柳生武芸帳(1961)

やぎゅうぶげいちょう|----|----

柳生武芸帳(1961)

レビューの数

6

平均評点

60.8(24人)

観たひと

41

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇
製作国 日本
製作年 1961
公開年月日 1961/3/1
上映時間 82分
製作会社 第二東映京都
配給 ニュー東映
レイティング
カラー シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督井沢雅彦 
脚色結束信二 
高田宏治 
原作五味康祐 
企画吉辺恒生 
撮影杉田正二 
美術大門恒夫 
音楽阿部皓哉 
録音中山茂二 
照明前田光秋 
編集細谷修三 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演近衛十四郎 柳生十兵衛
花園ひろみ 清姫
伊吹友木子 夕姫
北龍二 柳生但馬守
和崎隆太郎 柳生又十郎
永井三津子 於き
山城新伍 神矢悠之丞
立原博 いなごの鳩助
徳大寺伸 松平伊豆守
阿部九洲男 土井大炊守
原健策 山田浮月斎
品川隆二 霞の多三郎
国一太郎 中元康之介
渡辺篤 坂和田嘉六
春海洋子 
原京市 笠間又兵衛
末広恵二郎 柳生源太夫
近江雄二郎 田中甚兵衛
遠山金次郎 馬木家六
小田部通麿 鈴木万四郎
団徳麿 久兵衛
堺駿二 大久保彦左衛門
山本操子 お梅
大城泰 弥吉
藤田佳子 お弓
富士美子 お由
弥生弘子 お清
斎藤晃子 お品
里見浩太朗 永井信濃守

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

おなじみ五味康祐の同名小説を、結束信二と高田宏治が脚色し、「お奉行さまと娘たち」の井沢雅彦が監督した時代劇。撮影は「地雷火組(1960)」の杉田正二。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

夕暮れの街道を行く虚無僧二人は家名再興を志す竜造寺家の遺児夕姫と忠臣神矢悠之丞。忍び姿の侍たち--山田浮月斎を頭とする霞の多三郎ら疋田陰流の一味が二人を襲う。目的は夕姫のもつ柳生武芸帖。それは柳生新陰流の秘伝と称され、天下を左右する恐怖の謎を秘めた水月・浮月の二巻。乱闘数刻、夕姫は武芸帖を通りかかった柳生十兵衛に渡しそのすきに逃れるが中味はただの白紙。彼女は山間の出湯で一息入れるが、虚無僧の装束を永井信濃守の妹清姫に持ち去られる。翌日、十兵衛は霞の多三郎と渡し舟に乗りあわせ武芸帖をめぐる浮月斎一味の陰謀を聞かされるが、同じ舟に居合わせた虚無僧姿の清姫に強引に弟子入れされる。じやじや馬姫の出現で眼れぬ夜を迎えた十兵衛を神矢悠之丞が襲いかかる。竜造寺家を幕府が改易にしたのは柳生家の密告によると信じた上での行動である。多三郎が悠之丞に力をかし、十兵衛には駆けつけた弟又十郎が加勢。--武芸帖の噂は幕閣の間にも広がる。十兵衛の父但馬守宗矩が全国の柳生新陰門下に檄をとばしたというのだ。柳生家追求に土井大老が立ち上ったが、松平伊豆守、永井信濃守、大久保彦左衛門らは宗矩の側に立った。江戸に戻った十兵衛と又十郎は父から武芸帖の謎を初めて聞かされた。それは、かつて家康が幕政を確立したころ、公卿の間に幕府転覆の陰謀があり、宗矩は父石舟と共に一味に加わったごとく装い連判状に名を連らねて事件を未然に防いだその連判状で、今これが公けになれば、柳生家はもちろん、天下の一大事になるというのだ。十兵衛の後を追って江戸に出た夕姫は悠之丞と土井大老に直訴したが、その場になって肝心の武芸帖がない。失望の余り自害しかけたところを大久保彦左に救われる。一方、十兵衛は彦左の計らいで姫君姿に返った清姫と楽しい一日を過ごし、また伊豆守の引き合わせで夕姫と悠之丞とも和解、竜造寺家再興に力をかすこととした。夕姫の持っていた武芸帖浮月の巻は清姫の手にあった。が、これを知った多三郎に姫ともども奪われる。宗矩のもつ水月の巻も浮月斎にねらわれたが十兵衛の力ではばむ。しかし、清姫と水月の巻を手中にした浮月斎はこれをオトリに十兵衛に一騎討を申込む。時刻は明六ツ。戸塚ケ原に柳生新陰と疋田陰流の両雄者が対峙する……。

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2025/06/15

2025/06/15

60点

VOD/U-NEXT/レンタル/PC 


「柳生武芸帳」という言葉はかなり前から知っていたが、てっきり柳生新陰流の奥義が書かれたいたものと思っていたが、今作での山田浮月斎や霧の多三郎らの疋田陰流と同様に勘違いをしていた。本当は徳川幕府転覆を狙う諸大名らをあぶりだす為に、柳生一門もその一派が名を連ねる書状に署名していたものを指すという。これが世に出回れば柳生一族が危うくなる。
最終的に大チャンバラ大会になるのだが特撮を使っていて、せっかく殺陣が素晴らしい近衛十四郎が柳生十兵衛を演じているのにもったいないなと思った。

2024/01/22

2024/01/22

65点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


本作での品川隆二は悪役だが、茶店で近衛十四郎と会話するシーンでは後の月影兵庫と焼津の半次のシーンを思わせて楽しかった。クライマックスでの浮月斉と十兵衛がワイヤーで跳び上りフレームの外で決着がついてしまったのは物足りなかった。跳び方も不自然だった。

2024/01/06

2024/01/06

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 

『柳生武芸帳』(1961年、ニュー東映)。渡辺篤、堺駿二等を起用し肩の凝らない出来になっている。大久保彦左衛門(堺駿二)は盥で登城。黒幕らしき幕閣土井大炊守(阿部九洲男)はお咎めなし。忍者はスーっとその場に現れる。柳生十兵衛(近衛十四郎)と霞の多三郎(品川隆二)は呉越同舟。

2023/06/22

2023/06/23

65点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


コミカルにやっても今のコメディ時代劇とは厚みが違う

同じ原作で前に東宝で映画化されている。東宝版では霧の多三郎(三船敏郎)・千四郎(鶴田浩二)の兄弟を主人公にしている。これは原作通りで、この東映版は柳生十兵衛を主人公にしている。柳生武芸帳、というタイトルからは柳生十兵衛が主人公なのは当然じゃないかと思ったりしていたけど、ホントは十兵衛は脇役だったのだ。この柳生武芸帳9作で、近衛十四郎が演じた柳生十兵衛を主人公にしたことにより、時代劇の人気キャラクターにしたのだろう。後に「柳生一族の陰謀」で千葉真一が十兵衛を当たり役にしたし、私の世代では十四郎よりも千葉ちゃんの持ち役と言う感じである。マンガの「ハレンチ学園」で、ヒロインの名前が柳生みつ子だが、通称で十兵衛と呼ばれていることからも、永井豪先生もこの東映版の印象が強かったのだ、と思う。

そういう風になった柳生十兵衛というキャラクターを世に広めたシリーズとなるだろうが、製作がニュー東映ということからも、会社としても力を入れた作品というわけでもない。映画全盛期の時代、作品の量産しなくちゃならないというわけで立ち上げたニュー東映製作なので、まあ二番手というところ。

実際観てみると意外と軽めの作風なのだ。コミカルな面が結構多かったりするし、荒唐無稽な忍者映画の趣向(ふっと消えたり現れたり、煙幕を張ったり、壁の上にビヨ~ンと飛び乗ったり吊りによるジャンプなど)があったりするから、ハードな時代劇とは全然違う気軽に観る映画である。
コメディリリーフである堺駿二がなんと天下の御意見番・大久保彦左衛門の役で、柳生武芸帳を巡る争いを収めようとする重要な役どころなのに、堺をキャスティングしていることでこの彦左衛門も軽くなっちゃうのだった。

そんな軽めで気軽に観る作品であるが、さすがに時代劇の定型を守った作品というところで、セリフ回しや所作はちゃんとした時代劇なのだ。最近はコメディ時代劇が良く作られるが、監督も役者も時代劇の伝統が継承されないままでいるから時代劇が出来ない。その時代劇が出来ないやつらが、現代劇の演技でやってコメディだからねえと言い訳しちゃいそうだ。時代劇の基本がちゃんとあって、それを外してコメディにするから面白みが出るものを元々時代劇ができないやつらがわあわあ喚いているんじゃあ、笑いにもならない。

そんなわけで時代劇もどきの昨今、こういう時代劇を観ると癒されるなあ~。作品としては平凡な出来なんだけど、楽しめた。

2011/07/27

2020/07/10

80点

選択しない 


我らがダンナの登場だ

「柳生武芸帳」の原作は、五味康祐の同名小説。1956-58(昭和31-33)年にかけて連載されたもので、早くも1957年に東宝が映画化を果たしてゐます。恥づかしながらわたくしは未読ですが、当時大ブウムを起こした小説だといふことです。登場人物が多岐に渡り、主人公も判然とせず、物語が膨らみ過ぎて収拾がつかなくなつて、結局未完に終つたさうです。

 東宝では霞の多三郎・千四郎兄弟を主人公に三船敏郎・鶴田浩二のキャストで映画化。超大物二人の豪華共演であります。
 一方東映では、柳生十兵衛を主人公として、戦前からの剣劇スタア・近衛十四郎を起用。1961-64年の間に9作も製作されるシリーズとなりました。

 第一作はシアリアスな場面も多くあるものの、シリーズ後半に比べたら割と軽めの雰囲気で、ユウモラスな描写も多いのです。柳生十兵衛を主人公とした事で、父・柳生但馬守(北龍二)、弟・柳生又十郎(和崎隆太郎=後の和崎俊也)らのファミリーを中心とした、アットホームな感じ。
 さうなると、必然的に敵は山田浮月斎(原健策)、霞の多三郎(品川隆二)らといふことになり、柳生武芸帳(水月の巻・浮月の巻)を巡つて争奪戦が繰り広げられるのでした。

 竜造寺家再興を目指す夕姫(伊吹友木子)とその臣下悠之丞(山城新伍)が、お家改易になつたのは柳生家の中傷によるものだと訴へるために、証拠品として武芸帳・浮月の巻を秘め旅を続けてゐました。しかし武芸帳は永井信濃守(里見浩太郎)の妹・清姫(花園ひろみ)によつて持ち去られます。それを知つた多三郎は、武芸帳ごと姫を拉致、浮月斎は柳生家の持つ水月の巻を賭けて、十兵衛に勝負を挑むのでした......

 いやあ、面白いですねえ。武芸帳をめぐる目まぐるしい展開。近衛の殺陣も勿論堪能できます。ワイヤーアクションを駆使した派手な立ち回りも。笑ひ担当の堺駿二・立原博もよろしい。白黒なのが残念。第一作はニュー東映製作だし、何かにつけて軽んじられてゐるなあ。

2014/08/14

2014/08/14

70点

テレビ/有料放送/東映チャンネル 


近衛十兵衛の登場

近衛十四郎による柳生十兵衛、柳生武芸帳の始まり。
1957年、1958年に稲垣浩監督の柳生武芸帳連作があった。これは忍者と姫との恋物語をはさみ組織の掟に悩む忍者や、使命を果たそうとする姫の悩みなど結構重いテーマを描いていた。この映画はそれと比べると娯楽に徹し、武芸帳の取り合いをおもしろおかしく描いている。
第二東映ではあるが、脇役は東映の粒ぞろい。主役級も一応東映の二番手では有るが、近衛十四郎と山城新伍を配しており、B級というわけではない。
十四郎の豪快な殺陣も見ものだが、堺俊二が大久保彦左衛門となり、まじめに役柄に取り組んでいるのもおしろい。もちろん堺のことであるから、当然おかしみを伴うものではあるが。
女優としては花園ひろみぐらいで後は有名な女優は出ていない。花園はいつも通りお姫さまだが、だいぶお強いお姫さまを演じている。