ふたりのイーダ

ふたりのいーだ|Two Iida|Two Iida

ふたりのイーダ

レビューの数

9

平均評点

60.4(29人)

観たひと

44

観たいひと

10

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ファンタジー
製作国 日本
製作年 1976
公開年月日 1976/11/6
上映時間 110分
製作会社 映画「ふたりのイーダ」プロダクション
配給 映画「ふたりのイーダ」プロダクション
レイティング 一般映画
カラー カラー/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督松山善三 
脚本松山善三 
脚本協力山田洋次 
原作松谷みよ子 
企画山口逸郎 
赤井明 
製作山口逸郎 
赤井明 
撮影中川芳久 
美術村木忍 
音楽木下忠司 
録音渡会伸 
照明石井長四郎 
編集井村文子 
製作担当篠原茂 
川口倫二 
助監督森園忠 
相澤徹 
製作協力荒木敬二郎 
協力ひとみ座 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演倍賞千恵子 相沢美智
上屋建一 相沢直樹
原口祐子 相沢ゆう子
森繁久彌 須川利一郎
高峰秀子 須川菊枝
山口崇 広岡研二
田中筆子 氷屋のおばさん
片山竜二 造船所の男
砂塚秀夫 トラックの運転手
村田啓而 川底の男
出演(声)宇野重吉 イスの声

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

椅子が動き、三歳の女の子と少年とおしゃべりしたりするという美しいファンタジックな世界を描く。脚本・監督は「沖縄海洋博」の松山善三、撮影は中川芳久がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

直樹は小学四年、妹のゆう子は三歳。二人は雑誌記者の母親相沢美智と一緒に、夏休みを利用し、広島の祖母の家へいくことになった。東京駅へ見送りにきた美智の同僚カメラマンにゆう子は「イーダ」をした。それはゆう子の可愛いあいさつであった。都会をはなれ、田舎で大はしゃぎの二人。久しぶりに会う祖父母にゆう子は例の可愛いあいさつ「イーダ」を繰り返した。直樹は、カラスアゲハ蝶を見つけ、それに誘導されるかのように後を追いかけていった。すると、「イナイ、イナイ」とつぶやき声がきこえた。そして、おどろくことに椅子が歩いて来るではないか。そして彼が不思議に思っている間に椅子は雑木林へと入っていく。彼は一瞬ためらったが、決心して、雑木林の中へ。そこには古びた洋館があった。直樹は館へ入り、中を見ると椅子がしゃべりながら歩いていた。そして、直樹は恐しさのあまり急いでとんで帰って行った。翌日、昼寝をしているはずのゆう子の姿が見えないので直樹はもしやと思い雑木林の洋館へ行ってみた。そこでは、ゆう子と例のしゃべる椅子が仲良く話をしていた。直樹は椅子からゆう子をはなし椅子を二度ばかり蹴倒した。その夜、直樹は熱を出し、取材に出ている美智に早く帰ってきてほしいと椅子の話をするが美智はとり合わなかった。そして、その美智に、同僚の広岡が愛をうちあけたのであった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1977年7月上旬夏の特別号

日本映画紹介:ふたりのイーダ

1976年12月上旬号

日本映画批評:ふたりのイーダ

1976年11月下旬号

グラビア:「ふたりのイーダ」

2022/12/18

2022/12/21

55点

テレビ/有料放送/シネフィルWOWOW 


せわしなくやたらと怖い

『ふたりのイーダ』1976・昭和51年

児童文学の名作を映画化。

・冒頭の走る電車のモンタージュがせわしない。
・歩いたり喋ったりする椅子の特撮はよく出来ている。
・椅子が歩く時の軋む音が聞きづらい
・山口崇と倍賞千恵子の場面はやたら走り回っている。深作欣二の演出のようだ。
・洋風の三角屋根がある廃屋で椅子と交流する場面は怖すぎる。
・広島の川底から死者の手が伸びてくる場面も恐怖しかない。

・観客の感情移入を拒むようなブツぎり編集。落ち着きがなく観ている人の心もズタズタ。

児童向けに飽きさせない様にスピード感出したのかもしれないが逆効果に思えます。

2017/08/13

2017/08/13

25点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 

噂に聞くトラウマムービー。謎の多い脚本。歩く椅子がきしむ音、昼寝の悪夢、けたたましく笑う古い人形、川の底から現れる原爆で亡くなった人々等、表現が完全にホラーで驚く。倍賞千恵子は何故我が子達にも検査を受けさせなかったのか。原作を読んで色々確認したい。

2017/08/07

2017/08/07

3点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


理念だけで映画作らんでくれ!

何じゃこれ?!はじめは期待大だった。美しい倍賞千恵子!感じのいい山口崇。かわいい子供達。新幹線の中で遊ぶ兄と妹とか、走る列車から見える外の風景とかすごく映画的。
田舎の駅のホームで孫達を待っている森繁&高峰秀子とローカル線の窓から手を振る倍賞親子3人のつなぎ方から違和感を持つ。なんか位置関係が変なのだ。そもそも森繁と高峰が列車を見る方向が逆でしょ?森繁は右を高峰は左を見て待ってる。あり得ん!おじいちゃんおばあちゃんの家に着く。ミンミンゼミのアップが映るが聞こえる蝉の鳴き声はクマゼミである。お兄ちゃんが外に蝶を追っていくシークエンスでの蝶の飛ばせ方が超ダサい。糸で模型を動かしてる。ことほど左様に映画の作り方がプリミティブに過ぎる。音楽も木下忠司と思えんほどひどい。兄が夢でうなされる時の音楽というか音響の拙劣!椅子が田舎道を動いてくる音楽の珍妙!
●40分ぐらい経って、これが原爆の映画だとわかる。そして反原爆映画だということもわかるのだが、これがまあ、頭デッカチというか70年代の「左翼」的というか教条主義的というか恐ろしくつまらんのだ。そして取って付けたような展開が連続する。
●ジャーナリストの倍賞千恵子は被ばく者という坊さんに被ばく体験を語れと迫ると、その坊主はマッチを一本擦って火をつけその炎に自分の指を入れて、「みんなこの火の中で死んでいった!」と言う。原爆の炎とマッチ一本火事の元の火が同じですか???バカなの?脚本の山田洋次さん、正気ですか?
●川に落ちた木の椅子が川底に沈むと原爆で死んだ人の霊?なんかわからんが、川底から出てきて「私は紙屋町の誰それ」と名前を名乗って親に伝えてくれと言う。もう1人出てきて同じように親に自分の骨を拾いにきてくれと伝えてくれと頼む。これっていったい何なの?川底にチープな髑髏が転がってるとか神経疑っちゃう。
●倍賞千恵子も実は被ばく者だった。ってそんな展開かよ!二人の子供達の父親はどうなってるの?原爆症じゃないってすぐわかるの?森繁、高峰の両親は被ばくしてないの?なんで?わけわからん出鱈目御都合主義脚本。
●椅子の声を宇野重吉がやってるが、急に高峰秀子のナレーションで椅子の内心が語られるとか、めちゃくちゃ。
●兄が広島原爆写真集を持ってて椅子に原爆の惨状を見せる。黒焦げの遺体とかも出てくるが何のため?だったら『原爆写真集熟読して下さい』と写せばいいんじゃない?

こんな映画を作っちゃダメだよ。つまり反核反戦の理念だけが先走ってるだけで、映画表現として出鱈目なんです。反核反戦というテーマさえ馬鹿げたものに見えてしまう。
これが1976年キネ旬ベスト10で13位とは!
唯一、女の子イーダ役がすごくかわいいのがいいとこかな?

追記
一つひどい事思い出した。8月6日、高峰秀子の姉妹が原爆の犠牲になってるので、みんなで慰霊に行くのだが、森繁は十字架のついたロザリオを手にしている。高峰秀子は仏教の数珠、で、全員線香をたむける。前夜、森繁は川に流す灯篭に筆で文字を書いてるのだが、高峰の流す灯篭には南無阿弥陀佛と書かれている。森繁は何を信仰してるのだろう???

2017/01/24

30点

選択しない 


ホラー風な民話的世界観を吹き飛ばす反戦・反核映画

 松谷みよ子の同名児童小説が原作。
 広島の母(倍賞千恵子)の実家に帰郷した幼い兄妹が、廃屋の生きた椅子と交流するというミステリアスな子供向けファンタジー。
 松谷みよ子らしく民話風に物語は進んでいき、どうやら廃屋にはかつて幼女イーダと祖父が住んでいて、その二人が突然いなくなって、椅子は二人の帰りを待ちわび、妹をイーダと思い込んでいるというあたりで、ああ、これは戦争ものなのかと気が付く。
 そこまでの展開はホラー映画風でそれなりなのだが、戦争物の輪郭がはっきりしてから突然よくある反戦映画に調子が変わって、まるで別の映画になったようでいただけない。
 原爆が前面に出てくる告発映画となり、あまつさえ黒焦げ死体などの目を背けたくなるような悲惨な記録写真が度々インサートされると、前半の民話的世界観は消し飛んでしまう。おそらくは子どもに見せるのを前提に制作されているわけで、民話風の映像が予告なしにトラウマになりそうな原爆写真展に変わってしまうのは、反戦・反核意識ばかりが先走った、見る子供のことを考えない、大人の理念の押しつけ。
 松山善三ならば、前半の民話の雰囲気を生かしながら、反原爆を子供の心に訴える作品もつくれたはずで、非常に残念。
 被爆者の母とプロポーズする男(山口崇)が、原爆症でないことを結婚条件にし、そうでないことを知って喜ぶ演出もあまり褒めたものではない。
 その原爆症を怖れる母が、二人の子供をつくった理由と先夫の存在が全く語られないのは、子供向けとはいえ不誠実。
 椅子の声に宇野重吉、母の両親に森繁久彌と高峰秀子と、配役はいいのだが・・・

2017/01/07

2017/01/10

65点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


川底の手

児童向け小品。
不思議な椅子を巡るファンタジー。
兄妹が辿り着いた謎の廃屋。
打ち捨てられた洋館。
過去を引きずる精神体。
忘れられない原爆。
ホラー味もあるひと夏の幻想。

2017/01/07

2017/01/07

50点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


高峰秀子出演の「ヒロシマ」を描いた映画

高峰秀子出演作なので観た。
監督は、夫の松山善三。
共演:森繁久彌、倍賞千恵子など

松谷みよ子原作なので、童話風な映画かと思ったら、「ヒロシマ」を描いており、なかなか重い映画であった。

東京から新幹線に乗って広島方面の実家に仕事ついでに帰郷した女性ジャーナリスト(倍賞千恵子)は2人の子供を連れてきた。
そして少年は蝶々を追いかけて入り込んだ朽ちた家で「歩く椅子」を見る。
ここで、「カレンダーが1945年8月6日、時計が8時15分」なので、広島原爆でこの家の爺さんと少女は亡くなったのだと判る。
しかし、これが分かってしまうと、残り半分以上の後半部分がとても長く感じる。
内容に肉付けしても90分超の作品にするには無理があった気がする。

少年が見る夢シーンが「アニメ、コラージュ的」であったり、歩く椅子が広島の川底で死者たちに囲まれて掴まれるシーンなどはホラーっぽくもあったりしたが、やはりもう少しコンパクトな物語構成にした方がよかったのではないか。
(話は長い割に、2人の子供の父親の話は割愛されており、肉付けと削る部分がイマイチだった。)

<映倫No.18834>