万年太郎と姐御社員

まんねんたろうとあねごしゃいん|----|----

万年太郎と姐御社員

レビューの数

5

平均評点

64.2(13人)

観たひと

22

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1961
公開年月日 1961/10/7
上映時間 87分
製作会社 ニュー東映東京
配給 ニュー東映
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督小林恒夫 
脚色舟橋和郎 
原作源氏鶏太 
企画園田実彦 
矢部恒 
撮影岡戸嘉外 
美術中村修一郎 
音楽木下忠司 
録音渡辺義夫 
照明城田昌貞 
スチル永嶋幾善 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演高倉健 万年太郎
星輝美 板橋ゆみ子
月形龍之介 大田黒老人
小林裕子 大田黒久子
伊藤雄之助 浅井又兵衛
桧有子 浅井かね子
中西一夫 浅井三平
黄慶端 浅井四郎
ナンシー・ブローク アナスターシア
梶すみ子 お時
伊藤慶子 ナオミ
永田靖 笹間
十朱久雄 君塚
大村文武 林田
花澤徳衛 堀江
杉義一 金子係長
稲吉靖 佐々木
潮健児 大場
田川恒夫 山田
杉本雅江 妙子
牧野内とみ子 夏子
大原洋子 春子
杉山枝美子 秋子
上田吉二郎 石辺
曽根秀介 室井
三島雅夫 丸山
八名信夫 アイヌの恋仇
山東昭子 アイヌの娘
光岡早苗 古川みどり
八代万智子 ミス釧路
大東良 食料品店々員
仲塚光哉 アイヌの男A
三重街竜 アイヌの男B
藤島範文 アイヌの男C
石森武雄 アイヌの男D
木川哲也 アイヌの男E
小泉静夫 アイヌの男F
由利工 アイヌの男G
萩原正勝 アイヌの男H

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

太郎シリーズの四作目。講談倶楽部連載の源氏鶏太の小説を「新人生劇場」の舟橋和郎が脚色、「金も命もいらないぜ」の小林恒夫が監督した。撮影は新東宝から転社した岡戸嘉外。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

万年太郎は曲ったことが大嫌い。ハンサムで喧嘩っぱやい大昭和産業の突貫社員だ。東京本社で課長と大喧嘩、大阪支店で支店長を殴ったことから北海道支店へ転勤となった。経理課の浅井を頼って札幌へ渡った太郎は、心配する同じ社のゆみ子に、もし今後腕力を振うようなことがあったら、ゆみ子の子分になることを約束させられてしまった、だが、ある晩、バー「アカシヤ」のマダム、アナスターシアを汚く口説いていた日の出水産の重役石辺と衝突、止める林田課長と大喧嘩になってしまった。翌日、昨夜の一件で大昭和産業は日の出水産から取引中止を申し渡された。支店長君塚より石辺に詑びを入れるように言われた太郎は、憤然と辞表を叩きつけて会社を飛びだした。しかし、約束通り親分になったゆみ子は承知しない。結局親分の命令通り太郎は林田、石辺に詑びを入れる破目となった。面白くない太郎はその晩「アカシヤ」でやけ酒を呻るが、そこで久子となのる女性と知り合いになり、阿寒湖へドライブする約束をした。デイトの日、久子はいかめしい老人と二人連れでやって来た。この老人、実は大昭和産業の大田黒会長で、そうとは知らぬ太郎は日の出水産との取引が駄目になったことを喋ってしまった。びっくりした大田黒老人は早速笠間社長を呼び出して大目玉をくわせた。社長は林田へ、林田は太郎に怒りをぶちまけた。結局太郎は事態を収拾しなければならない立場になった。どうせやるなら、日の出水産より遥かに大口なアスパラガスのクレードル興農KKと、取引を結ぼうと奮起した。ゆみ子がクレードルの丸山社長秘書のみどりと親友だったことも幸いし、交渉はスムーズに運ばれかけたが、林田の妨害によって挫折した。林田は日の出水産の石辺と組み、大量の汚職をやっており、今ここでクレードルと取引されてはリベートがなくなるというわけである。しかしゆみ子の奔走に、丸山社長も太郎の誠意を認め取引を承知してくれることになった。あわてた林田と石辺は「アカシヤ」で対策を練った。この話は隠しマイクによって録音され、大田黒会長に届けられた。林田、石辺の悪事はすべて暴露され背任横領の罪でクビにされた。内容を刷新した大昭和産業はめでたくクレードル興農と取引がまとまった。喜びに顔を輝かす太郎とゆみ子は幸福そうだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1961年10月上旬秋の特別号

日本映画紹介:万年太郎と姐御社員

2017/06/12

2021/08/12

80点

選択しない 


星輝美が出てるだけで大満足

 太郎シリーズの第四弾にして最終作。再び万年太郎が登場です。そのせいかどうか、小林恒夫が監督に復帰、原作に源氏鶏太の名が再びクレジットされてゐます。脚本は舟橋和郎、音楽も木下忠司が再登板です。

 製作は東映東京ではなくニュー東映。前身は東映が調子に乗つて設立した「第二東映」。しかし既に映画産業は下降線を描いてゐて、うまく機能することなく消滅してしまつた会社であります。末期には新東宝との合併話も出たりして迷走しました。それと関係があるのかどうか、ヒロインには元新東宝のアイドル・星輝美が抜擢されてゐます。さういへば撮影担当も新東宝から来た岡戸嘉外でした。

 一作目の「万年太郎」のラストは、転勤の為北海道に旅立つところで終つてゐます。それを受けたのかどうか、商社勤務の万年太郎(高倉健)は北海道に異動でやつて来ます。もつともあの時は化粧品会社だつたし、山東昭子が一緒だつたので、一応別の設定と申せませう。

 途中の汽車の中で一緒になつた先輩社員・板橋ゆみ子(星輝美)とは成り行き上、親分子分の関係になります。太郎が子分です。嫌はれ役担当は大村文武が復帰、取引先の上田吉二郎と結託し、私腹を肥やしてゐます。社長の十朱久雄よりもデカイつらをしてゐます。この嫌味つたらしい演技は天下一品ですな。

 先輩社員に恐妻家で子沢山の伊藤雄之助。彼はシリーズ皆勤賞ですな。相変らず芸達者です。そして取引先の会長役に、「七剣聖」月形龍之介が登場。無駄に大物を起用するなと思つたら、クライマックスで黄門さまの芝居をし、「なるほど!」の展開。秘かに行動し、汚職の大掃除をした訳です。

 又もや健さんはMMK。姐御の星輝美に加へ、月形の孫娘・小林裕子、アイヌ娘の山東昭子(この人も全作出演。しかしアイヌのくだりは要らないと存じます)、バアのマダム・ナンシー・ブローク(この人は知りませんでした。何者でせうか。イーデス・ハンソンみたいな喋り方)らが皆健さんに接近します。
 最後で月形が小林と結婚してくれと頼むと、健さんは「札幌に来る前にもう心に決めた人がゐる」からと断ります。これに大ショックの輝美ちやん。観客も「アレ?そんな人出てたかな」と一瞬訝しがるのですが、最後に一休さんみたいなオチがありました。

 健さんのコメディ演技も笑はせてくれるし(弁当を買つたら毛ガニだつたのは可笑しい)、当時の北海道の観光地のガイドもあり(虻田駅を洞爺駅に改称したのは残念)、何も考へずに愉しめる作品と申せませう。
 白状すれば、星輝美ファンのわたくしは、彼女が出てゐるだけで問答無用に支持するのでした。許して下さい。

2015/02/16

2019/03/16

-点

映画館/東京都/新文芸坐 


時折見せる高質感と三白眼が…

北海道を目の前にして「ボーイズビーアンビシャス!」と絶叫する健サン。『網走番外地』や『日本侠客伝』以前に、いや自分の生まれ年に「太郎もの」なる熱血サラリーマンシリーズがあったことを初めて知った。爽やかさとユーモア溢れる健サンがふと垣間見せる硬質感に、番外地の橘を見てしまうのは舞台が北海道だからか。

2015/02/16

2015/04/13

65点

映画館/東京都/新文芸坐 


快活な健さん

 新文芸坐の健さん出演東映映画特集で観た「万年太郎と姐御社員」は、喧嘩して北海道支社に左遷された健さんが、ひょんなことから子分として仕えることになった星輝美や、古参の平社員・伊藤雄之助と共に、支社を牛耳る営業課長・大村文武の悪事を暴くというサラリーマンもの。明朗痛快で、快活な健さんを楽しめます。
 映画の中盤までは、荒唐無稽とも言える伏線が回収されることなく、例えば山東昭子扮するアイヌ娘など、何のために出てきたのか意味不明なまま物語から退場し、お話全体がどこに向かうのか心許なかったですが、後半一気に月形=黄門様の登場で伏線が回収され、終わり良ければ全て良しという終幕を迎えます。
 この映画の健さんは、喧嘩っ早いが卑劣なことは許さぬ一本気な正義漢という、彼にぴったりな役柄で、あの無類な笑顔で周囲の女性たちを魅了し、星輝美だけでなく、露助のバーマダム、月形の孫娘・小林裕子らが惚れてしまいますが、健さん自身は星一本槍という真っ直ぐさを貫くところが、またいいです。

2015/02/16

2015/02/18

62点

映画館/東京都/新文芸坐 


ネクタイの健サン

源氏鶏太のサラリーマンもの。小林旭は「意気に感ず」1本だけだが、健サンは「東京丸の内」もある。旭はネクタイが似合わないが、健サンはサラリーマンでもギャングでも侠客でも演じられる。演じるというよりも環境に溶け込んでしまう。それにしても健サン主演作にアイヌが出てくるのは「森と湖のまつはり」だけかと思っていたが… 大村文武の悪役はなかなか憎憎しげでよろしい。月形、伊藤雄之助は文句なしによい。それにしても健サンもてまくり。

2015/02/16

2015/02/16

55点

映画館/東京都/新文芸坐 


愛は義理に勝つ

会社内での不正に、一本気な万年太郎は列車で乗り合わせた同僚のゆみ子と万年平社員の先輩の3人でグループ作り、信ずる道を歩もうと敢闘する。さすがにドスは持たないけれども、心情的には虐げられ続けた男一匹が、敢然と殴り込みをかける任侠映画にも重なって見える。
ただ、随分と欲張った展開で、北海道の名所をいくつか出張名目で巡る観光ロードムービーや、太郎を巡る女の争いのラヴゲームなどを織り交ぜ、既定路線を進む。
健さんの怒ったようなニヤけたような表情が、健さん本人の気持ちの現われのような気がする。