旅路 村でいちばんの首吊りの木

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旅路 村でいちばんの首吊りの木

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レビューの数

3

平均評点

62.2(25人)

観たひと

41

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル サスペンス・ミステリー
製作国 日本
製作年 1986
公開年月日 1986/11/1
上映時間 118分
製作会社 橋本プロ=テレビ朝日=東宝
配給 東宝
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督神山征二郎 
脚本橋本信吾 
橋本忍 
原作辻真先 
企画森谷司郎 
橋本信吾 
製作橋本忍 
プロデューサー川鍋兼男 
撮影南文憲 
美術春木章 
音楽針生正男 
録音吉田庄太郎 
照明川崎保之丞 
編集近藤光雄 
助監督橋本匡弘 
スチール石月美徳 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演倍賞千恵子 寺岡美佐子
早見優 寺岡紀美子
蟹江敬三 深見
織本順吉 筒井
浜田晃 幸子の夫
樋浦勉 駐在の巡査
二木てるみ 幸子
桜井センリ 管理人
内藤武敏 民芸品の主人
安藤一夫 西尾刑事
ハナ肇 谷山
河内桃子 富子
長門裕之 道夫
梅宮辰夫 袋田警部

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

奥飛騨に住む母親と東京で東大受験をめざす娘の手紙のやりとりの中で、殺人事件が解明されていくまでを描く。辻真先原作の短篇小説の映画化で、脚本は橋本信吾と「愛の陽炎」の橋本忍の共同執筆。監督は「春駒のうた」の神山征二郎、撮影は同作の南文憲がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

奥飛騨の戸数30戸ばかりの村、可良寿。村人は丘の上の栃の大木を“村でいちばんの首吊りの木”と呼んでいた。この村で、寺岡美佐子は夫の死後も実家に戻らず、細々と雑貨商を営んでいた。彼女には名古屋で一人暮しをしながら予備校に通う息子・弘一と、東大受験をめざすため東京の女子高に通う娘・紀美子と二人の子供がいた。村に医者がいなかったため死んだ夫のためにも、子供たちを医者にするのが美佐子の夢だった。ある日、紀美子のもとに美佐子から手紙が届いた。それは、先日起きた被害者に手首のない殺人事件の重要参考人として捜索願の出ている弘一に関してで、手紙によると次のとおりだった。名古屋の弘一のアパートを美佐子が訪ねると不在。女の勘で恋人の存在を嗅ぎとった彼女は、部屋にあった手紙から久留島晴子という女性をつきとめ、彼女のマンションへ向かった。そこには手首を切り落とされた晴子の死体があり、たまたま晴子の上司、深見も訪ねて来ていたのだが、警察の事情聴取のあと弘一への容疑は深まるばかりだった。美佐子は弘一は絶対に犯人でないと書いていた。だが、弘一は姿を現わさず、全国に指名手配された。可良寿が廃村になるという話が持ちあがり、美佐子はひとり反対する。そんな時、村に雪崩があり、弘一が死体で発見された。解剖の結果、死因は晴子と同じ青酸カリによるものと判明した。同時に胃袋から奇妙な鍵が発見された。袋田警部らは、執拗に美佐子を追求しはじめる。紀美子が受験に合格した。喜ぶ美佐子のもとに紀美子から事件について考えたと手紙が届いた。手紙には、深見が美佐子のあの日の不審な行動を告げたこと、手錠でつながって心中した弘一と晴子を見て、美佐子が二人を離すため手首を切り、弘一の遺体を車のトランクに詰めて可良寿に連れ帰ったことが書かれてあった。そして、自首を勧めていた。深見は弘一の胃から発見された鍵が晴子の作った手錠の鍵と気づいていたのだ。美佐子のもとに、袋田が沢で手首が発見されたので、明日、署に来て欲しいとやって来た。観念した美佐子は紀美子に手紙を書いた。大体、推理どおりだが受験前の紀美子にショックを与えないためでなく、弘一を自分のものにした晴子が憎くて手首を切ったのだと。そして、栃の木にロープを吊るし、自ら命を断つのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1986年12月下旬号

日本映画紹介:旅路 村でいちばんの首吊りの木

1986年12月上旬号

日本映画批評:旅路 村でいちばんの首吊りの木

1986年11月上旬号

グラビア:旅路

特集 旅路 村でいちばんの首吊りの木:神山征二郎監督 インタビュー

特集 旅路 村でいちばんの首吊りの木:倍賞千恵子 インタビュー

特集 旅路 村でいちばんの首吊りの木:早見優 インタビュー

2016/04/27

2016/04/30

60点

映画館/東京都/新文芸坐 


手首なし死体の謎

超カルト映画「幻の湖」('82)の次に公開された橋本忍脚本映画。辻真先の原作小説があり、共同脚本は企画の橋本信吾。息子の交際相手の女性のマンションを訪ねたら手首のない死体をを発見した母親(倍賞千恵子)の話。行方をくらました息子はどこへ?という謎が映画を引っ張り、探偵役は東大医学部の入学を目指す娘(早見優)。手首なしの死体の謎は、明かされてみるとなる程だが、観終わると何故「旅路」?、「首吊りの木」の役割は?と不思議になる。倍賞千恵子は、「男はつらいよ」のさくらのイメージが強過ぎるので、色恋の絡むシーンにとても違和感を感じてしまう。この特集で橋本忍脚本の「幻の湖」「愛の陽炎」本作の「カルト3部作」を制覇した。【脚本家・橋本忍 執念の世界】

2015/11/26

2016/01/20

55点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


さすがに橋本忍

ネタバレ

シネマヴェーラの橋本忍特集で上映された「旅路 村でいちばんの首吊りの木」は、そんな映画があったことすら知らなかった映画ですが、お話の主人公格である早見優の兄に殺人の容疑が掛けられ、その殺しの手口というのが、被害者女性の死後にその片腕が切り取られるという、発端としての事件の猟奇性に惹かれるとはいえ、結局のところ話の行き着く先は、息子が恋人と心中したという事実に嫉妬し(あんな女と息子が死を共にすることが許せないという母親感情)、手錠で結び合った腕を切り取り、息子の死骸は故郷に連れて行って埋葬するという、哀しき母心からの犯罪という題材も、主役の倍賞千恵子と早見優以外には蟹江敬三や梅宮辰夫くらいしか並ばないキャスティングも地味だし、神山征二郎演出は実直ながらメリハリを欠いているし、退屈スレスレなところ、さすがに橋本というべきか、サスペンスを絶やさぬ展開に引っ張られて飽きずに観てしまいました。

2015/11/23

2015/11/24

85点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


背中に寒気を感じました。

【日本映画の黄金期を担った脚本家 巨星・橋本忍】
昭和61年製作、橋本忍68歳、倍賞千恵子45歳、蟹江敬三42歳、梅宮辰夫48歳、早見優20歳時の作品。
岐阜県飛騨市神岡町の協力を得て撮影。脚本は、橋本忍とその息子橋本信吾の共同執筆。
岐阜県の山奥深く30戸の集落にいる夫に先立たれた妻を中心にしたサスペンス作品。この妻が息子の無理心中を発見した事により、地味で質素な暮らしをしていた妻の生活リズムが狂い、そこに妻自身の頑固で息子を溺愛していた性格が悪い要素となり、結末は妻自身も自殺を選択するstory。それも吹雪の日に、山の中腹にあり昔から話伝わっていた『首吊りの栃の木』で、自殺を挙行。
とにかく、この様な雪深いシチュエーションになると倍賞千恵子にはお似合いですネ。更に、演じた妻の性格も彼女の女優としてのイメージに重なる、正に彼女の王道作品と言ったところ。但し、倍賞千恵子が首吊り自殺するのは、意外でしたが・・・。
劇中で、真相の推理を娘紀美子こと早見優が、淡々と的中させるが、一つだけ的中しない事があった。それは、妻美佐子が弘一の手首を切断する時の心理だ。すなわち、無理心中した来島晴子に息子弘一を取られたくない一心だったと言う事。もしかして、この場面になると誰でもそんな心理のスイッチがONになるのかもしれない?そこまで突いて来るstoryに、背中に寒気を感じてしまったのは、自分だけでしょうか!?