今は無き東急文化会館の渋谷東急で見て以来、35年ぶり4回目の鑑賞。
やっぱり、最高の映画だ。
パズーの父親が撮ったラピュタの写真には、1868.7の文字が。
この映画の舞台は、不思議な時間の流れの中にある。
自動車の姿は1930年代のようであり、蒸気機関車は走り、空飛ぶ戦艦はジュール・ベルヌの挿絵から抜け出てきたようでもある。
そしてラピュタ文明は700年前のものだという。
「いい娘(こ)じゃないか、守っておやり。」
「君が空から降りて来た時、ドキドキしたんだ。きっと素敵なことが始まったんだって!」
冒頭から久石譲さんのあのメロデイが流れ、涙腺が緩んでしまう。
壊れて死んだと思われたロボットが、光線を吐き、周囲を焼き尽くす。
巨神兵、再び!
「見せてあげよう、ラピュタのいかづち(雷)を!
旧約聖書にもあるソドムとゴモラを滅ぼした天の火だよ。
ラーマーヤナではインドラの矢とも伝えているがね。」
寺田農さんの冷たい声が最高です。
高度文明と悪魔の兵器。
人類の永遠の宿命か、命題か。
ラピュタ王家の末裔が、700年の時を越えて、善と悪に分かれ戦う。
これ以上、哀しいことはない。
海賊たちのユーモアが満点で、この冒険譚を暖かいものにしてくれる。
ドーラ役の初井言榮さんは大映テレビドラマなどで、見覚えのあるお顔=憎まれ役。
本作の4年後、61才で亡くなられている。
素敵な声をありがとう。