喜劇 特出しヒモ天国

きげきとくだしひもてんごく|----|----

喜劇 特出しヒモ天国

レビューの数

14

平均評点

73.1(58人)

観たひと

95

観たいひと

6

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル エロス / コメディ
製作国 日本
製作年 1975
公開年月日 1975/5/24
上映時間 78分
製作会社 東映京都
配給 東映
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督森崎東 
脚本山本英明 
松本功 
原作林征二 
企画奈村協 
撮影古谷伸 
美術吉村晟 
音楽広瀬健次郎 
録音野津裕男 
照明金子凱美 
編集神田忠男 
助監督依田智臣 
スチール木村武司 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演山城新伍 松下昭平
池玲子 ジーン・谷
芹明香 ヨーコ
カルーセル麻紀 サリー・小夏
絵沢萠子 リズ・小原
森崎由紀 菊かおる
藤原釜足 善さん
川谷拓三 大西八郎
下絛アトム ター坊
川地民夫 義一さん
奈辺悟 ヒロシ
多賀勝 ススム
中島葵 ハニー・若月
松井康子 春日千鶴
白川みどり ミス・ロリータ
舞砂里 シルバー・クイン
内藤杏子 梢ますみ
殿山泰司 説教僧
北村英三 亀井謙造
疋田泰盛 内田刑事
岡八郎 井上
鈴木康弘 牧田
蓑和田良太 秋山
那須伸太朗 金港ミュージック支配人
丸平峰子 踊り子

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

社会の底辺で生きるストリッパーと彼女たちのヒモとのつながりを描いたセックス喜劇。脚本は「青春トルコ日記 処女すべり」の山本英明と松本功、監督は「街の灯」の森崎東、撮影は「日本仁侠道 激突篇」の古谷伸がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

京都、ストリップ劇場・A級京都。舞台で踊っているのは看板娘のジーン・谷である。そのショウをポーと見つめているセールスマンの昭平、変装した大西刑事。ショーが終るや大西は舞台にかけ上り、踊り子全員を逮捕した。仰天した社長の亀井は、身代りに昭平を口車に乗せ臨時の支配人に仕立て警察に送り込む。三日後、昭平は釈放されたが会社をクビになったため、そのまま支配人役を引き受けることにした。数日後、ヨーコは酒の勢いで客になりすましている大西を舞台に上げたことから大騒動となり全員逮捕さたが、大西は警察を免職になり、A級京都にころがり込み、ヨーコのヒモになった。大工の善さんはヒモ志願者で、工事現場で働いている千鶴をストリッパーにしたが、ライトマンのススムに寝とられる。オカマのストリッパー、サリー・小夏を男と知らずに楽屋に乗り込んだ義一は、サリーが男と知って大喧嘩になるが、結局は一緒に暮している。他にA級京都には聾唖者のター坊の若妻かおるなどのストリッパーがいる。契約期間が切れ、義一とサリー、大西とヨーコ、ススムと千鶴たちは旅立っていった。ションボリする昭平をやさしくいたわるジーン。その夜、二人は互いの体を暖めあうのだった。やがて、昭平は支配人を廃業してジーンのヒモになり、二人は大阪の金港ミュージックへと旅立った。昭平のヒモ稼業も板についたある日、ヨーコと大西、ヒモから逃げ出したリズ・小原、子持ちストリッパーのハニー・若月のヒモになった善さんたちが連れだってやって来た。久し振りの再会に喜びあう昭平たち。だがリズを追って来た井上は、夜中に間違ってヨーコの部屋に侵入したことから、大西がヨーコのもとを飛び出した。楽日にジーンは仕事が終ると昭平に黙って姿を消した。しょげる昭平は、これまた一人になったヨーコ、それに善さん一家と旅を続けた。白浜での公演の時、客のタバコの不仕末で火事となり、善さん一家が焼死してしまった。安置された骨箱の前で、昭平たちは、生前善さんが大好きだった「黒の船唄」を歌い出すのだった……。

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1975年7月上旬夏の特別号

映画批評:喜劇 特出しヒモ天国

2022/08/12

2022/08/14

70点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


山城新伍が後の作品に比べておとなしい。最初だからかな。

本作はもともと、ヒデとロザンナの出門英を主演に企画された。ヒデとロザンナが結婚することをデイリースポーツがすっぱ抜きして大騒ぎになる。ヒデとロザンナは共同記者会見とレコーディングをすっぽかして、各メディアが激怒して、ふたりは追放された。その騒動に眼を付けた東映・岡田茂社長はこういう生ものが大好きで、ロザンナが出産のために、ヒデの方も時間が空くだろうと思い、彼に出演依頼をする。

ところが、この映画のタイトルがこれじゃあね、ヒデはイメージが壊れると出演拒否する。ヒデの弁明にマスコミは前のすっぽかし事件と相まって芸人根性がないと批判し、ヒデもこれはまずいと察知して東映に謝罪したという。でも結局は出演しないとなり、代役で山城新伍になった。

監督の森崎東も作品にかならず便所を出し、ひげ面が汚いと城戸四郎松竹会長から、契約を打ち切られ、東映に移籍となった。

だが、これが作品にはプラスになった。作品には東映らしいバイタリティあふれる活力のあるパワーを感じる。松竹だったらもう少しおとなしいものであっただろうし、第一松竹でポルノをやらないよ。森崎東監督は松竹よりも東映の水にあったであろう。

映画の趣旨としてはポルノ映画として製作されているが、これは底辺に生きる人々の喜怒哀楽を描いた人情喜劇へと昇華させた。

映画に出てくる主演の山城新伍、川谷拓三、川地民夫、藤原釜足、みんなヒモになるのだが、とりわけ印象深いのは下条アトムと森崎由紀の聾唖の夫婦。

この夫婦は生まれてくる子供のためにお金が要るとして森崎友紀の妻はストリッパーに志願する。だが、音楽が聞えないのでは踊りもできない。そこはガッツをみせて聞えなくても踊りを特訓する。

そして本番、劇場で流しているレコードがプレイヤーが故障して音楽が止まる。それに気が付かない由紀は踊り続けるが、観客たちが騒いでいるのに事情が呑み込めないが異変が起こったことを感じ取る。だが、意を決した彼女は頭の中で音楽が流れるのを想像しながら踊り続けると言った場面が泣かせてくれる。
下条と由紀の夫婦は幼い頃障害者ゆえにいじめられたという過去がある。今だったら、こんないじめは許されないことだが、当時はそんな感覚である。子供は残酷、遠慮なしにいじめるのだが、この昔の社会の空気、差別感も盛り込まれていて、これが一番心をつかまれた。

2021/10/08

2021/10/09

75点

購入/DVD 


🎵ロ~、エン、ロ~🎵

森崎東 監督による、ペーソス・楽屋・人情喜劇。
🕯️🚌・・・🍜🔨・・・🚤💴・・・🍛🥄・・・🔥🏨🔥・・・🎉👙👮‍♂️👮‍♂️👮‍♂️
身体を工事中のストリッパー(カルーセル麻紀)のところへ田舎のボーイフレンド(川地民夫)がやってくるが、男である事実はまだ知らせていない・・・。

(単なるポルノコメディとは異なり、傑作、哀愁喜劇と評価したい。ベテランのわき役陣(ヒモ)が肩を並べ、様々な女と男の繋がりを見せる・・・。)
(本作では、表現の自由、猥褻罪についても意義を唱えているようだ。それは、変装した警察官やクライマックスになだれ込んでくる刑事たちに見て取れる。監督の代弁としては、芹明香が「あるもん見せてどこが悪いんや」と叫ぶ)
(小屋に隣接する寺の坊さんに殿山泰司が扮する。この坊さんの法話(薀蓄)が言い得て妙なり。「あの世の地獄より、この世の地獄の方が恐ろしい」など。)

2021/09/03

2021/09/03

65点

テレビ/有料放送/東映チャンネル 


ストリップ小屋の裏側

森崎東の喜劇作品。ストリップ小屋は大騒ぎというような内容。まず、警察の手入れ、マネジャーと言えば聞こえは良いが、ヒモ、新入りのストリッパー、デカからヒモへと言うようにストリップ小屋にうごめく人々を面白おかしく描いている。
からっとしていて楽しい。

2021/08/16

2021/08/16

-点

映画館/大阪府/シネヌーヴォ 


大宮劇場→A級京都→閉館(1976)

ネタバレ

池玲子と山城新伍がホテルで情交に及ぶシーン。男がしんみりと「七つ泣いてする別れのぼんぼ」と唄い出すと、女も和して口ずさむ。九州の俗謡で「ぼんぼの子守唄」(正式名不詳。春歌であり数え歌の形式だが子守唄でもあるというのが一層切ない。肥前松浦地方の子守唄とも。森崎監督の出身地である長崎県発祥)というらしい。この当時複数の歌手によって音源化されていた楽曲のようである。
オープニングクレジットに「協力」として「A級京都」「DX東寺」「伏見ミュージック」の京都市内のストリップ小屋3館の名が見える。実際のロケ地であるA級京都(現在、跡地はアドバンス京都北大路レフィナードとなっている)は措くとして、ほか2館が登場しているかは判らなかった(DX東寺は台詞では登場する)。作中では、ほかに「金港ミュージック」(大阪)「南国ミュージック」「ヌードスタジオ美女座」(南紀白浜)というスト小屋が登場するが、いずれも架空であろう。南国ミュージックは火災により焼失する(「女の裸が見られる!」と野次馬が集まる描写は「おもしろうてやがて悲しき」そのもので皮肉な哀感たっぷり)のだが、A級系列とは別の京都市内のスト小屋「千中ミュージック」が作品公開10年余りのちに祝融の災に遭って閉館に至るのは何か予言めいている気がしなくもない。
楽屋シーンで川谷拓三が芹明香の「洗浄」を手伝っている場面(洗浄とはいえシャワー室などはなく蛇口に繋いだゴムホースから流れる水道水で洗っているだけ)があって、壁に手書きの貼り紙で(正確には記憶していないが)「具もきれいに」みたいな文句が書かれていて、おそろしいリアリティを感じた。
まったくの余談だが、令和三年時点の話であるが自分がある地方のスト小屋で人間国宝級の大ベテラン踊り子さんと会話したとき「あんた京都から来たの?京都にはたしか大宮劇場とかいう小屋があったよな?」みたいなことを喋っておられて、実際に乗られたのかは確かめなかったが、現役の踊り子さんでこのA級京都を知っている人に遇ったのは初めてで驚愕した。

2020/08/25

2020/08/26

62点

テレビ/有料放送/東映チャンネル 


森崎東らしい

庶民のバイタリティーを描くことが好きな森崎東と東映というカラーは意外と相性がいいのではないか。ストリッパーとヒモのあれこれを描いたこの映画は、森崎らしいテイストにあふれている。ただ、森崎は映画をまとめることは得意じゃなく(それともそういう意図がないのか)、本作も都っ散らかったような印象が残る。それというのも、登場人物が多く出てくるが、誰に焦点が当たっているのかよく分からず、今ひとつ感情移入しにくいのだ。このあたりは脚本の問題かもしれない。
アル中役の芹明香はスッピンで登場し、度肝を抜く。あくまで警察に反抗し、開脚にこだわる、芹明香らしい。ラストシーンの真剣な表情のアップでこの映画が終わるのは印象的。
一方、池玲子は前半に見せ場があるものの、中盤で一旦退場となり、残念。下条アトム、森崎由紀の聾唖の夫婦も、面白い題材なのだが、今一つ弾けない。
ロマンポルノの女優が大挙出演し、ストリップを盛り上げるのも嬉しい。絵沢萠子、中島葵は見せ場あり。一方で、藤原釜足が老年のヒモを演じるが、松井康子にストリップのしぐさを教えるシーンなどは貴重なものだ。

2020/07/22

2020/07/26

70点

選択しない 


人間は絶対に死ぬのであるという真理を説きつつも、描かれているのは生のエネルギー。
社会から溢れたはみ出し者たちの生き様を喜劇として描きつつも、そこに救いの手を伸ばしたような森崎東流の温かさのようなものが見て取れる。
退廃的になりがちなテーマを笑い飛ばしてくれる。
とにかく異常なテンポで置いていかれ気味になってしまったけど、エネルギッシュでようござんす。
屋台ひっくり返すシーンでめちゃくちゃ笑った。