セックスドキュメント エロスの女王

せっくすどきゅめんとえろすのじょおう|Queen of Eros|Queen of Eros

セックスドキュメント エロスの女王

レビューの数

4

平均評点

56.6(8人)

観たひと

13

観たいひと

1

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル エロス
製作国 日本
製作年 1973
公開年月日 1973/2/3
上映時間 71分
製作会社 東映京都
配給 東映
レイティング R-18
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督中島貞夫 
構成金子武郎 
中島貞夫 
企画天尾完次 
三村敬三 
撮影赤塚滋 
録音格畑学 
照明金子凱美 
編集市田勇 
助監督依田智臣 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

ナレーション金子信雄 

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

セックス氾濫の現代にどっぷりと身を浸し、セックスを生業とするプロフェッショナルたちが日本各地に点在し、秘かに、根強く息づいている生きざまの数々を日本各地を駈けめぐり収録したドキュメンタリー。監督は「木枯し紋次郎 関わりござんせん」の中島貞夫、撮影は「緋ぢりめん博徒」の赤塚滋がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

乱交パーティを主催する学生/東京の夜。ある町で男女学生が通行人に学生運動の資金カンパを呼びかけている。その後学生達は、あるマンションに入って行く。部屋の中には、五人の若者と四人の娘の裸体がからみ合っている。酒と睡眠薬とセックスの陶酔が次第に彼等を呑みこんでいく。そしてこの乱交パーティを主催した学生達の実態を浮きぼりにしていく。ヌードモデル百人を操る火石利男/火石利男はヌードモデル百人を所属させているプロダクションの経営者である。新春の大デモンストレーションの撮影現場では、百人のヌードにカメラマンが群がる。キビキビと動きまわり娘達にポーズをつける火石氏。娘達は一糸乱れぬ統率のもとに千変万化の群像をつくっていく。サド・マゾショーのローズ秋山氏夫妻/熊本県荒尾市の一隅に住む秋山氏を訪れる。夫妻には出産による二年七ヶ月にわたる舞台の空白があった。再起をめざして、深夜になると秘かにSMショーの練習をする。いよいよ再出発である。子供を親戚に預け、巡業の旅に出た。そして、劇場では秋山夫妻のSMショーが開演される。貞操帯を作る28歳の美女/男女の貞操帯を作り、新しいおとなのおもちやを考案し、それを生きがいとする若き女性を探る。カメラは彼女が男の貞操帯を作成する過程を追っていく。暗黒の画面(稲倉清純)/一年二ヶ月の判決を受けた、セックスショー演出家・稲倉清純氏が服役直前での演出風景を眺く。72年から73年にかけての日本の情況に斬りこむかのように、熱気をはらんで演じられる凄まじい迫力のセックスショーが展開される。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1973年3月上旬号

日本映画紹介:セックスドキュメント エロスの女王

2019/08/26

2020/03/26

55点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


時代の変わり目としての巧い実例を示し得ていない

中島貞夫のモンド映画特集第4作「セックスドキュメント エロスの女王」を観るのは、確か新文芸坐がニュープリントで上映した時以来で、荒木一郎による僅か2音のベースラインが延々繰り返される音楽が耳にこびりつく映画ですが、この長~いヤラセ場面で終わりだっけ、と呆気ない幕切れに唖然としました。
この映画で一番面白いのは、冒頭1972年の除夜の鐘が鳴らされる場面に続く、まさに激動の年だったとして総括される72年のニュースハイライトで、沖縄返還、日中国交回復、札幌五輪、日本列島改造論、水俣病などの公害、横井正一さん帰国、あさま山荘、連合赤軍、日活ロマンポルノ摘発など、まさに時代の変り目だったことが思い出されました。
1972年は、坪内祐三氏の著書「一九七二」に書かれた通り、敗戦後の日本を律していた政治的・社会的文脈が終わりを告げ、それ以降の21世紀現在にまで連なる文脈へと切り替わる節目の年だと思われますから、中島貞夫もそうした時代の変わり目を体感したのだろうと思うものの、本篇の中のエピソードとしては、巧い実例を示し得ていないと思います。
この映画は、モンド映画過去3作がそうだったように16ミリで撮られて35ミリにブローアップされている一方、一部画面の口の動きと音が合っているものの、シンクロ録音ではなく編集時にダビングしたものだと思われます。ラストの乱交場面は隠し撮りふうですが、照明やキャメラ位置からしてヤラセに違いありません。

2014/11/14

2015/02/20

60点

映画館/東京都/新文芸坐 


戦後日本の曲がり角

 新文芸坐の中島貞夫特集「エロスの女王」は、正真正銘のニュープリントで、冒頭に出てくる1972年の回顧ニュース映像を観ていたら、坪内祐三氏の書物にもあった通り、この72年こそが戦後日本の曲がり角だったという実感を強めました。ぴあ創刊、マクドナルド第1号店開業もこのあたりです。中島は、そんな時代変化の匂いを嗅ぎ取ったのでしょう、その時代相の中でも性文化という題材に絞った現象を紹介してゆきます。
 前作「性倒錯の世界」は、音楽製作・荒木一郎、音楽・グループM、とクレジットされ、フォークソング調のスローバラッドが基調となっていたのに対し、「エロスの女王」のほうは、音楽・荒木一郎とクレジットされ、まるで永遠に続くかに思われたリズミカルなベースラインが耳に残るロック調の音楽が使われ、フリージャズふうのドラム・ソロも印象的でした。

2014/11/14

2014/11/15

30点

映画館/東京都/新文芸坐 


「エロスの女王」というサブタイトルがついてたので、一条さゆりとか有名なお姉さま方の芸が見られるのかと思ったら、セックスショーとかSMショー、ヌードモデル撮影会など、わりあいに特殊な?風俗が中心でした。やっぱり、覗き見趣味を満足させるための映画なんだよね。
なんといっても、九州で子育てしながらSMショーの芸道を追求し、四畳半の部屋で汗だくになりつつ練習をする夫婦の努力が涙ぐましい。どうでもいいけど、お母さんと娘ちゃんの70年代風フードつきポンチョがひそかにツボ入りました。ヌードモデルの前張りもこの頃に出たばかりだったのか、とか、細かいところが面白かった。
基本的に風俗のプロを取材しているので、2本立てで見た「性倒錯」に比べれば、こちらの方が被写体への敬意があって、それほどイラってせずに見られるな、と思ってたら…また最後にそれかい!学生運動が売春で資金を稼いでいるという、嘘か本当かわからないことを取り上げつつ、でもこれ、完全にサービスショットでしょ。なんでこう、いちいち社会問題を憂えてます、というポーズをとらないと自分のスケベ心を肯定できないのか。不思議なオッサンだわ。

2014/11/14

2014/11/14

50点

映画館/東京都/新文芸坐 


時の移ろいは残酷である

SMショーのローズ秋山夫妻はパリで学び、帰国しても芸に精進し子供の寝た後の部屋で練習を深夜まで行い、子供を預け斯界の聖地の関西で披露する。結果についてのインタビューはないが、どうもあまり好評とは言えないような反応なのが気になる。
何事によらず、プロの道は険しく、ましてや老いてまで出来る仕事でもなく、本作品完成から40年以上経た現在、彼・彼女たちが幸せに暮らしているか気がかりである。彼らの芸が刹那的な一過性のものではなかったと思われている事を望む。