深い闇のような森の中に「過去の秘密」が封じ込められていることが、だんだんと判って来て、ハラハラドキドキするサスペンス映画。
主演は、エドワード・G・ロビンソン。一見優しく見える男が、実は恐ろしい人間だったりするのを見事に演じている。
監督は、デルマー・デイヴス。ヒッチコックの『レベッカ』で恐ろしい存在感を見せたジュディス・アンダーソンも本作に出演。
この映画、高校生たちがスクールバスで通学している場面から始まる。
そして、のどかに見える農場に住む女子生徒メグ(アリーン・ロバーツ)が学友の男子生徒ネイス(ロン・マカリスター)を自分の義父ピート(エドワード・G・ロビンソン)に「彼に農場を手伝ってもらって!時給○○ドルで…」ということで、ピートの農場で平日午後は働くことになったネイス。
しかし、このネイスには派手な女子生徒ティビー(ジュリー・ロンドン)なる恋人がいる。メグはそれも知っての上で…。
ネイスが農場で働いて、夜遅くなったので「森の中が近道だから、森を通って帰る」というネイスに対して、ピートはなぜか「森の中を通るのは止めろ!」を繰り返す。
このあたりで「森に何か謎があるな…」と思っていると、ピートいわく「赤い家からの声が聞こえても知らんぞ」というセリフ。ますます森の中が怪しい予感。
更に、森の入口には「立ち入るな、危険!」の立て看板まである。
ピートには同居している同年代の女性エレン(ジュディス・アンダーソン)がいる。最初、彼らは夫婦かと思ったら、兄妹だった。これまた謎…。
優しい男だと思っていたピートが、ネイスたちが森に入ったりするうちに、だんだんと錯乱状態になってくるあたりが怖い。
そして、ピートは養女のメグのことを「ジィニー」と呼ぶ。「なんだコレは…?」と思っていると、メグがピートに「ジィニーって誰?」と尋ねる。更に謎が深まって行く…。
このあとも物語は続くのだが、怖い怖い展開になっていくので、この辺で止めておく…(笑)
しかし、こんなに不気味さ漂う映画が、あまり有名作品とならずに存在しているので「映画の世界は深いなぁ…」と思う。
そもそも、この映画、サスペンス映画にも詳しい作家(映画評論家)の川本三郎さんの著書「サスペンス映画ここにあり」で紹介されている1本であるが、本作を観終わるまでは川本三郎さんのその本の『赤い家』のページを読むことができなかった。ようやく読める(笑)
この本で紹介されている55本のサスペンス映画を全作観るのを(とりあえずの)目標にしているが、なかなか観るのが難しい作品が残っている…。
川本三郎さんの本で紹介作品の1本になっていなかったら、この映画を観ていなかったかも知れない。感謝です。