河口

かこう|----|----

河口

レビューの数

10

平均評点

72.9(30人)

観たひと

55

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1961
公開年月日 1961/7/26
上映時間 88分
製作会社 松竹大船
配給 松竹
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督中村登 
脚色権藤利英 
原作井上靖 
製作深沢猛 
撮影厚田雄春 
美術佐藤公信 
音楽黛敏郎 
録音吉田庄太郎 
照明青松明 
編集杉原よ志 
スチール梶本一三 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演岡田茉莉子 白川李枝
山村聡 館林吾郎
田村高廣 司梶太
東野英治郎 角井清一郎
杉浦直樹 三崎洋一
滝沢修 宮原大三
町田祥子 新藤かね子
川金正直 武田潔
水上令子 坂口みつ
沢村貞子 松村屋のお内儀
山内幸子 看護婦

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

井上靖の原作を、「斑女」の権藤利英が脚色し、「女の橋」の中村登が監督した女性編。撮影は「秋日和」の厚田雄春が担当した。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

白川李枝は、老実業家宮原の告別式に参列した。宮原は李枝を女にした男である。終戦後父が死に、養母や異母弟妹たちの生活を見るためと、一人で自由に暮すために体を投げ出したのだ。三年が過ぎるころから、彼女は宮原の体に老醜を感じるようになった。宮原は思いきりよく李枝を手放した。宮原の美術顧問をしている館林が、李枝に画商になるよう勧めた。店を出す金は館林が宮原から借りてきた。店を出して半年経った。運転資金が不足した折、李枝は製薬会社の社長角井と関係をもった。それからまもなく、貿易商の三崎とも関係した。三崎にだけは、取引きでない愛を感じた。しかし、三崎はやがて別れ話をもちだした。宮原が死んでまもなくのことである。三崎は三十万円を置いて去った。李枝は彼を思いきった。今度は、館林の紹介で知った建築家司を愛するようになった。司には十年来病気で寝ている妻があったのだが。司に京都、奈良を案内してもらった。帰京後、二人の間には中国地方へ美術行脚に出ようという話がまとまった。李枝は、大阪で司の乗っている列車に乗りこむはずであった。その日、彼女は館林から意外なことを聞いた。司が病いえた妻を連れ、アメリカの大学に招かれて近々渡米するというのである。李枝は苦しみ、遂に旅立つことを諦めた。彼女は画商として一途に生きようと考えたのだ。李枝は、とある河口に降り立った。海は汚かったが、彼女は潮風に吹かれいつまでも佇んでいた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1961年9月下旬号

日本映画批評:河口

1961年8月上旬号

特別グラビア:「河口」の中村組

日本映画紹介:河口

1961年7月下旬号

新作グラビア:河口

2023/08/18

2023/10/02

65点

映画館/東京都/神保町シアター 


岡田茉莉子をとりまく男たち

岡田茉莉子が打算と愛の間で男性遍歴を重ねる話。原作は井上靖。岡田は、まず家族のために自ら実業家滝沢修の妾になり、その後滝沢の部下の山村聰の世話で画廊を開く。滝沢都別れ、お金のために東野英治郎の妾になり、杉浦直樹と打算含みの恋愛をし、妻子のある大学教授の田村高廣を愛するようになる。最後は山村聰と結ばれるのかと思いきや、山村はあくまで事業のパートナーでちょっと意外だった。手に職のない女性は、身体を張るしかなかった時代を感じた。岡田は、サバサバした気の強い女性を好演。【生誕110年記念 映画監督 中村登 女性讃歌の映画たち】

2023/08/12

2023/08/12

76点

映画館/東京都/神保町シアター 


山村聰いればこそ

 女画商・岡田茉莉子の男性遍歴。松竹の正統派メロドラマのような作風でありながら、実質的にはコメディ映画である。コメディとして果たして完成されているかどうかはいささか疑問には思うが、鑑定士・山村聰の独特の不思議な役柄が物語にそれらしいムードを構築していく。この人の存在あってこそコメディとしてまぁ、成立しているのかもしれない。少なくとも渋谷実や川島雄三の、風刺の賞味期限が切れたような不味い映画よりかは全然良く出来ていると個人的には思うが。マイクの影と思われるものがチラッと映っているカット有り、惜しい。最後は建築技師の田村高廣に恋するも、彼が妻とともにアメリカへ渡る事実を知り、岡田はきっぱりと田村を諦める。その決心を山村が熱を入れて絵を競り落とす様子に重ねる辺りが印象深い。

2021/11/29

2021/12/03

60点

映画館/東京都/新文芸坐 


絶品、山村聰!

この映画を支えているのは、岡田茉莉子ではなく山村聰、そして東野英治郎だ。逞しく生きていく女性を描く様に見せかけて、男たちの滑稽さが際立っている。それにしても、山村聰がこんなに面白いとは誰が思っただろうか!

2021/11/25

2021/11/25

-点

映画館/東京都/新文芸坐 

『河口』。家族が食べるため、男の囲い者になった女性(岡田茉莉子)が主人公。彼女が開店させたパリ画廊は「すきやき岡半」の右隣(銀座7-6-15)。待ち合わせで利用していたレストラン「イーストサイド」は数寄屋橋公園の隣(銀座5-1-7)。走行中の列車内で撮影。大阪、京都、奈良でロケーション。

2021/11/25

2021/11/25

75点

映画館/東京都/新文芸坐 


岡田茉莉子の自立していく女性

池袋・新文芸坐にて鑑賞。

喪服を着た岡田茉莉子の回想形式で始まる物語。
松竹スコープのカラー映画が美しく、フィルム状態も良好で、昭和30年代の銀座・沼津などがカラーで見られるのは嬉しい。

岡田茉莉子が喪服を着ていたのは、以前お世話になったパトロン(滝沢修)の葬式だからだが、そこから滝沢修の思い出場面となる。
そして、山村聰との「仕事面でのパートナー関係」が始まるのだが、これが親子みたいになっていくあたりが面白い。
滝沢修の次は東野英治郎、杉浦直樹、田村高廣などと様々なかたちでの関係となっていく岡田茉莉子は、だんだんと自立していく女となっていく姿を好演。

中村登監督の描き方も不思議なタッチで、テンポ良く次から次のエピソード…というよりも「流れるような感覚で変遷していくエピソード」を描いているあたりも見事。

なかなか面白い映画だった。

<映倫No.12430>

2006/02/12

2015/03/30

80点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


謎の多い作品

いたるところに観客への罠が仕掛けられている謎の多い中村登作品。誰の回想なのか、いつの間にかすり替わっているのも不思議。確信犯的トリック。