悲しみはいつも母に

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悲しみはいつも母に

レビューの数

4

平均評点

58.1(8人)

観たひと

13

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1962
公開年月日 1962/6/3
上映時間 0分
製作会社 大映東京
配給
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督中川信夫 
脚色館岡謙之助 
原作西村滋 
企画柴田万三 
撮影平野好美 
美術黒沢治安 
音楽木下忠司 
録音道源勇二 
照明傍士議雄 
スチル吉田基芳 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演望月優子 尾崎フミ
山田幸男 息子健一
橘恵子 娘敏子
浜野桂子 江上邦子
大空真弓 園田千秋
中村彰 父秋彦
山下明子 継母清子
若杉嘉津子 叔母節子
西朱実 高山夫人
鈴木信二 浦川
伊藤正幸 福島次郎
瀬川克弘 本田安夫
鷹理恵子 久子
扇町京子 ミドリ
秋山れい子 ヨツコ
根岸十九子 ノンコ
林寛 黒沼
花岡菊子 女将
渡辺高光 山田刑事

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

西村滋原作、「ある母の死より」から、館岡謙之助が脚色。「八百万石に挑む男」の中川信夫が監督した社会ドラマ。撮影は平野好美。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

旧兵舎の引揚寮に母や妹と住む健一は、優等生だった学生時代の面影はなく、貧しいわが家にやり場のない怒りを叩きつけ、家を飛び出した。郊外の愚連隊に身を投じた健一は、住宅地のブルジョワ学生をおどしては小遣い銭を稼いでいたが、たまたまある邸宅の庭に母フミの姿を見かけて無心に行くと、そこの息子こそ健一たちにゆすられた学生だったのでフミはクビになった。妹の敏子は玩具店に働くかたわら、高校に通っていた。家庭の暗さは彼女の心を重苦しくしたが、江上先生だけは唯一の相談相手だった。健一はアジトの音楽喫茶で千秋という娘と知り合い、連れ込み旅館にしけ込んだものの、巧みにドロンされてしまった。彼女は有産階級に育ったが、若い継母の冷たさに反撥し、家庭では無口であった。ある日、刑事に送られて帰宅した健一は、敏子の給料袋を握って姿を消した。その健一は千秋に再会すると、東京湾の防波堤から海へ投げ込んだ。ずぶ濡れの二入は、お互の強情を許し合うのだった。二人が箱根で結ばれたころ、フミは小料理屋「花菱」で働くことになった。やがて、金につまった健一たちは新しい稼ぎを思いついた。高級連れ込み宿の表に待ら伏せ、出てくるアベックをカメラに収めてゆするのだ。ある夜、ベッド・ハウスからあらわれたのは、フミの肩にもたれた店の主人黒沼だった。健一は黒沼を殴りつけた。フミはその夜、「花菱」を追われた。敏子は健一の非行について江上先生に意見を頼んだが、健一は耳をかさないばかりか、高倉組のパチンコ屋をぶちこわした。黒沼が千秋を監禁、十万円を要求したので、健一たちは黒沼の家へ向う途中、高倉組の一味に叩きのめされた。血みどろの健一は、フミの働く高山邸に辿りついた。手に負えないわが子のためフミは偽証までしたあげく、自動車にはねられた。駆けつけた健一は、「母さん、死なないでくれ」と泣き叫ぶのであった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1962年2月上旬ベスト・テン決算総特集号

日本映画紹介:悲しみはいつも母に

2023/09/02

2023/09/04

50点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


「非行に走る子ゆえに、灰色の道を行く母の姿!この道はいつまでも……」

望月優子主演の超絶胸糞作品。
なぜ映画を観て気分悪くならなければいけないだろう?と思える作品。
納得できる終わり方をすれば良いのだが納得できず。
そして息子役の山田幸男って役者がまた腹立つ。
セリフ回しは怒鳴るだけ。
ある意味記憶には残りそうなインパクト強い作品。

2018/01/01

2018/01/01

60点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


母親と妹を食い物にする不良息子。

ネタバレ

どう贔屓目に見てもダメ人間の不良息子を庇い続ける母親に望月優子。母親と妹を食い物にするその不良息子は、最終的にはヤクザに支払う金の工面のためににっちもさっちも行かなくなる。金が必要な理由が「俺の女」のためと聞いた母親はとうとう堪忍袋の緒が切れ息子を見捨てる。

強盗殺人犯の共犯にされてしまった息子のアリバイを証言できるのだが、ついには嘘をついてまでアリバイを否認した母親は、最後の最後に考えを変えて、アリバイ証言のため走り出すところで映画は終わる。

見ていてイライラするくらい息子に甘い母親が、終盤で極端なくらい態度を変える。共感はできないものの戦争で人生を奪われた家族の悲痛な物語という面がある。

2017/08/22

2017/10/31

70点

その他/神楽座 


新東宝末期のスタッフの職業倫理が貫かれている

旧大映のレア映画を上映する企画で観せていただいた中川信夫の「悲しみはいつも母に」は、この映画を選んだ下村健氏のこだわりの現れとして、新東宝が製作しながら倒産してしまったあと、権利を大映が買い取って完成させた映画の一つで、出ている役者は新東宝の人たちだし、美術の黒沢治安の丁寧な仕事ぶりを堪能できる映画でした。
冒頭のクレジットバック、スコープサイズの画面が4分割されるように、右上の4分の1部分だけに望月優子と息子・山田幸男、娘・橘恵子の3人による食事風景が映り(あとの4分の3は黒味です)、いかにも不良という風情の山田が食事内容に文句をつけ、こんなもの食えるかと食器を投げつけて部屋を出てゆく様子を映すのですが、画面の4分の3を占める黒い闇が、この家族を押し込めているような効果を挙げています。
望月優子の息子を演じている山田幸男という男、どこかで観たことがあると思ったら、羽仁進「不良少年」の主役の少年で、この「悲しみはいつも母に」には彼のほかにも、不良仲間として出演している伊藤正幸、瀬川克弘、鷹理恵子という3人が、「不良少年」で生々しい不良たちの実態を見せてくれた人々です。
映画は、ブルジョワ家庭の家政婦や掃除婦などで生計を立てる母・望月優子や、化粧品店に勤めながら夜学に通う妹・橘恵子とは対照的に、ブルジョワ御曹司の学生からカツアゲして小金を手にする一方、母が貯めた僅かな金をくすねて不良仲間と夜遊びを繰り返す不良少年・山田幸男が、大空真弓扮する家出娘(父・中村彰が後妻の妹である市の教育委員・若杉嘉津子と浮気しているのを目撃して、家出します)と知り合って、恋心めいたものが芽生えるので、それをきっかけに山田が更生するという、ありふれた展開を示すのかと思いきや、そんな単純なお話にはせず、いわば不良少年という社会現象を風俗として紹介する新東宝的な風俗現象映画の一面を見せながら、「『粘土のお面』より かあちゃん」の望月優子を再び起用しているだけに、映画の底部には貧しき者たちへの共感を湛えており、中川信夫らしい誠実さが現れた映画になっていると思います。
原作は「ある母の死」という題名ですから、息子・山田幸男に殺人の疑いがかけられた際、嘘の証言をしてまでして息子を庇いながら、交通事故で死んでしまうという、悲惨で暗い結末が用意されているようですが、最終的に大映映画として公開された際には、息子の更生を促すために敢えて息子に殺人の罪を被せる形で嘘の証言をする望月を描く形にしており、そこには更生と再生への強い決意が感じられました。
望月優子ら家族が住むバラックの建物(引揚者住宅といった看板がチラッと見えますから、望月が引揚者であることをサラリと示しています)が、黒沢治安らしい奥行きのある装置として建てられており、新東宝末期の技術陣・美術陣のプロフェッショナルとしての職業倫理が貫かれているように感じられ、感銘を覚えます。

2017/08/22

2017/08/23

-点

その他/神楽座 

『悲しみはいつも母に』。珍しいオープニング、右上に小窓で夕食風景が写さ