愛情の系譜

あいじょうのけいふ|----|----

愛情の系譜

レビューの数

4

平均評点

67.6(14人)

観たひと

21

観たいひと

1

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1961
公開年月日 1961/11/22
上映時間 106分
製作会社 松竹大船
配給 松竹
レイティング
カラー シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督五所平之助 
脚色八住利雄 
原作円地文子 
製作月森仙之助 
五所平之助 
撮影木塚誠一 
美術平川透徹 
音楽芥川也寸志 
録音空閑昌敏 
照明鈴賀隆夫 
編集長田信 
スチール梶本一三 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演岡田茉莉子 吉見藍子
乙羽信子 吉見克代
桑野みゆき 吉見紅子
三橋達也 立花研一
山村聡 杉周三
園井啓介 叶正彦
宗方勝巳 兼藤良晴
高峰三枝子 香月藤尾
牧紀子 香月苑子
市川翠扇 おしの
千石規子 派出婦竹田
殿山泰司 恒太
陶隆 曽根
十朱久雄 間宮

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

朝日新聞に連載された円地文子の新聞小説を「妻あり子あり友ありて」の八住利雄が脚色。「雲がちぎれる時」の五所平之助が監督した恋愛心理ドラマ。撮影は木塚誠一が担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

アメリカ留学を終えた吉見藍子は、帰国してから国際社会福祉協会に勤め社会事業に打ちこんでいた。その関係から彼女は、旋盤工の兼藤良晴を補導しながらその更生を願っていたが、良晴は彼女に一途な思いを寄せていた。しかし藍子には、アメリカで結ばれた電力会社の有能な技師立花研一という恋人があった。藍子の母克代は家政婦紹介所を営み、妹の紅子は高校に通っていた。勝気な克代は子供達に父親は戦死したといっているが、夫の周三は杉電気の社長として実業界の大立物であった。藍子と紅子はふとしたことから父のことを知った。二十年前--克代の父に望まれ彼女と結婚して吉見農場の養子となった周三は、老人の死後、老母や兄夫婦の冷たい仕打ちに家を飛び出してしまった。杉を愛する克代は彼を追って復縁を迫ったが断わられ、克代は無理心中を図った。だが、二人とも生命をとりとめたのであった。藍子は自分の体の中に母と同じ血が流れていることを知った。その頃、立花には縁談が進められていた、化粧品会社を経営する未亡人香月藤尾の一人娘苑子との話である。或る日良晴は、藍子が自分に寄せる好意を、男女の愛情と感違いして藍子に迫ったが、藍子に突放されてしまった。それからの良晴の生活は荒れた。その結果が、夜の女を殺害するという暗黒の地獄に落ちこんでしまった。一方、立花は藤尾との結婚のために藍子との関係を清算しようとしていた。立花のアパートを訪れた藍子は、眠っている立花の枕元からの手紙でそのことを知り、立花を殺そうとするが、どうしても殺すことができなかった。傷心の藍子は、父のところに飛びこんでいった。翌朝、杉の知らせで克代もかけつけて来た。二人の再会は、二十年という歳月が全てのものを流し去り、そこには愛情を越えた美しい人の心が静かに漂っていた。それから数日して、藍子は良晴を伴って警察への道を歩んでいた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1962年1月上旬新年特別号

日本映画批評:愛情の系譜

1961年12月上旬号

新作グラビア:愛情の系譜

1961年11月下旬号

特別グラビア:「愛情の系譜」の五所組

日本映画紹介:愛情の系譜

2024/03/13

2024/03/17

65点

映画館/東京都/神保町シアター 


激しい愛情は母娘で続く

「執着や執念は、憎しみや恨みについてだけでなく、愛情についてもある」というテーマは、浅丘ルリ子主演の「執炎」('64)と同じ。円地文子の原作にどの位忠実かはわからないが、岡田茉莉子の母親乙羽信子が、別れようとする夫の山村聰に対する殺そうとする程の激しい愛情と、岡田茉莉子を騙そうとする恋人三橋達也への、これまた殺そうとする程の愛情が、“系譜”のように続くという展開は、なかなかの見所だった。岡田茉莉子の妹役に桑野みゆき。【叙情派の巨匠~映画監督・五所平之助】

2021/02/28

2021/03/01

70点

映画館/大阪府/シネヌーヴォ 


愛情か嫉妬か。

ネタバレ

< 松竹映画100周年 松竹メロドラマの系譜 >の上映作品。

岡田茉莉子主演、五所平之助監督作。米国から帰国して福祉事業の仕事をする藍子(岡田茉莉子)には、長く付き合っている立花(三橋達也)という恋人がいる。また、彼女の母親(乙羽信子)の最近の心配は、藍子の妹・虹子(桑野みゆき)の行動が浮ついているようで持ち慣れない大金を持っていたりすること。実は虹子が最近、母親に内緒で会っているのは実の父親・杉(山村聰)で、母親は姉妹には父親は死んだと伝えていた…

母親は、仕事のために出て行こうとする夫を刺して自ら入水自殺を図ろうとしたという過去があると知った藍子。始終喧嘩をしている母親と虹子の様子から、母親と虹子は性格的に似ていて、藍子は父親の血筋なのではと思わされるが、立花が自分を捨てようとしていると知った藍子はガスを使っての無理心中を思い立つ。

タイトルの「愛情の系譜」の「愛情」とは「嫉妬」や「憎しみ」に置き換えられもする言葉。そんな血の系譜を乗り越えて彼女がたどり着く結論まで飽きさせることのない語り口。

2017/11/27

2018/02/22

65点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


牧紀子の声の吹き替えには不満

ラピュタ阿佐ヶ谷の松竹文芸映画特集で初めて観た「愛情の系譜」は、「『通夜の客』より わが愛」「白い牙」「猟銃」など60年代初頭の五所亭が相次いで撮っていた文芸メロドラマの一篇で、この頃の五所亭には暗い話が多いので、これもその類いだろうと思って観ていたところ、案の定暗い事は暗いものの、八住利雄の脚本が収まりの良いもので、まずまず惹き込まれました。
恋人・三橋達也との結婚を望みながら、なかなか踏み切ってくれない三橋に対する苛々を募らせつつ、福祉協会で働く米国留学帰りのインテリ女性・岡田茉莉子が、来日した外国人を鷺の繁殖地に案内している時に出逢った中年男・山村聰に因縁めいたものを感じたところ、岡田は出張先の阿寒湖で泊まった旅館の番頭・殿山泰司がかつて岡田の母の実家だった牧場で働いていた関係で、戦死したと教えられていた岡田の実父が生きていて、東京で電機会社の社長をやっていることを殿山から知らされ、それを聞いて実父に逢いたいと岡田が訪ねると、山村聰が岡田の実父だったとわかり、岡田の母・乙羽信子は山村との別れ話が持ち上がった際、山村と別れたくなくて無理心中を図ったものの、二人とも死なずに生き残ったという過去があることがわかります。そんな折、恋人の三橋達也が自分との結婚話をよそに、目を掛けられた実業家未亡人の高峰三枝子から高峰の娘との結婚話が進められていることを知った岡田茉莉子が、母・乙羽がやったように酔って寝入った三橋と一緒にガス心中を図ろうとする、という展開を示してゆきます。
こうして粗筋を素描すると、かなりドロドロした人間関係のメロドラマに思えますが、実際の映画は五所亭らしい端正な作りに見えるのであり、そこが五所亭の巧さなのだろうと思います。
この映画は、五所亭が牧紀子をデビューさせた「白い牙」の1年後に撮られたもので、ここでの牧紀子は、ヒロイン岡田茉莉子と恋仲の三橋達也を奪うという、高峰三枝子の娘を演じていますが、五所亭は牧の低い声がブルジョワ娘の役柄に合わないと思ったのか、牧の声を高い声の女性に吹き替えさせていました。牧の声が好きな当方には不満です。

2017/11/28

2017/11/29

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 

『愛情の系譜』。美園村は鷺の飛来地で有名だったらしい。岡田茉莉子が英語でガイドをしている。カメラ好きの山村聰も居合わせ、8ミリで撮影している。持ってるのはダブル8カメラみたい。岡田はアメリカで暮らしており、サラリー400ドル位だったらしい。回想シーンの亜墨利加の病院全景はマット画。