丹下左膳 濡れ燕一刀流

たんげさぜんぬれつばめいっとうりゅう|The Sword Flies Like a Swallow|The Sword Flies Like a Swallow

丹下左膳 濡れ燕一刀流

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レビューの数

3

平均評点

58.3(12人)

観たひと

21

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇
製作国 日本
製作年 1961
公開年月日 1961/5/3
上映時間 84分
製作会社 東映京都
配給 東映
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督松田定次 
脚色松村昌治 
直居欽哉 
原作林不忘 
企画中村有隣 
橋本慶一 
撮影川崎新太郎 
美術川島泰三 
音楽富永三郎 
録音東城絹児郎 
照明山根秀一 
編集宮本信太郎 
スチル熊田陽光 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演大友柳太朗 丹下左膳
長谷川裕見子 櫛巻お藤
桜町弘子 お光
児玉ひろみ お美代
佐々木孝丸 作阿弥
目方誠 チョビ安
丘さとみ 萩乃
多々良純 鼓の与吉
山形勲 柳生対馬守
水野浩 田丸主水正
杉狂児 高大之進
大河内傳次郎 蒲生泰軒
高松錦之助 愚楽老人
黒川弥太郎 大岡越前守
左卜全 林道庵
柳永二郎 本多淡路守
平幹二朗 別所信濃守
香川良介 石川左近将監
戸上城太郎 蜂丹波
月形哲之介 浜田治平
小田部通麿 般若の政吉
上代悠司 赤鬼の清吉
赤木春恵 お滝
大川橋蔵 柳生源三郎

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

林不忘の原作を、松村昌治と直居欽哉が脚色し、「赤穂浪士(1961)」の松田定次が監督したおなじみの時代劇。撮影も「赤穂浪士(1961)」の川崎新太郎。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

女房気取りの櫛巻お藤、息子気取りのチョビ安に囲まれて、鼓の与吉などと賭場通いを続ける丹下左膳は或る日、盲の娘お光をやくざの手から救った。お光は作爺と呼ばれる彫刻師作阿弥に育てられていた。お光の目が百両あれば治せるという話を聞いて左膳は百両集めにひたむきになった。その頃、日光東照宮御修築奉行が伊賀の柳生対馬守に決まった。幕府隠密総取締の愚楽老人や大岡越前守らが柳生家に名宝こけ猿の壷ありとみて善意から推薦したのだったが、実際の柳生家は裕福でなくしかも対馬守の清廉な性質のため、収賄好きの老中本多淡路守に嫌われ腹心の別所信濃守を副奉行として対馬守を苛め始めた。対馬守の弟で伊賀の暴れん坊源三郎は、司馬道場の娘萩乃と婚約していたが兄の身を心配していた。その萩乃に師範代の峰丹波が邪恋を抱いていた。淡路守と信濃守は黄金の神馬を作ると称して対馬守に金策を命じ、その実木馬を作って対馬守に詰腹を切らせようとした。これには源三郎の動きが邪魔であった。峰丹波では源三郎を倒せないと知って彼らは左膳を百両で殺し屋として雇った。日光へ発った源三郎を追って、左膳は百両を医師道庵に託して発った。日光へ着いた左膳は与吉の手引きで源三郎と対決した。その時丹波が萩乃を縛り短刀をつきつけて現われた。源三郎は刀を捨てた。仲間の汚いやり方に左膳は丹波を倒し萩乃を救った。左膳と源三郎は手を握りあった。一方、お光の目の手術は成功したが、神馬を彫らせるため淡路守はお光と作阿弥を日光に拉致し、お光を人質として作阿弥に神馬を作らせた。完成した後、証拠イン滅を計って二人を殺そうとしたが、お光が対馬守の隠し子であると聞いて殺害を延期した。大岡越前守、愚楽老人の秘かな努力で十万両の金策ができた。対馬守が日光に到着する日、信濃守はお光をおとりに対馬守殺害を企んだ。与吉からこの総てを知った源三郎と左膳は、信濃守の罠の中におどり込んだ。その修羅場へ、奉行大岡越前守も役人を従えてのりこんで来た。左膳と源三郎の剣に、悪人は次々と倒されていった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1961年5月下旬号

日本映画紹介:丹下左膳 濡れ燕一刀流

2023/02/28

2023/02/28

80点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/PC 


1961年5月といえば

黒澤明「用心棒」公開が1961年4月公開だから、本作とは同時期に観られた可能性もある。とすれば、ひじょうに大雑把な話ながら、これは東映時代劇最後の徒花となったのかもしれない。これは大友左膳の第4作だが、順序がちがうが先日観た第5作「乾雲坤竜の巻」はモノクロで、監督も作風もまるっきり変わってしまったこともひとつの証左といえるのではないか。なにも左膳が悪いわけではないが、映画の世界ではこういうことは何度も繰り返されてきた。「用心棒」の衝撃がそれほど大きかったということだろう。それでもこの左膳はそれなりに悪いデキではない。スケールは多少小さくなったが、相変わらず明るく楽しい大友左膳の典型作である。おなじみの面々とおなじみの話がおなじみ通りに繰り返される。これを待っていた人もまだまだ多かったのではと思うのである。ともあれすべてを観たわけではないが、これで丹下左膳もひとまず一段落か。

2015/12/07

2022/02/20

75点

選択しない 


再びこけ猿の壺登場

 大友柳太朗版・丹下左膳のシリーズも第四弾、「濡れ燕一刀流」であります。監督は第一作以来担当してゐる松田定次。林不忘の原作を松村昌治と直居欽哉が脚本化してゐます。

 サテ、日光東照宮御修復の担当が伊賀国・柳生対馬守(山形勲)に拝命されます。莫大な費用が掛かる為、本来、財政的に豊かな藩が指名されるのですが、意外にも清貧で知られる対馬守になつたのは、莫大な資産の秘密が隠される「こけ猿の壺」を所有してゐたからでした。

 一方トンガリ長屋の丹下左膳(大友柳太朗)は、盲目の娘・お光(桜町弘子)と知り合ひ、彼女の目を治すには百両かかる手術が必要と知ります。そこへ対馬守の弟・源三郎(大川橋蔵)を斬れば百両の仕事を請け負ふ左膳。これを依頼したのは、源三郎の許婚で司馬道場の娘・萩乃(丘さとみ)に横恋慕する、師範代の峰丹波(戸上城太郎)。
 左膳は源三郎と対峙しますが、峰丹波の卑怯なやり口に態度を変へ「表返」るのでした......

 オヤ又もや「こけ猿の壺」かと思つたら、その後の展開は違つてゐました。柳永二郎の淡路守と信濃守の平幹二朗がワルで、珍しく柳生対馬守が山形勲で、お人よしの善人役です。戦前の左膳役者・大河内傳次郎が蒲生泰軒を演じるのは同じですが、大岡越前守は黒川弥太郎に変更になつてゐます。

 トンガリ長屋のメムバアではお藤役に長谷川裕見子が復帰、与吉は同じく多々良純ですが、今回ワルの手先となつてゐます。最後には味方に戻りますが、今回の罪は重いと申せませう。
 チョビ安は松島トモ子が成長してしまつたので、本来の男の子(目方誠)に変りました。これら善意の面面が、桜町の目を治す事に懸命になるのです。

 その桜町弘子の出自の秘密を巡るエピソオドが、すんでの所でワル共の野望を砕く切掛けとなりました。大川橋蔵は今回も大活躍。ダブル主演と申せませう。クライマックスの大立回りはファンも満足の大活劇。
 このホームドラマ風の、ほのぼのした勧善懲悪テイストは、本作まで。次作「乾雲坤竜の巻」ではガラリと作風が変るのでした。

2016/01/12

2016/01/12

60点

テレビ/有料放送/東映チャンネル 


こけざるの壺の変形

財宝のありかを示すこけざるの壺をめぐって、とんだ茶番がおきる。その財宝をはき出させようと東照宮の修理を柳生(月形龍之介)に命じるが、壺の中には何も記されたものがない。人の良い柳生は金策にはしりまわっており、老中(柳永二郎)やその腹心(平幹二朗)からカモにされる。
一方相変わらずの左膳はめくらの娘(桜町弘子)を助けるため、柳生源三郎(大川橋蔵)を斬ることを100両で請け負うが、あまりにやり方が汚いためそれを反故にする。
登場人物とこけざるの壺という小道具だけ借りて展開する全く別の物語。
いろいろな伏線があるが、見所は最後の大立ち回り。大友柳太朗と大川橋蔵が縦横に暴れる。