東海道非常警戒

とうかいどうひじょうけいかい|The Last Betrayal|The Last Betrayal

東海道非常警戒

レビューの数

2

平均評点

71.3(8人)

観たひと

15

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル アクション
製作国 日本
製作年 1960
公開年月日 1960/12/10
上映時間 82分
製作会社 新東宝
配給 新東宝
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督山田達雄 
脚色宮川一郎 
藤島次郎 
企画島村達芳 
製作大蔵貢 
撮影河崎喜久三 
美術岩武仙史 
音楽橋本力 
録音中井喜八郎 
照明傍士延雄 
スチル米田信行 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演宇津井健 山内一郎
伊達正三郎 高木俊夫
小畑絹子 川島京子
高宮敬二 村井正義
若宮隆二 加島大造
御木本伸介 江川鉄治
渡辺高光 野村
小野彰子 順子
中村虎彦 東山英輔
中西杏子 東山美智子
大原永子 千代
瀬戸麗子 安子
広瀬康治 塚本
大谷友彦 安岡
高松政雄 森岡捜査課長
国創典 井上警部
高村洋三 内川刑事
岡竜弘 雑誌「トップ」編集長
秋山要之助 東京駅公安室主任
小浜幸夫 雑誌社現像係

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

宮川一郎と藤島次郎の共同脚本を、「中乗り新三 天竜鴉」の山田達雄が監督したアクション・ドラマ。撮影は「怪猫 お玉が池」の河崎喜久三。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

部長刑事山内一郎が休暇を大阪で過す間、彼の現われるところ必ず事件ありと、週刊トップ社の川島京子は附纏ったが遂に何事も起らなかった。ところが、帰京の列車の中で山内と京子と鉄道公安官の高木が雑談中、東山産業社長令嬢美智子が兎唇の男に父の言附と言われて横浜駅で下車していった。東京駅で迎える女中千代は美智子の姿が見えないので公安室に届けた。東山社長は以前に脅迫をうけた安岡組の仕業とみて警察には秘密にした。高木の恋人安子は、女中の千代を味方に引き入れ、犯人から一千万円の脅迫電話があったことを知った。しかしその千代は、東山が秘書の村井と相談して犯人と新宿で会うと高木に知らせるが、帰途フォードに轢き殺された。それを知った山内は新宿で待ち伏せるが、スクープを狙った京子のため犯人に逃げられてしまった。その頃、廃工場に監禁された美智子は発熱し、医師塚本が連れてこられるが彼も一緒に監禁されてしまった。警視庁ではフォードが安岡組のものであり、安岡組の元幹部で組を迫出された加島が乗り逃げしていることを知った。こちらの動きが余りにも犯人にすぐ判ってしまうので、内部に手引者ありとみた京子は秘書の村井が幼友達であることから彼に近づき、彼のポケットから手帖を奪って逃げた。その手帖から加島と村井が誘拐事件の犯人と判った。その頃は既に東山から一千万円を受け取った加島は、村井達とその金を分配すると二人を閉じこめたまま大阪へ逃げ出した。やっと脱出してきた塚本からこれを聞いた警視庁では直ちに東海道非常警戒を布いた。しかし、加島と村井はフォードを乗り捨て、かねて用意の自衛隊の服を着て大阪行き急行に乗り込んだ。山内は捨てられたフォードから、犯人達は列車に乗ったものとみて高木に連絡、熱海駅でその列車に乗り組むことになった。公安官高木の電報をうけとる態度から、このことを察知した二人は高木を列車運転室に連れ込み、熱海駅での通過を命じた。通過する列車をみて山内達は自動車で後を追った。列車運転手はこのままで十分も進むと、上り急行と正面衝突すると二人に告げた。それを運転手の嘘とみた二人だったが、浜松を過ぎた時、正面に列車をみた二人は停車を命じ、高木を殴り倒して逃げだした。しかし、山内達の乗った車がもうその二人を見つけ包囲の無線連絡をとっていた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1961年1月上旬新年特別号

日本映画紹介:東海道非常警戒

2023/10/21

2023/10/22

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 

『東海道非常警戒』。新幹線ができる前の特急「こだま」。車窓風景はスクリーンプロセス。タイアップ商品はオリンパス・ペン。雑誌広告と週刊トップ記者川島京子(小畑絹)が愛用している。彼女の地元近くの川崎市電の電停はどこだろう。電話していたのは川崎球場前。タクシー初乗り80円と100円の2種。

2011/12/28

2021/12/02

70点

選択しない 


社長令嬢誘拐事件を解決せよ

 1960年の「東海道非常警戒」、山田達雄監督作品であります。この監督、アラカンさんとか時代劇の印象が強い。
 宇津井健さんの役柄は山内刑事。鉄板です。山内の現れるところに事件ありと勝手に格言を作り、週刊誌記者の京子(小畑絹子)は山内に何かと付き纏ひます。しかし特段の事件は起きず空振りかとがつかりしてゐたら、東山産業の社長令嬢・美智子(中西杏子)の誘拐事件にぶち当たるのです。

 東山社長(中村虎彦)は何かと敵が多い。警察は捜査の協力を依頼しますが、犯人の報復を恐れ拒否します。東山家の女中・千代(大原永子)が情報提供をしてくれるといふので山内くんが呼び出したところ、彼女は途中で轢き逃げされ殺される!

 身代金の1000万円を用意した東山社長は、犯人の指定する場所へ赴きますが、ここで京子が出しやばつた為犯人は逃げてしまふ。全く迷惑な奴。警察の動きが何かと犯人側に読まれてゐるので、山内は内部に情報提供者がゐると睨みます。東山社長の秘書・村井(高宮敬二)が京子の幼馴染で、京子に求婚した関係を利用し、京子はこつそり村井のメモ帳を盗みます。その結果分つたのは......?

 新東宝も末期の一作で、既に大蔵貢退陣後の作品であります。彼は明治天皇で新東宝を潤はせましたが、放漫経営で結局は会社を窮地に追ひこむのでした。それにしても新東宝作品はクレジットで「出演(者)」といふ字が無い事が多く、スタッフの後にイキナリ俳優の名が出ます。どうでもいいけど。

 宇津井健が相変らずの熱血漢を演じます。彼は何を演じても宇津井健。爽やかで一直線。ヒロインは小畑絹子。新東宝を代表する美女。この頃は若い女優にヒロインを譲る場面が多かつたのですが、ここでは準主役的存在。仕事熱心なあまり、宇津井に迷惑をかけてゐますが、後に挽回する金星を挙げます。

 実直な青年を思はれてゐた高宮敬二が実は野心家の裏切者で、ワルの仲間御木本伸介が本当は良い奴といふ逆転現象もあります。御木本は今では死語(禁止用語?)となつた「三ツ口」で、時代を感じさせます。
 社長令嬢に抜擢されたのが中西杏子。彼女にしては出番が多く、女優人生の中でも代表作かも知れません。新東宝倒産後は東映作品に出てゐたやうですが、その後どうなつたのでせうか。

 他は鉄道公安官に伊達正三郎、その彼女に瀬戸麗子、ワルの若宮隆二、宇津井の上司に捜査課長の高松政雄、小畑の上司に編集長の岡竜弘ら。

 タイトル通り東海道線の列車が舞台に駆使されます。冒頭ではイキナリ神戸駅が映され、当時の花形特急「こだま」の雄姿が拝めます。憧れのクロ151(パーラーカー)も映つてゐます。食堂車での宇津井と小畑のシーンもよろしい。
 終盤では犯人が長崎行急行「雲仙」に乗り込みます。牽引するのはEF58。まる一日かけて終着まで疾駆する列車で、さだまさしさんの想ひ出の列車ださうです。映画では浜松で降りますが。

 新東宝アクションらしく、物語は停滞することなくテムポよく展開します。ベタな設定で安定の一作と申せませう。