなつた新太郎は、信子(池内淳子)と云ふ年上の女性と関係を持つた事を告白します。自分の醜い部分を知つて貰ひ、その上で自分を好きかどうかを判断して欲しいと思つたのですが、潔癖なたね子は泣いて彼を罵倒します。
 一方あさ子は新蔵と上野の展覧会に出かけます。これは所謂デートですな。お互ひ敬語で語り合ひ他人行儀な感じですが。これをきつかけにズルズルいくのかと思つたら、あさ子はとも子に会ひたくて新蔵と付き合つてゐた事に気付きます。それであさ子は、意を決して電撃的に多賀谷家を訪ね、遂にとも子と対面するのでした......

 と云ふ事で、千葉泰樹監督の1963年作品「河のほとりで」であります。脚本は井手俊郎で、音楽は黛敏郎。原作は、1960年代に若者たちから絶大な支持を得てゐた石坂洋次郎。加山と星の若いコンビを中心に、夫々の恋愛模様を生々しく描いてゐます。
 加山と星はいつになく激しいラヴシーンがあり、水辺で二人とも全裸になり過ごすシーンが印象的であります。この二人、若大将シリーズでは接吻さへなかつたのです。加山と池内の関係は、同じ石坂洋次郎原作の「あいつと私」での裕次郎と渡辺美佐子の関係を連想させます。古い道徳よおさらばと云ひたいのでせうか。一寸ドロドロ感があります。

 寧ろ小父さん(お爺さん含む)や小母さん連の方が、純粋なものを感じます。山村聰・淡島千景・草笛光子の三人のエピソードは、普通なら家庭崩壊に繋がりかねない危うさを持つてゐるのですが、強引な東宝的ラストシーンに持つて行きます。どうせならこのシーン、加東大介も同じ画面に入れたかつた。
 あと、ストオリイ的には傍系ですが、小林桂樹と池内淳子も好いし、東野英治郎と乙羽信子の不思議な関係も良かつた。東野と乙羽は長年同棲してゐるのに、籍を入れない東野が責められ、その説得役として加山の妹役の桜井浩子が活躍します。スリーチャッピーズ。

 かうして見ると、配役に無駄がなく、動きも理詰めで、千葉演出の確かさが確認できます。やはりこの人、突出した作品は無いかも知れませんが、各作品の完成度にムラが無いですな。藤本真澄プロデューサーに重宝がられたのも宜なるかな。

2020/05/22

2020/05/22

70点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


山村聡をめぐる淡島千景と草笛光子

山村聡は淡島千景と離婚し、淡島の親友だった草笛光子と再婚し、大学生の星由里子と高校生の田辺靖雄がいる。淡島は、加東大介と再婚して、大学生の加山雄三と高校生の桜井浩子がおり、熱海で旅館を経営している。映画は、山村が淡島と偶然飛行機で隣同士の席になるところから始まり、同じ大学の加山と星がやがて恋仲になる。石坂洋次郎の原作なので、「離婚→再婚」を子供が「大人の汚らしさ」として描くなど、時代を感じる内容。若者の恋愛話より山村をめぐる因縁話の方が、面白かった。東野英治郎と乙羽信子の結婚話もあり、教会で登場する有島一郎と沢村貞子には笑った。加山と関係を持ってしまう池内淳子が色っぽくて美しい。小林桂樹も出演しており、東宝映画メンバー勢揃いで豪華なので、見応えがある。日本映画専門チャンネルの放映時にゲスト出演した星由里子の話では、泳いだ後で全裸になるシーンは代役とのこと(当時はそれが当たり前)。「若大将」シリーズの共演ではなかったキスシーンがあったのも、話題になったとのこと。

2020/05/03

2020/05/03

61点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


日本的ブルジョア世界の青春

趣味の良い住まいでお手伝いのいる生活、制作されたのは1962年、そこで過ごす大学生の恋愛映画にリアリティはない。安保闘争から2年。どこかにあったようなパラレルワールドの日本。女優陣を見るのだけで良いとしよう。

2018/06/17

2018/06/17

45点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


星由里子さん、追悼!

でも演技は下手じゃない?というか日本映画の至宝ともいうべき大俳優に混じってだから、しょうがないか。加山雄三はすごくいいんだけど。
石坂洋次郎の原作は、なんか不快だな。いつもどおりだけど。なんかドロドロ韓流ドラマの源流みたいなのがすごくイヤだ。
山村聰と淡島千景の夫婦。淡島千景の親友、草笛光子が山村聰を掠奪して結婚してしまう。山村聰&草笛光子夫婦の娘星由里子と息子田辺靖夫、淡島千景と加東大介の息子加山雄三と娘桜井浩子に東野英治郎と乙羽信子夫婦、有島一郎と沢村貞子の牧師夫妻、池内淳子と小林桂樹カップルがからむ。
同じ大学に学ぶ加山雄三と星由里子が愛し合うようになるというお決まり。加山雄三の旅館の御曹司は旅館のマネージャーの池内淳子と性欲にまかせて寝てしまうというグチャグチャはあるのだが、大問題にはならずハッピーエンドっぽい終わり方。海岸で大学生が歌い踊るシーンがダサい。
若大将はまだか?!

2016/07/25

2016/09/16

65点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


千葉泰樹の振れ幅

ラピュタの井手俊郎特集「河のほとりで」は、2005年の三百人劇場での千葉泰樹特集で観て以来で、設定は覚えていたものの細部や展開は忘れており、自分が生まれ育った熱海の旅館で女中の池内淳子と関係を持ったことを告白した加山雄三と、そんな加山のことを不潔と罵った星由里子が、お互いの今後に思いを馳せるようにして、全裸になって岩場で夕暮れてゆく海を眺める場面など、初めて観たような新鮮さを覚えました。
「河のほとりで」を前回観た時は、山村聰と淡島千景、山村と草笛光子、加山と星、池内淳子と小林桂樹らとの間で、恋愛論やセックス論を青臭くて硬い書き言葉でぶつけ合う所に石坂洋次郎原作らしさを、結局はぬるま湯的な世界観に収まる所に東宝的な限界を感じましたが、今回は結構面白く観ました。
「河のほとりで」は、千葉泰樹がちょうど1年前に作った「二人の息子」と比べると、彼の表現領域の広さがよくわかります。卵1個を巡って家庭内がギクシャクするという、冷厳なまでにリアルな貧しさと向き合った「二人の息子」に対して、金銭的な苦労など微塵も感じさせないプチブルたちによる性談義・恋愛談義に終始するという触れ幅!

2015/04/15

2015/04/15

70点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


まさかの展開

ネタバレ

石坂洋次郎の原作なのである程度のあけすけ感は想定していたものの予想以上。ただ、きわどいことを言わせていながら東宝作品なので妙に清々しい仕上がりです。日活がつくったらこうならないですよね。

淡島千景と草笛光子のふたりに秘められた想いにはちょっと声が出てしまった。淡島さんは本当に美しい。池内淳子も!

ワンシーンのみなのに、沢村貞子の存在感が忘れられない。