かあちゃん結婚しろよ

かあちゃんけっこんしろよ|----|----

かあちゃん結婚しろよ

レビューの数

4

平均評点

67.9(13人)

観たひと

20

観たいひと

6

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1962
公開年月日 1962/9/1
上映時間 97分
製作会社 松竹大船
配給 松竹
レイティング
カラー シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督五所平之助 
脚色五所平之助 
堀江英雄 
原作檀一雄 
製作白井昌夫 
坂井禅互 
撮影成島東一郎 
美術熊谷正雄 
音楽芥川也寸志 
録音大村三郎 
照明加藤政雄 
編集斎藤正夫 
スチール小尾健彦 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演謝春国 川本一郎
新珠三千代 川本みつよ
田村高廣 大坪武
伴淳三郎 佐久間詮造
日高澄子 佐久間亀子
青柳真美 佐久間鶴子
津川雅彦 下瀬先生
ハナ肇 渡辺先生
倍賞千恵子 青木雪代
永田靖 弥兵衛
福岡正剛 留五郎
青柳直人 留吉
高橋とよ お玉
青山宏 
中山千夏 仙子
中村是好 岩吉
高橋正 譲吉
草香田鶴子 おみよ
石井均 須藤
犬塚弘 草履問屋の番頭
桜むつ子 泡盛屋の女将

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

壇一雄原作「海のある窓」より「雲がちぎれる時」の五所平之助と堀江英雄が共同で脚色、五所平之助が監督した母子の愛情物語。撮影は「秋津温泉」の成島東一郎。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

川本みつよは中学一年の息子一郎と、佐渡を遠望する出雲崎の漁村に一杯呑み屋「のんき」を開いている。みつよは一郎に父は死んだと言っているが、実は昔、東京の料理屋に女中奉公している時、草履問屋の若旦那佐久間詮造と結婚したが、詮造の道楽に苦しめられ故郷の出雲崎へ帰って来たのだった。そのみつよは素朴な漁師の大坪武に少々ひかれていた。ある台風のくる日、武は風雨の中でみつよに出会い、求婚をした。みつよは心で武を受け入れながらも一郎のことを考えると即答はできなかった。みつよは一郎の学校の教師下瀬先生に相談した。先生から母と武の結婚話を聞かされた一郎は大喜びで、自分から母に勧めるのだった。ある夜、別れた夫詮造が突然現われ復縁を迫り、みつよの家を売却しようとした。みつよは悲しむが、下瀬先生や柔道部の渡辺先生の助力で詮造を追い払った。詮造は東京で別な女と同棲していて、金に困ってやって来たのだ。一郎は詮造が本当の父親と知って、その父親を可哀そうに思った。下瀬にはこの親子の問題が他人事のように思われなかった。彼は東京で妻に裏切られ幼い娘を両親にあずけて、ここに赴任して来たのだ。みつよはスーパーマーケットに勤めている青木雪代を彼に紹介した。二人は愛し合うようになった。武とみつよの婚約発表を祝いみなが集まったが、それは同時に武が北洋漁業に出かける日でもあった。数十日たった。北海道出稼ぎに行った武から一万円送って来た。一郎はその金を持って上京し、詮造に渡した。これで自分と母の生活を守ろうと思ったのだ。みつ代はそれを知ってヒステリックに一郎をしかった。そんな頃武の船が遭難という知らせが入った。みつよは狂気のようになった。しかし、誤報だとわかった。「かあちゃんは武さんと結婚するよ」「うん、かあちゃん結婚しろよ」一郎の顔は明るかった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1962年10月下旬号

日本映画紹介:かあちゃん結婚しろよ

1962年10月上旬秋の特別号

日本映画批評:かあちゃん結婚しろよ

1962年9月上旬号

新作グラビア:かあちゃん結婚しろよ

2023/02/06

2023/02/18

69点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


久しぶりに五所平之助監督作品を観た

初見である。
伴淳三郎は公開当時この映画でどう評価されていたのだろう。彼は特別出演で花を添えるだけかと思ったら、かぁちゃん(新珠三千代)の元夫の重要な役どころを演じて、なかなかの好演だった。浅草で女(日高澄子)と所帯を持ってチンドン屋で稼いでいる生活に疲れた男を演じて、いつものスラップスティック風とは違って自然体の味わい深さを見せていた。
もともと五所平之助監督は「蛍火」で伴淳三郎をシリアスドラマに抜擢した実績があり、それ以来の登用である。

素朴な青年教師を演じた津川雅彦も良い。当時の彼はメリハリのある華やかさがついて回って、大島渚や吉田喜重監督のヌーベルバーグで脱皮を試みていたが、何だか背伸びをしているような力みが感じられた。五所平之助監督は伴淳三郎の起用同様に、いとも易々と固定した津川のイメージの殻を破っていて、落ち着いた朴訥な青年を演じさせて新鮮である。

子どもが実父(伴淳三郎)から継父(田村高廣)へ愛着が移行していくプロセスが丁寧に描かれている。だから、ラストで、会社まで走って行く継父の後を追って子どもが自転車に母親を乗せて追い掛けるロングショットのシーンがさり気ない描写に見えるが感動を呼ぶ。

芥川也寸志の抑制の効いた音楽が秀逸で冴える。野村芳太郎作品での清張もののメリハリのある華麗なメロディとは違って、この映画のように日常のさざなみのような映像にフィットした音作りが素晴らしい。ラストシーンには微笑ましい幸せが滲み出てくるような余韻を残した。

2023/01/28

2023/01/28

70点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


伴淳がいいな

美しい奥様役が似つかわしい新珠三千代が珍しく漁村の食堂の女将さん。亭主と別れて、食堂を運営しながら、一人息子を育てている。村の漁師の田村高廣(彼も珍しく粗野な男の役)が彼女に惚れて、結婚を申し込むが、そこに別れた亭主伴淳三郎がやってきてというお話。
もちろん、新珠三千代はいいのだが、元亭主の伴淳三郎がすごくいい。東京に女がいるくせに、昔の女に金をせびるは、酒を飲んで管を巻くはと、ろくでもない男なんだけれど、彼が演じるとそこはかとないユーモアがにじみ出る。一人息子が彼に情を寄せる気持ちも分からなくはない。そして、もう一人、父親の住まいの近くの食堂で働いている少女役の中山千夏。店の手伝いをしながら、テキパキとお好み焼きを作る。台詞にリズムがあって、本当に天才子役だなと思う。
一人息子が東京で父を探すシーンで、お化け煙突がはっきり画面に映っている。これは珍しいシーンだ。

2023/01/18

2023/01/18

68点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


亭主が帰ってきた

檀一雄の原作らしい。檀一雄の小説は読んだことがない。
浜でやもめ暮らしをしているみつよ(新珠三千代)は一人息子の一郎(謝春国)と暮らしている。それを何かと支えているのが漁師の大坪武(田村高廣)で、二人は愛し合っており、結婚しようとしている。
武が出稼ぎに行っている間に元の亭主佐久間詮造(伴淳三郎)がやってきて金をせびる。一郎の担任の下瀬先生(津川雅彦)のおかげでその場は納め、詮造は東京へ帰っていく。
詮造が帰ってきたことで、色々なごたごたが起きると共に、一郎が妹と巡り会ったり、地元の漁師の心や、先生の心が変化したりとよい効果も現れる。
謝春国について調べてみたが詳細は分からない。なかなか良い演技をしていたが、芸能界にはいないようである。
かあちゃんの姪役の陪聴千恵子と津川雅彦のロマンスはけりが付いたのかな。映画ではそれとなく匂わせる程度で明確な答えはなかった。

2021年

2021/11/13

70点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 


五所映画がもっと観たい!

展開の軸は、母・みつよ(新珠三千代)と息子・一郎(謝春国)、そして一郎が通う中学校の下瀬先生(津川雅彦)という「三角関係」にある。
 もちろんキーマンとなる実父(ばんじゅん)と継父(田村高廣)の存在は欠かせないが、彼らは何かと留守がちだ。それぞれに抱える悩みや諸問題は、この三人で万事解決に導いて行かねばならない。
 もっと言えば、ここに見る最大の “父性” とは実父でも継父でもなく、教師・下瀬に他ならないのである。この絶妙の「三角関係」無くして映画『かあちゃん結婚しろよ』は成立しない。

 粒揃いの役者陣が好演を見せる中、お好み焼き(どんどん焼き?)で店番する仙子役の中山千夏がいい味だしてる。これって、まるでそのまま『じゃりン子チエ』じゃ⁈ この方は本当に尊敬に値する。こういう才人に生まれたかった。