江戸っ子繁昌記

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江戸っ子繁昌記

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レビューの数

9

平均評点

67.6(28人)

観たひと

51

観たいひと

4

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1961
公開年月日 1961/8/26
上映時間 90分
製作会社 東映京都
配給 東映
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督マキノ雅弘 
脚本成澤昌茂 
企画小川貴也 
撮影坪井誠 
美術鈴木孝俊 
音楽鈴木静一 
録音中山茂二 
照明和多田弘 
編集宮本信太郎 
スチル鈴木一成 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演中村錦之助 青山播磨
中村錦之助 魚屋勝五郎
小林千登勢 お菊
高松錦之助 正村十太夫
毛利菊枝 菅乃
長谷川裕見子 おはま
頭師満 三吉
千秋実 金太
桂小金治 虎吉
高橋とよ おたね
宮崎照男 長松
坂本武 久兵衛
柳永二郎 酒井雅楽頭
阿部九洲男 秋山次郎衛門
矢奈木邦二郎 両沢采女
関根永二郎 松平忠正
平幹二朗 水野十郎左衛門
安井昌二 坂部三十郎
加賀邦男 高桑源太
尾形伸之介 風間十四郎
月形哲之介 金時金左衛門
本郷秀雄 唐犬権兵
近江雄二郎 放駒四郎兵衛
中村時之介 死人小右衛門
島田秀雄 青山家仲間
遠山金次郎 青山家小者
霧島八千代 おやえ
菊村光恵 おみつ
中村錦司 八っあん
片岡半蔵 熊さん
佐々木松之丞 ぼてやん
五里兵太郎 哲五郎
松田利夫 松公
梅沢昇 梅さん
中根真佐子 ぼんこ

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

落語の「芝浜」から材をとり、「母と娘(1961)」の成澤昌茂の脚本を「東海一の若親分」のマキノ雅弘が監督したもので、撮影も同じく坪井誠の担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

久兵衛長屋に住む魚屋勝五郎は竹を割ったようなさっぱりした男だが、酒好きとなまけ癖が玉にきず。今日も恋女房おはまに泣きつかれてしぶしぶ早朝の芝浜へ仕入れに出かけた。勝五郎はその帰途、百両の大金を拾って帰って来た。早速、長屋一同に大振舞、酔って寝てしまった。起きてみてびっくり仰天、金を拾ったのは酔った果ての夢だったからだ。おはまに意見された勝五郎は真面目に働くことになった。だが、今度は妹お菊が夜な夜な勝五郎の枕元に現われ出した。六年前お菊は、旗本青山播磨に見染められてお屋敷奉公にあがり、今では播磨の愛をうけて幸福に暮らしているはずだ。何度もお菊の幻影に立たれる勝五郎はさっぱり商売に身が入らない。それもその筈お菊はすでにこの世の人でなかった。青山家が将軍家より拝領した赤絵の高麗十枚皿の中、一枚を割ってしまった播磨の罪を引きかぶって手討ちにあっていたのだ。お菊を斬り、苦悩と憔悴に明け暮れる播磨は、泰平にあって身のおきどころのなさを、町奴との喧嘩にうっぷんを晴らしていた。直参旗本は幕府新政策によっては無用の存在で、継子同様の扱いを受けていたのだ。お菊の死を、青山家用人から聞いた勝五郎は青山邸に乗り込んでいった。だが、播磨がお菊を心から愛していることを知った。勝五郎はうなだれる播磨をみて黙って引上げた。それから数日後、旗本と町奴の大喧嘩が持ち上った。無用の旗本家取りつぶしはこの時とばかり、と幕府も役人をさしむけた。それを知って播磨は山王下の修羅場にかけつけ斬死した。--お菊と播磨の菩提を弔う勝五郎夫婦に、大家の久兵衛がにこにこしながらいつか勝五郎が拾った革財布を手渡すのだった。落し主がでないので奉行所から下げ渡されたのだ。おはまが、こんな大金を持っていては勝五郎のなまけ癖が直らないと、大家と相談して奉行所へ届けておいたのだ。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1961年9月上旬号

日本映画紹介:江戸っ子繁昌記

2024/12/16

2024/12/16

55点

映画館/東京都/神保町シアター 


中村錦之助を堪能する1本

中村錦之助は、魚屋勝五郎と、勝五郎の妹お菊(小林千登勢)を娶った侍の青山播磨の二役を演じている。ポスターには、「魚屋と殿様・錦ちゃん二つの魅力が爆発する!」とある。この二役の演技の振り幅が、侍では凛々しさと美しい殺陣、魚屋ではおっちょこちょいのぐうたらな飲んべえを演じ分けており、思わず「上手いなあ」と、錦之助を堪能した。脚本は成沢昌茂で、落語の「芝浜」と「番町皿屋敷」を合体させた、二役のためのようなホン。タイトルを検索して気づいたが、繁盛記でなく、繁昌記なのは何故?【神保町シアター:マキノ雅弘の時代劇傑作選】

2023/08/25

2023/09/24

64点

テレビ/有料放送/東映チャンネル 


時代のトレンドを取り入れようとする姿勢は評価したいがまとまりが良くない

歌舞伎の「播州皿屋敷」「魚屋宗五郎」と落語の「芝浜」を一つの物語にまとめた作品。このアイデアは良い。
成澤昌茂脚本によるマキノ雅弘監督作品はこれが唯一の作品かと思う。あまり呼吸が合っていない。

制作年度の1961年は丁度ヌーベルバーグが日本にも押し寄せていた頃で、大島渚の「日本の夜と霧」や「儀式」に見られる長回しのカメラワークやリアリズムが、この映画に垣間見える。その流れ(trend)とマキノ監督の映像感覚がチグハグになって、まとまりが悪い出来栄えになった。錦之助の兄小川貴也にしてみれば、様式美を目指した青山播磨とリアリズムを目指した魚屋の勝とが、錦之助の芸域の広さとして見せたかった企画だったのかもしれないが、作品としてまとまりが良くない。
「芝浜」の部分ではリアリズムを目指そうとする錦之助に、歌舞伎や落語本来の江戸っ子の鯔背(いなせ)や粋(いき)な味わいが窮屈そうに見える。錦之助と千秋実、桂小金治が長屋で鍋をつつく場面で、千秋実が剣呑な気配を瞬間的に見せる辺りは、心理的な計算が行き届いているように見えて巧いと言うより、醒めた酔っ払いになっている。リアリズムのつもりが俗流自然主義に陥っている。

坂本武、桂小金治は松竹大船映画で培われた庶民感覚が長屋住人の味わいに生かされている。マキノ監督作品には初めての出演だったのではないか。

2020/07/12

2020/07/12

72点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


喜劇か?悲劇か?視点は面白い

 これは喜劇なのか?それとも悲劇なのか?区別し難い。でもまぁ、人情モノであることは間違いない。青山播磨とお菊といえば、私にとってはやはり田中徳三監督の「手討」(1963年)がベストである。がしかし、本作はお菊の兄夫婦に視点を置いた作劇というのが面白い。
 酔っ払う錦之助たちを長回しで捉えたカットに出演陣とカメラマンの強い連帯感、そしてクリエイター・表現者としての自信をありありと感じる。長屋の空気感、貧乏臭さが良く出ている。ただ、金貸しのおばあちゃんが途中、何者かに殺害されて退場してしまうのが残念。

2019/05/19

2020/01/31

90点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


映画史上最高の酔っ払い芝居

ラピュタ阿佐ヶ谷の錦ちゃん特集「江戸っ子繁昌記」は、2008年のマキノ生誕百年の時を含めて4回目ですが、「冷飯とおさんとちゃん」の「ちゃん」での“金なんかないよ、みーんな呑んじまったよ”と並んで、映画史上最高の酔っ払い芝居の一つを見せてくれる上、錦ちゃんがもう一つ得意とする泣き顔芝居も見せてくれる、あの喜びをまたしても堪能しました。
「江戸っ子繁昌記」は、マキノにしては例外的にダレ場のない映画で、それもそのはず、成澤昌茂から脚本を一行一語も直さずに撮ってほしいと注文され、その通りに撮った映画だからですが、「仇討崇禅寺馬場」の依田義賢脚本もそうだったように、キチッと出来上がった脚本だと見事な演出家に徹するマキノです。

2019/03/21

2019/03/21

60点

レンタル/北海道 


お馴染みのはなし

 「芝浜」と「番町皿屋敷」をミックスして錦之助が魚屋と旗本の二役を演じる、錦之助の魅力を楽しむにはうってつけの作品。最後は「芝浜」のサゲで終わりになるので落語ファンとしては大満足。

2015/04/23

2015/04/26

70点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 


芝浜+番町皿屋敷

#0436「江戸っ子繁昌記」。落語「芝浜」に怪談「番町皿屋敷」のエピソードを組み合わせた1961年製作のマキノ雅弘監督作品。中村錦之助が大金の入った革の財布を拾った江戸の長屋で愛妻と暮らす魚屋勝五郎と、皿を割った無実の罪を被って死んだ妹・お菊の嫁ぎ先の直参旗本の二役を演じている。