蝦夷館の決闘

えぞやかたのけっとう|Fort Ezo|----

蝦夷館の決闘

レビューの数

3

平均評点

52.9(16人)

観たひと

22

観たいひと

4

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇
製作国 日本
製作年 1970
公開年月日 1970/2/8
上映時間 130分
製作会社 東京映画
配給 東宝
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督古沢憲吾 
脚色笠原良三 
大野靖子 
原作柴田錬三郎 
製作藤本真澄 
山田順彦 
撮影村井博 
美術小島基司 
音楽広瀬健次郎 
録音長岡憲治 
照明比留川大助 
編集黒岩義民 
スチール中山章 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演加山雄三 江戸三郎太
三國連太郎 宇佐新兵衛
安部徹 後藤主馬之介
田中邦衛 黒兵衛
大前均 岩松
江幡高志 喜三郎
谷村昌彦 幻夢斎
高松しげお 影六
金子信雄 越後屋嘉兵衛
山田はるみ おりく
島田正吾 蝦夷次郎左衛門
黒沢年男 求馬
倍賞美津子 赤珠
マンモス鈴木 ロシカ
北龍二 西条玄藩
香川良介 阿部豊後守
仲代達矢 本圧大膳亮

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

柴田錬三郎の原作を、「水戸黄門漫遊記(1969)」の笠原良三と「華麗なる闘い」の大野靖子が脚色・潤色し、「クレージーの大爆発」の古沢憲吾がメガホンをとった時代劇。撮影は「日本海大海戦」の村井博が担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

徳川幕府が崩壊寸前の元治元年初秋--北の果て箱館に江戸三界を食いつめた八人の男が向っていた。公儀御用達の回船問屋・越後屋が十五両の報酬で集めた男たちの任務は、蝦夷館の当主次郎左衛門に拉致されている露国伯爵令嬢ワルサを救出することだった。館への途中、影六と喜三郎が湖で沐浴する次郎左衛門の娘・赤珠の衣裳を盗んだ。新兵衛は二人の謝罪にことよせて館に入り、次郎左衛門が代金を完納したにもかかわらず武器をとどけない露国に怒っていることを知った。やがて、ワルサの許婚者ダビドフスキー大尉を乗せた露艦が箱館に入港した。新兵衛は越後屋を裏切り館側に加担を申し入れた。幕府目付本庄から密命を受け、無頼の徒に加わった公儀隠密の新兵衛には、露軍に館を攻めさせ、その隙に次郎左衛門を殺害して彼の貯蔵する莫大な砂金を奪取する使命があったのだ。次郎左衛門の配下になった男たちは露軍との戦いに備えた。やがて、三郎太は憔悴したワルサを発見、越後屋が露国と次郎左衛門を詐き、武器と砂金を横領したことを知った。露軍が上陸した。館の使者となった新兵衛は三郎太を同行して指揮官ダビドフスキー大尉と接した。その時、大尉の許には本庄からの連絡が届いていた。新兵衛と大尉は館の攻撃を明朝未明と決定。三郎太は新兵衛の正体を知って激怒したが、斬りかかられて谷間に転落した。館に戻った新兵衛は露軍の攻撃は三日後と告げその間にワルサを返すよう説得した。その夜、死んだはずの三郎太が赤珠の所に現われ真相を告げた。やがて露軍が砲撃を開始し、新兵衛は砂金を発見した仲間の黒兵衛と岩松を斬った。その頃、赤珠が逃したワルサが陣に辿りついたため露軍は砲撃を中止し、かわって幕府軍が攻撃を開始した。三郎太は機関銃で城壁に迫る幕府軍をなぎ倒した。激戦中に次郎左衛門が新兵衛に撃たれ、仲間も次々に倒れた。三郎太は悪党新兵衛を激闘の末、葬った。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1970年3月下旬号

日本映画批評:蝦夷館の決闘

1970年2月下旬号

日本映画紹介:蝦夷館の決闘

2018/08/23

2022/12/15

60点

選択しない 


三國連太郎が主役を喰ふ

 加山雄三氏主演の、異色時代劇「蝦夷館の決闘」であります。製作は東宝の傍系・東京映画。柴田錬三郎の原作を、古澤憲吾が演出。脚本は笠原良三、潤色に大野靖子の名があります。

 時代は幕末。箱館蝦夷館の当主・次郎左衛門(島田正吾)が、露国(おろしや)要人の娘・ワルサ(アン・ストーン)を拉致監禁する事件が発生しました。この娘、名前はワルサですが実際は何の悪さもしてゐなくて、災難であります。ワルサを蝦夷館から取り戻す為に、公儀御用達の廻船問屋・越後屋(金子信雄)が手練れの男八人を集めます。そのうち一人は幕府の目付・本庄(仲代達矢)から直々に命を受けた公儀隠密の新兵衛(三國連太郎)で、この集団に潜り込んだのです。その目的は次郎左衛門の貯蔵する大量の砂金を奪ふ事でした。

 仲間のヘマを逆手に取り、蝦夷館に入る事に成功した新兵衛たち。次郎左衛門の話では、露軍から武器弾薬を購入する為に砂金を送つたが、露軍は約束を破り武器を送つて来ないので、已む無く人質を取つたのだと。八人のうちの一人、三郎太(加山雄三)は次郎左衛門の娘・赤珠(倍賞美津子)の寝室に忍び込み、これを失神させ犯し、ワルサが監禁されてゐる場所へ案内させます。ワルサの口からは、露軍が送つた武器を越後屋が横領し、次郎左衛門を騙してゐるのだと云ふ事実が語られます。

 上陸した露軍と対面した新兵衛は通詞として三郎太を同行、その際に三郎太は新兵衛の正体と目的を知り激怒します。二人は対立しますが、三郎太は斬りかかられて谷間に転落......

 元は私腹を肥やさんとした金子信雄の行動が引き金となつてゐます。相変らずゲスな役が似合ふ役者ですなあ。それが原因で騙された島田正吾が露国要人の娘を拉致するのですから。
 奪還の為に蝦夷館へ派遣されるのは、三國、加山に加へて安部徹、田中邦衛、谷村昌彦、高松しげお、江幡高志、大前均の八名。いづれも一癖も二癖もある、手練れ集団との触れ込みですが、それを発揮する場面が殆ど無いのが残念。特に高松・江幡はアイヌ娘を夜這いしてそれが発覚し、江幡は首を刎ねられて高松は生き恥を晒されて何も良いところがありません。

 主演の加山は腕も立つしロシヤ語も堪能、武器弾薬にも詳しいと云ふ有能な武士。熊と取つ組み合つてもこれを斃すと云ふ離れ業も見せ、更に私欲には無縁で人間離れしてゐます。しかし高松しげおの仇を討つてやると云つて、倍賞美津子を犯すと云ふ一面も見せます。無論ロシヤ娘を救ふのが目的なんですが。
 三國連太郎はまるで主役のやうにスクリーン縦横に暴れます。仲代達矢の使者として蝦夷館の壊滅を狙ひますが、加山の思はぬ抵抗に遭ひ、最期は腕を斬られてしまふ。斬られた腕が握る刀を、もう一方の腕で抜き取りまだ戦闘意欲を見せ、生への執念を感じさせる熱演。でも血が殆ど出てゐないやうです。

 蝦夷館側は、島田正吾と黒沢年男・倍賞美津子の親子が中心。対露国で策を練りますが、どことなく人の良さが出てしまひ騙されやすさうな感じはありますね。黒沢は威勢が好いだけで思慮に欠けるし、倍賞は加山に一度犯されただけで「身も心も捧げる」態度に変化してしまふ。ストオリイ上では都合が良いんですけど、これでいいのか?と云ふ気にもなります。

 クライマックスは蝦夷館軍、露軍、幕府軍が入り乱れての大砲撃戦。それなりのスペクタークルを展開してゐます。しかしどうにも盛り上がらない映画であります。突撃演出の古澤憲吾監督も、「シュートするゥ!!」なんて叫ぶ突破力はある人ですが、元元長尺映画(本作は131分)を纏める力量に疑問がある人(失礼)なので、不向きな題材だつたかも知れません。和製ウェスタンの作風ですので、岡本喜八監督だつたらどう撮つたかな、なんて今や意味のない事を考へた次第であります。

2016/05/06

2016/05/06

65点

テレビ/有料放送/チャンネルNECO 


個性的なチーム

蝦夷次郎左衛門(島田正吾)に誘拐されたロシアの娘を取り戻し、隠された砂金を奪うこと、さらに次郎左衛門を殺すことを命ぜられた隠密(三國連太郎)の腹黒さと公務に忠実な様を描いている。
このプロジェクトのために6人の特殊技能を持った者達と武芸に優れかつロシア語も出来武器にも精通しているという若者江戸三郎太(加山雄三)のヒューマニズムを描くはずだったんだろうなあ。
どうも見終わるとそこかしこにぼろが目立ちつじつまの合わないところも出てくるのには参った。
出だしは期待を持たせたものの、6人の特殊技能者達の出番が少なく、最後の方でちょっとだけ活躍したものの本質的な関わり方ではない。
見所は三國連太郎の計算され尽くした演技。あらゆる手段を使っても蝦夷館に潜り込むという意志の強さと胆力を演技で現している。
加山雄三は若者らしいさっそうとした青青年役だが、寡黙で何でも出来るスーパーマン。これはこれでわくわくさせて楽しいが、女を眠らせて置いて犯すなど目的のために選んだ手段がこの人物像にそぐわない。
またガトリング銃が登場するが、いかにも安っぽくふらふらしているし、ロシア兵のうつガトリング銃は味方の突撃の方向に向かって撃っているようで危なくって。
とにかく前半はなんとか危難をくぐり抜ける様子がわくわくしてみられたが、後半はちょっとずっこけ。
また馬での追いかけシーンでは背景に杉の木が見えた。北海道には杉の木はないはずなのにちょっとおかしい。
前半の面白さと三國連太郎の演技を褒めて65点とした。

2013/04/06

2013/04/06

52点

テレビ/有料放送/チャンネルNECO 

タイトルに偽りありで、蝦夷館での決闘はなく、その近くで加山と三國が対決する。
全編を通じてマカロニウエスタン調の映画で、
三國連太郎はクラウス・キンスキーのようだ。
加山雄三のやる気のなさが見受けられる一篇だ。