【日本映画の黄金期を担った脚本家 巨星・橋本忍】
昭和61年製作、橋本忍68歳、倍賞千恵子45歳、蟹江敬三42歳、梅宮辰夫48歳、早見優20歳時の作品。
岐阜県飛騨市神岡町の協力を得て撮影。脚本は、橋本忍とその息子橋本信吾の共同執筆。
岐阜県の山奥深く30戸の集落にいる夫に先立たれた妻を中心にしたサスペンス作品。この妻が息子の無理心中を発見した事により、地味で質素な暮らしをしていた妻の生活リズムが狂い、そこに妻自身の頑固で息子を溺愛していた性格が悪い要素となり、結末は妻自身も自殺を選択するstory。それも吹雪の日に、山の中腹にあり昔から話伝わっていた『首吊りの栃の木』で、自殺を挙行。
とにかく、この様な雪深いシチュエーションになると倍賞千恵子にはお似合いですネ。更に、演じた妻の性格も彼女の女優としてのイメージに重なる、正に彼女の王道作品と言ったところ。但し、倍賞千恵子が首吊り自殺するのは、意外でしたが・・・。
劇中で、真相の推理を娘紀美子こと早見優が、淡々と的中させるが、一つだけ的中しない事があった。それは、妻美佐子が弘一の手首を切断する時の心理だ。すなわち、無理心中した来島晴子に息子弘一を取られたくない一心だったと言う事。もしかして、この場面になると誰でもそんな心理のスイッチがONになるのかもしれない?そこまで突いて来るstoryに、背中に寒気を感じてしまったのは、自分だけでしょうか!?