これも結構気に入っている作品で、ラピュタ阿佐ヶ谷でもう3回は鑑賞した。東北が舞台で、3・11の原発事故があった辺りでロケをしている(撮影当時はまだ原発はできていなかった)。のどかな風景だ。後に事故が起こったことを考えると、胸が詰まる。
基本的にコメディー映画ではあるが、地方記者のあり方を問うような作品でもあったと思う。特に祭の日、排水溝に落ちて死んだ女の子の写真を借りようとする場面では、記者という仕事の「重さ」を強く感じる。
仕事風景の描写も細かく丁寧だ。フランキー堺とその部下の夏木陽介が自転車に乗ってあちこちで取材に駆けずり回る。フランキーの奥さん・白川由美も基本的には家庭の人ではあるが時に暗室にこもって写真の現像作業をしたり、泊まり込みに来た他の記者さんの面倒をみてあげる。両親が手が離せない時は幼い一人娘の坂部尚子が電話番をやってあげる(何とも微笑ましい)。あと、白川が伝送装置を使って写真を電送するシーンもあって興味深い。
東京と地方のギャップに迷いながらも上司・フランキーの指導を受けながら、時に対立することもあれど真面目に仕事に取り組む夏木の成長も描かれている。また星由里子との恋愛エピソードもある。
本作では公害問題も取り上げられている。が、それでもあまり深刻にならず、説教臭くもなっていないところが良い。逆に「ゴジラ対ヘドラ」(1971年、坂野義光監督)等のような公害だとか社会問題をやたら深刻に扱っている作品は私は嫌だ。
その他、「国定忠治」の芝居及びその練習風景は何度見ても楽しい。エンドクレジットは珍しく平仮名で「おわり」。ジブリの映画みたい(笑)。