藤田敏八監督の作品を見ると、青春を思い起こしますが、それは、60年代の青春とも違った、70年代の青春。この映画ができた頃は、私の青春はまだまだ先のことですが、藤田監督のこの雰囲気は、その時代にも受け継がれていくので、大変懐かしい感じがします。映画の登場人物のように無茶はしていませんが、多かれ少なかれ、同時代には似通ったイメージで過ごしたのでしょう。この映画のできた年代の事を思い起こせば、おばさんたちが道端で話していた、「近頃の若い人は…ねぇ…」なのでした。
若さを発散している登場人物たち。内容は無軌道ではありますが、それほど一つ一つの行動に意味を持たせても仕方がない感じで、すべてが青春で片づけてもいいようです。ただただ、若いエネルギーで行動するのみ。そんな中で、いろいろな事を起こしていき、ほろ苦いものになっていきます。同じ世代の登場人物に突っ込みを入れているような雰囲気で、映画を見ていける感じでした。
藤田みどりとテレサ野田の姉妹が、若々しくてとても良かった。広瀬昌助もピンチヒッターで出演ですが、好演と思います。ラストの主題歌も良かったです。歌と言えば、歌詞はありませんが、教会で「さんげの値打ちもない」のメロディーをオルガンで弾いてしまうところがなかなかシュールで感動的です。昭和の雰囲気が満載でした。そして、藤田みどりの乗っているスカイライン。最高ですね!