若者の旗

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若者の旗

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レビューの数

9

平均評点

71.8(39人)

観たひと

56

観たいひと

1

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1970
公開年月日 1970/11/28
上映時間 101分
製作会社 俳優座映画放送
配給 「若者たち」全国上映委員会
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督森川時久 
脚本山内久 
製作佐藤正之 
松木征二 
撮影宮島義勇 
美術山下宏 
音楽佐藤勝 
録音本田孜 
照明鈴賀隆夫 
編集丹治睦夫 
助監督高木一臣 
スチル山本耕二 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演田中邦衛 佐藤太郎
橋本功 佐藤次郎
山本圭 佐藤三郎
佐藤オリエ 佐藤オリエ
松山省二 佐藤末吉
石立鉄男 戸坂
夏圭子 町子
謙昭則 
稲葉義男 杉本
入江洋佑 吉野
中谷一郎 若田
井口恭子 瀬黒みわ
森幹太 赤沢
益田ひろ子 西田和子
高津住男 池田
土屋靖雄 青木
山口果林 チエ
桜井勇子 原田
杉山とく子 中山
上田孝蔵 中山司郎
渡辺晃三 三宅
沢柳廸子 木口
前川哲男 仲井
松本克平 須崎
山崎直衛 三原

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「若者たち」「若者はゆく -続若者たち-」に続く第三作。脚本、監督、撮影も前作と同じく、山内久、森川時久、宮島義勇がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

佐藤家の五人兄弟はそれぞれにさまざまな問題をかかえて生きていた。三郎は高等学校の教師をしていたが、校長と意見が合わずやめてしまい、今は昼間、出版社で働き、夜は夜間中学で教べんをとっていた。社会の底辺に置かれ少年たちも、それぞれの悪環境と戦いながら勉学に励んでいた。その中の一人、努少年は蒸発した父の借金返しに町工場でタダ働き同様に毎日を送っていた。オリエは恋人と信じていた戸坂の病気を見舞ったが、そこで将来結婚を約束したという西田和子を紹介され、がく然となった。戸坂は佐藤家を訪ねて自分の置かれている切実な状況を打ち明け、太郎や三郎に許しを乞うた。オリエは悲しみにたえ、動揺する戸坂にいつまでも平和運動を続けようと励ました。末吉は、今では会社内でも指折りの自動車セールスマンとして活躍し、所長の姪みわと恋愛中だった。独立してみわとの結婚も真剣に考え末吉の稼ぎっぷりは、ますます猛烈になっていった。同僚を裏切っても良心に恥じることさえ忘れた。そんな末吉を見て、みわは「あなたという機械の部品にされるのはいやだ」といって去ってしまいそれからの末吉の行動はますます荒み、太郎や三郎との衝突も激しさを増していった。一方、次郎は町子と口論を続けながらも桃太郎という愛児をもうけ、その生活ぶりはまずまず順調だった。末吉は三郎の激しい説得にようやく自分の「金とセックスとバクチのために生きている」という生き方に疑問を感じ始め、次郎と町子の子供、桃太郎を見たとき自分の内に芽ばえてくる新しい生命力を感じ、今までの生活を考え直して、一から出なおす決心をした。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1970年12月下旬号

今号の問題作 2:若者の旗

日本映画紹介:若者の旗

2023/04/01

2023/04/01

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 

『若者の旗』。末吉(松山省二)が主人公。佐藤家、次郎(橋本功)が結婚していなくなったのに卓袱台が大きくなっている。卓袱台返しはないが、食べ物をぶちまける大喧嘩あり。ブルドックソースのデザインは変わらず。末吉とみわ(井口恭子)が会話するのは渋谷の宮益坂上の歩道橋。ポケットベル。

2022/07/26

2022/07/26

75点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


高度成長期の歪み

三郎(山本圭)は夜間学校の先生をしている。更に昼間は出版社勤めもして働いている。末吉(松山省三)は大学を出て車のセールスマンに、次郎(橋本功)は町子(夏圭子)と結婚してまもなく子供が生まれる。太郎は相変わらずの生活。オリエ(佐藤オリエ)は戸坂(石立鉄男)と婚約している。
順風満帆に見える5人兄弟だが、末吉の生き方に問題があって、兄弟の口論が始まる。
まず職場での恋愛結婚がやや打算的。そして勝手に結婚しようとしている。兄は兄弟の絆を重んじ、末吉を諭すが、末吉は聞かない。
オリエは戸坂が恋人を作り別れることになる。次郎は腰を痛め、組合のことで町子とケンカになる。三郎も出版の仕事の方でつまずいている。
こんな中で、労働環境の問題、例えば若年労働者、労災問題、公害と公害対策、基地問題、またすべて利益追求に絞られるという高度成長期の歪みをテーマにしている。
兄弟ゲンカの中で。それぞれが言い分を言い合うが、どれも納得できるけど、妥協できない主張がある。今回はこれらの口論の中で、生きると言うこと、生き方の哲学を述べさせている。
今までの中で一番納得できる内容だった。

2022/05/27

2022/05/27

70点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


叔父さんになったら

語りつくされたせいか、今回は末吉の葛藤で締め括られた。叔父さんになったのである。これで彼の無茶な人生は無くなると言わんばかりに。
人の考えって子供が産まれただけでそんなに変わるものかななんて思ったりした。時間をかけて考えさせれば、考えというものは果たして変わるものだろうか。末っ子は試練を与えられたような気がするのであった。

2022/04/19

2022/04/22

74点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


ディスカッションドラマの秀作

「若者たち」の第3作にして最終作。
前作から月日が経ち、三男は出版社勤務の傍ら、夜間高校の教師をしている。四男は車のセールスマンと、兄妹全員が社会人となっている。70年安保が終結し、時代は高度成長期に入る。
本作では、末弟の末吉(松山省二)が、長兄(田中邦衛)と三男(山本圭)と正面衝突する、末吉は、沢山車を売って給料を上げることが自分の幸せにつながると信じて、その目標に向かって猛烈に働く。それはこの当時のいわゆる猛烈サラリーマンの投影である。一方、長兄は戦後の貧しい時代をそのまま引き摺り、三男は社会運動の残滓を引き摺っている。どちらもお互いの立場を理解できないし、その対立は根深い。その対立は、安保闘争が終結を迎えて、社会が安定期に入る70年代の混沌をそのまま映している。お互いが自分の立場を強く主張するディスカッションこそがこの映画の面白さだと思う。これだけのディスカッションドラマはそうはない。
ラストシーンで、雑踏の中、署名を求められる末吉の顔がクローズアップとなる、果たして、彼は署名に応ずるのか、それとも無視して立ち去るのか、それは分からないが、立ち止まり逡巡することで、彼の中に相手を理解しようとする気持ちが芽生えたことは間違いない。なかなかにいいラストシーンだと思う。
途中で、三男が公害の被害者にインタビューするところが挿入される(その記事は、編集会議でボツになるのだが)。そのインタビューは本当の被害者にインタビューしたのではないか。それくらい生々しいものだった。

2014/11/12

2015/02/25

65点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


ぺしゃんこにされてもへこたれない。これが旗。

公開は70年末。学生運動は勝負がついた頃で、「敗北」という言葉も出る。
山本圭は出版社勤務だが薄給のため夜間中学の講師も勤める。あくまでも高度成長の影に眼を向ける。
義務教育の中学も卒業できない子供たちが120万人と語られる。夜間中学に公害問題。
(私も高校生の時だったが、多摩川の公害問題とかが取りざたされていて、文化祭でも取り上げた頃)
本作では、松山が世俗的な成功しか眼に入らない自動車会社のセールスマンとして、山本と鋭く対立する構図になる。
ここが日本のターニング・ポイントになったのだが、邦画退潮期と重なり、このようなテーマ性は描かれることがなくなった。
佐藤オリエは、なんと失恋。ここまでぺんしゃんこにされなくてもいいだろうに。

後年、テレビドラマの「ふぞろいの林檎」や「ひとつ屋根の下」が登場するが、
人気曲と若者たちの成長物語は、この60年代の試みが道を切り開いた結果だろう。

2014/11/24

2014/11/24

70点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


議論

俳優座の映画は議論だね。
俳優座の映画は演劇だ。