八月の濡れた砂

はちがつのぬれたすな|Wet Sand in August|Wet Sand in August

八月の濡れた砂

amazon
レビューの数

45

平均評点

72.8(194人)

観たひと

266

観たいひと

18

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1971
公開年月日 1971/8/25
上映時間 91分
製作会社 日活
配給 ダイニチ映配
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督藤田敏八 
脚本藤田敏八 
峰尾基三 
大和屋竺 
企画大塚和 
藤浪浩 
撮影萩原憲治 
美術千葉和彦 
音楽むつ・ひろし 
録音古山恒夫 
照明大西美津男 
編集丹治睦夫 
助監督松岡明 
スチール浅石靖 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演広瀬昌助 西本清
村野武範 野上健一郎
中沢治夫 川村修司
赤塚真人 渡辺マモル
隅田和世 稲垣和子
藤田みどり 三原真紀
テレサ野田 三原早苗
三田村元 西本武
八木昌子 西本文子
奈良あけみ 野上雅子
渡辺文雄 亀井亀松
地井武男 井手
新井麗子 女教師
牧まさみ 由美
市村博 大学生
木村敏行 大学生
大浜詩郎 大学生
長浜鉄平 大学生
原田芳雄 神父
山谷初男 五郎

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

夏の湘南を舞台に無軌道な青春を、スピードとセックスと暴力を通して描く。脚本は「野良猫ロック セックス・ハンター」の大和屋竺と峰尾基三。監督は脚本も執筆している「野良猫ロック 暴走集団'71」の藤田敏八。撮影は「女の意地」の萩原憲治がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

朝の海辺。オートバイをぶっとばす清は、緑色のオープンカーから下着だけで放りだされる少女を目撃する。それは不良学生に暴行された少女早苗で、全裸になって海へ飛び込んだ彼女はごしごしと身体を洗う。清は無人の売店小屋へ彼女を入れ、家に帰って、服を持ってくるが、彼女の姿はなかった。しばらくして、早苗の姉、真紀が清を訪ねてきた。彼女は、清を暴行犯人と思ったらしく、車に乗せ警察につきだそうとするが、怒った清は、車の中で真紀に強引に挑む。しかし、途中で気が変ってしまう。その夜、清は、以前、高校を中退した友だちの野上健一郎と、彼の母雅子の経営するバーで酒を飲む。そこには、雅子に求婚している亀井亀松がいる。健一郎は、何事も理解したような顔をしている亀井が大嫌いだった。数日後、早苗が清を訪ねてきた。その時海岸で彼女を犯した例の不良学生たちを見つけ、健一郎も加わって、オープンカーを奪いさんざんにいためつけ、そのまま早苗の別荘にいって遊んだ。翌日の晩、健一郎は裏通りで三人のヤクザらしい男たちに襲われ、半死半生の目にあう。見舞いにきた亀井の口がすべったことから、彼は、ヤクザを雇ったのは実は亀井だということを知ってしまう。健一郎の傷がいえた頃、彼が、クラスメイトだった優等生タイプの和子にいたずらしたことを知った、彼女に気のあった修司は決闘を申し込むが、惨敗し、火をつけられた修司は、和子を強引に犯す。和子はショックで自殺する。しかし、清も健一郎も、何の興味も湧かない。海にもぐって死んでみようと遊ぶが結局できない。数日後亀井が皆をヨットに招待した。復讐のチャンスと健一郎は、清と早苗、真紀を連れて乗り込み、出航直前、亀井と雅子に銃をつきつけ陸に追いやってしまう。何の目的もなしに、四人はヨットを走らせる。健一郎は清をけしかける。二人の男が真紀を襲う。真紀の切れ切れの悲鳴。真紀はついに犯される。熱いセックスの汗が流れる。そして銃声が鳴り響いた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2018年8月上旬特別号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第2弾 1970年代日本映画ベスト・テン:ベスト15グラビア解説

2004年8月下旬特別号 創刊85周年記念特別号2

キネ旬DVDコレクション :第148回 「八月の濡れた砂」

1972年6月上旬号

ニュー・ウェーブ:「八月の濡れた砂」へのバラード

1971年12月上旬号

NEW WAVE:藤田敏八「八月の濡れた砂」私論

1971年10月上旬秋の特別号

映画批評:八月の濡れた砂

1971年9月下旬号

日本映画紹介:八月の濡れた砂

1971年8月下旬号

特別グラビア:八月の濡れた砂/藤田敏八

シナリオ:八月の濡れた砂

2024/03/14

2024/03/14

55点

レンタル/東京都/TSUTAYA/TSUTAYA 恵比寿ガーデンプレイス店 


そして、よっとは行く、頼りない未来へ

ネタバレ

どんなに時代が変わっても、変わらないのは若者の「怒りと焦燥感」。大人の目には「無気力」に映っていても、若者の心の中は、理不尽な社会に対する反抗と、無力な自分に対する悔しさがくすぶっている。ただ、若さゆえに、その「怒り・焦り」を巧く昇華できずに、怒りはそのまま体内に凝固していく。やがてその圧迫に耐え切れず、若者は自分や他人を傷つけずにいられない。世の中が平和であればあるほど、若者の不満や不安が強くなるとは皮肉なことだ・・・。

本作に登場するのもそんな「怒れる若者たち」だ。華やかなビキニ姿の女の子の集まる湘南海岸を舞台に、70年代初頭の世相を反映させながら、怒れる高校生たちの迷走を描く。暴力とセックスの影に見え隠れする、若者の純真さが切なくももどかしい。さらには、随所に流れるテーマ曲の甘ったるさが、夏の湘南にマッチして、作品を印象強いものにしている。

誰もが経験するはずの青春時代の痛みを、大人は何故忘れてしまうのか?何故大人たちは、若者のイラダチを煽ることしかしないのか?若者たちはどこへ行くのか?どこへ行ったらいいのか?海と空と太陽の強烈な明るさの中で、漂うヨットに若者たちの頼りない未来を案じさせたラストシーンが印象深い・・・。

2023/02/27

2023/02/28

72点

VOD/U-NEXT 


60年代初頭の蔵原惟繕等に比べ、焦燥感や無軌道っぷりが弱く感じてしまうのは時代性か。村野武範が悪そうに見えないし、絶対的ヒロイン不在もあるせいか、童貞ボーイの煩悶もいまいち伝わってこず。渡辺文雄の役名には吹いてしまった。しかし海水浴場での撮影よくできたよな~。

2022/12/20

2023/01/05

85点

レンタル 


女の涙で濡れた砂。男のバカヤロー。

ネタバレ

若い頃に観て傑作だと思った。特にラストシーンで流れる石川セリの「八月の濡れた砂」は絶品!と感じ
入った。私の中では和製「太陽がいっぱい」となった。たまたま藤田敏八監督と秋吉久美子コンビの映画
レビューを書いたので、本作を借りた。

早朝の湘南海岸にオープンカーのアメ車から降ろされる少女早苗(テレサ野田)のシーンは、かなり残酷、
下着を放られ、着ているワンピースはボロボロ。不良少年たちに回されたことは明らか。早苗は身体を
清めるためか全裸になり海に入る。一連を目撃していた清(広瀬昌助)は早苗を自宅に送るために、
バイクに乗せて、海の家に入る。自宅から女性の服を持ってきたが、すでに早苗の姿はなかった。
集団レイプは映画のテーマにはならず、ヒール役程度で、清と健一郎にオープンのアメ車を奪われ、
海に沈められる。つまり集団レイプの罪と罰はこの程度で終わってしまう。
高校を中退した健一郎も、行き場のない暗い怒りを女性をレイプすることでぶちまける。
ちなみに2013年の大森立嗣監督の「さよなら渓谷」では、集団レイプを行った大学野球部の面々は
社会的に厳しい扱いを受ける。しかしこの視点で1971年の映画は裁けない。

70年代幕開けの青春映画は男性の性衝動を描き、レイプのようなセックスにさらされる女性の声は
聞かれない。そういう時代なのだ。60年代後半の政治的に荒れた季節を過ごし、あっけないほどの
体制側の勝利に呆然としてしまう。反抗心の熱気は冷めないが、すでに終わってしまったステージに
シラケた風が吹く。
健一郎の養父となる亀井(渡辺文雄)は体制のメタファーだ。豪華なヨットで母雅子と健一郎を懐柔しよう
とする。健一郎はショットガンまで持ち出してヨットを奪う。若者たちだけの解放区だ。小革命が実行された
ということだ。
脚本には大和屋竺も加わっている。並の物語にはならない。藤田監督は自在なヨットのように、その時
代しか吹かない風を見事にとらえてフィルムに定着させた。

映画のラストになり、早苗は狂ったように赤いペンキで塗られた豪華ヨットの壁に、ショットガンでアナを
開ける。性衝動のはけ口だった早苗の復讐のようだ。
たぶん現代のレビューアーの眼には、やんちゃしているだけの自己満足の青春映画としか理解されない
かもしれない。しかし繰り返して言うが、当時は斬新だった。
昔は飲酒運転も普通だった。時代が変わり、社会規範も変わったのだ。

2022/08/28

2022/08/28

83点

映画館/東京都/神保町シアター 


村野武範、テレサ・野田

この映画出演から大きく役柄が変わったが、この作品の方がクセの強さが出ていてステキかも知れない。

2021/12/02

78点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


稚拙な青春の暴走

ネタバレ

こういう衝動的なヤケクソ青春映画(?)は今の時代には作られなくなったなと感じる。
時代の空気感はとても伝わってくるが、正直心に刺さる映画ではなかった。
ただ、この映画の登場人物が抱える行き場のない怒りや、鬱屈した心が放つ暴力的なエネルギーには引き込まれる部分はあった。
清も健一郎もとても暴力的だけど稚拙で、徹底的に社会や倫理観を破壊するまでの勇気は持てないでいる。
弱い立場に見えるが、実は一番この映画の中でぶっ飛んでいるのは早苗ではないかと思った。
彼女の保護者役である真紀は取り澄ましているが、結局彼らの欲望の餌食になってしまう。
取り立てて深いストーリーがあるわけではないが、シーンのひとつひとつは心に残る。
朝の浜辺で清は不良連中に暴行され車から投げ出された早苗をバイクの後ろに乗せて疾走する。
清が早苗を犯した犯人であると決めつける真紀だが、逆に車の中で清に押し倒されてしまう。
が、清は怖じ気づいたのか、心が萎えたのか、真紀を犯すことは出来ない。
後日早苗たちが不良連中に仕返しをするシーンは爽快だった。
そしてラストのヨットでのシーン。
健一郎と清と早苗が船室を赤いペンキで塗りたくるシーンは色々と意味深だった。
太陽が照りつける中、清と健一郎は順番に真紀を犯す。二人にライフルを向ける早苗に対して、不適な表情を浮かべる健一郎の姿が印象的だった。
早苗は船室に入り、壁に向かってライフルをぶっ放す。
この映画に終始漂う行き場のないモヤモヤとした怒りは、最後まで捌け口を見つけられない。
ただただ波にきらめく陽光が綺麗なままこの映画は終わっていく。
この作品の世界観とは不釣り合いなしっとりとしたテーマ曲も印象的だった。

2021/11/02

2021/11/03

70点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 


カッコイイはカッコ悪い

ネタバレ

71年藤田敏八。日活がロマンポルノに変わる前の最後の作品。流石に今の時代に観ると不良少年達はなんだか品行方正だし悪ぶっていても可愛い。当時カッコいいと思われるものほど現在は小っ恥ずかしくみえるのはやむを得ない。ただ編集のテンポやカメラのセンスは今見てもなかなかのモノ。石川セリのテーマが流れるヨットでの場面は、気怠さとやり切れなさがこの作品の価値を高めている。引いていくカメラの空撮がいいね。