かい|Kai|----

櫂

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レビューの数

23

平均評点

64.1(92人)

観たひと

153

観たいひと

8

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ / サスペンス・ミステリー
製作国 日本
製作年 1985
公開年月日 1985/1/15
上映時間 134分
製作会社 東映
配給 東映
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督五社英雄 
脚本高田宏治 
原作宮尾登美子 
企画日下部五朗 
奈村協 
遠藤武志 
撮影森田富士郎 
美術西岡善信 
音楽佐藤勝 
録音荒川輝彦 
照明増田悦章 
編集市田勇 
助監督長岡鉦司 
スチール渋谷典子 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演緒形拳 富田岩伍
十朱幸代 富田喜和
名取裕子 染勇
石原真理子 
井上純一 竜太郎
田中隆三 健太郎
高橋かおり 綾子
草笛光子 大貞
真行寺君枝 豊竹巴吉
ハナ肇 小笠原楠喜
園佳也子 里江
白都真理 松井照
島田正吾 森山大蔵
左とん平 
成田三樹夫 谷川文造
片桐竜次 木元武造
成瀬正 松崎
島田紳助 竹市
宮尾登美子 陽暉楼の女将

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

大正・昭和の高知を舞台に、女衒一家の波瀾にとんだ事件の数々と、妻と夫の別離を描く。宮尾登美子の同名小説を「北の螢」の高田宏治が脚本化。監督も同作の五社英雄、撮影も同作の森田富士郎がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

大正3年、初夏の高知。縁町界隈で芸妓・娼妓紹介業を商う富田岩伍は商用で大阪・神戸をまわって、旅の途中で拾った少女・菊を連れて帰ってきた。富田の家には岩伍と喜和の間に病弱な長男・竜太郎、きかん坊の次男・健太郎の息子があり、それに番頭格の庄、女中の鶴、若い衆の米と亀がいる。金使いの荒い岩伍のせいで、人知れず貧乏所帯をきりまわす喜和に、またひとつ菊の養育という苦労が重なった。ある日、喜和は岩伍に命じられるまま、赤貧にあえぐ裏長屋の巻に米を届けた。折悪しくそこは赤痢騒ぎ、しかも巻の無残な死骸を見た喜和は不覚にも気を失って倒れた。死んだ巻の娘・豊美を芸事修業のため、岩伍が大貞楼にあずけたのは、それから間もなくのことだった。そして大正15年5月。菊は19歳の美しい娘に成長していた。大貞楼にあずけられた豊美は名も染勇と改め、高知一の芸者になっていた。健太郎、竜太郎も19歳、17歳とそれぞれ成長していたが、喜和の心痛は竜太郎の病弱、健太郎の放蕩だった。この頃、岩伍は40歳中ばの男ざかり、豊栄座に招いた娘義太夫の巴吉と肉体関係をもっていた。かねてより女衒という恥かき稼業を嫌っていた喜和はそのことが原因で実家である小笠原家に戻っていたがそこに大貞楼の女将、大貞が訪れ、とりなしを計った。巴吉と岩伍は別れさせるが二人の間にできた子供は喜和が育てるべきだ、と。喜和はあまりの理不尽さに身体がふるえた。喜和が緑町の家に帰ってから間もなく、岩伍と対立する谷川一家の賭場で刃傷沙汰を起こし、弟をかばった竜太郎が多量の血を吐いて息を引き取った。そして一方、岩伍の子を産み落とした巴吉は高知を去り、綾子と名付けられた赤ん坊の育事は喜和の仕事となった。昭和11年5月。綾子は11歳の愛くるしい少女に成長したが、喜和は病いに倒れた。手術の末、奇跡的に命はとりとめたものの、髪を次第に失っていく悲運に見まわれた。岩伍は今では大成し、朝倉町に移っていたがそこに照という女を住まわせていた。ある日、今は父親の仕事を手伝っている健太郎は岩伍の意向で喜和に隠居を命じた。喜和は綾子を連れて実家に身を寄せたが、追い打つように岩伍からの離縁話、そして綾子を返せという達し。今では綾子だけが生きがいとなっている喜和はこれを拒否、岩伍の殴打が容赦なく飛ぶ。そのとき綾子が出刃包丁で岩伍に斬りかかった。こんな骨肉の争いがあって間もなく、喜和は大貞の意見を入れ、身を切られるような気持ちで綾子を岩伍のもとに返す決心をした。別れの日、橋のたもとで喜和は綾子が岩伍の家に入るまで見送った。喜和はひとり、岩伍の家に背を向けた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1985年1月下旬号

特集 櫂 五社英雄監督作品:監督インタビュー

特集 櫂 五社英雄監督作品:作品評

2025/06/23

2025/06/24

70点

テレビ/無料放送/J:COM BS 


昔は仕方なかった、などと現在言おうものならそれこそ大炎上ものなのだろうが、生きていく為に女の子を奉公に出すことは公然の事実であり、それを斡旋する女衒という職業?も認知されていたということ。決して男尊女卑というわけではないが、女性には女性でしかできない職種があったことも事実。
それにしても十朱幸代は緒形拳となら濡れ場を演じることに抵抗ないのだろうか?もっとも「魚影の群れ」と比べれば、かなり抑え気味ではあったが。

2025/04/16

2025/04/16

55点

テレビ/無料放送/J:COM BS 
字幕


クズの稼ぎ

富田岩伍(緒形拳)はクズである.そのクズっぷりが物語になり,財をなし,罪を作る.子をつくる,女をつくる.彼の旺盛さは尋常ではないが,周囲の人間としてはたまったものではない.そうした岩伍と対等でいられるのは,大貞(草笛光子)という女傑である.この女性は,芸妓を取りまとめ,高知の夜の文化を取り仕切っているようでもある.ここに芸妓としての資質やら境遇やらを見込んで,仕込み,売り込んでいく女衒が岩伍であり,彼と大貞はクズつながりの,腐れ縁とも言える.
岩伍の一応の正妻は,喜和(十朱幸代)であり,キャメラは主に彼女が高知で過ごした戦前の30年ほどの時代に寄り添う.この夫婦の子のような存在として,染勇(名取裕子)がおり,その妹分の菊(石原真理子)がいる.また,娘義太夫の名手,巴吉(真行寺君枝)との間にもうけられた綾子(高橋かおり)がおり,岩伍を載せた人力車を引いていて,凶刃に命を失った車夫の妻(白都真理)がいる.こうした女性たちは,岩伍に追放されるかのように悲しげな顔をして,散っていってしまう.子たちも母性の塊のようでいて,意地もある母を慕い,岩伍の怪しい稼業も災いして,父には懐かない.また,染勇のように父的な存在の岩伍に男としての魅力を感じてしまう女性もいる.
高知の権力争いも物語のもう一つの筋にもなっている.谷川(成田三樹夫)がのさばっているものの,岩伍の権力はやがて谷川に拮抗するまでになる.男たちは,威勢もいい.息子のような存在の兄弟も,一人には喧嘩で斃れ,一人は逮捕され,刑を喰らっている.男たちの虚勢と女たちがたまに見せる妖しげな姿態が画面を少しだけ熱くしている.かと思えば,重要な場面ではただならぬ雨が降り,例えば傘をさす喜和に打ち付けている.知性や教養が近代を開きつつある時代にあって,クズのクズっぷりは,生活の知恵のようにも見えてくる.その鈍感と野生と性欲とは,貧困から脱する生活の必需でもあったに違いない.

2025/02/09

2025/02/19

70点

テレビ/無料放送/J:COM BS 


土佐は海の国じゃきに、櫂の映画になるぜよ。

ネタバレ

映画界は永遠に企画を求める雑食動物なのだが、小説は主な狩り場となる。文学性よりもストーリー
テラーを欲する。時代劇には池波正太郎や藤沢周平の作品が好まれて、多くの映画が制作された。
宮尾登美子も同様なのだが、五社英雄監督との相性は想像以上のコラボレーションとなり、土佐の風土
と色街に住む人々の見事な大河ドラマになった。高知三部作は、鬼龍院花子の生涯、陽暉楼、櫂の
順番だが、宮尾登美子にとっては本作が処女作で、自伝的ドラマとして過度な作り込みはない。

青年相撲の富田岩伍(緒形拳)に喜和(十朱幸代)が嫁ぎ、陽暉楼の後押しがあり、大正3年、富田
芸妓娼妓紹介業の看板が上がった。裏長屋から妓楼に紹介した豊美は染勇(名取裕子)と名乗り高知
一の芸妓になった。岩伍の商売は順調に伸び、手を広げて興業にまで及ぶ。その娘義太夫の巴吉と
出来てしまう。大貞楼の女将(草笛光子)は二人は別れるので、赤ん坊を引き取って育てて欲しい、と
依頼する。喜和は激しく抵抗する。女将は女衒商売で食べている喜和を了見が狭いとなじる。
岩伍と喜和には竜太郎と健太郎の二人の息子がいた。竜太郎は身体が弱く、肺病を病んでしまう。
綾子と名づけられた赤ん坊は順調に育つ。喜和とは血のつながりがないが、実の母娘のようになっていく。
一方、高知を牛耳っていた多仁川組の賭場で健太郎がトラブルを起こす。止めに入った竜太郎が組員の
刃に倒れ、命を落とす。組長谷川(成田三樹夫)が岩伍と話をつけようとするが、逆に老齢を見透かされ、
高知一の実力者は岩伍であることを認めさられる。谷川は映画オリジナルで高田宏治のセンスが光る。
大正・昭和を背景に、岩伍と喜和の愛憎をたっぷり描き、土佐大河ドラマとした。

男尊女卑の時代の話で、現代の映画の製作委員会方式のシステムでは、忌避する出資者もいるだろう。
昭和末期という製作年度が、作品を損なうことなく花を開かせたいうことか。

2023/11/15

2023/11/15

60点

テレビ/有料放送/WOWOW 


好きなように生きる女衒の緒方拳と反発しながらも従い最後を袂を分かつ妻の十朱幸代との息子娘を巻き込んだ愛憎劇。妾腹の綾子が原作者の宮尾登美子という自伝的な原作の映画化作品。こういうドロドロした愛憎劇は苦手だ。

2022/10/21

2022/10/21

73点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


五社英雄監督

人材を紹介する(?)会社のオーナーが少女をひとり買い取ってきた。
オーナーの妻の裏で妾に子供を孕ませては子は産まれる。
その子は綾子と名付けられた。
一方で妻は大病を患っていた。

抑揚や派手さはないが、原作者宮尾登美子の自伝記とあって波乱万丈の半生をこれでもかと書き殴った(?)物語の表現力が強かであった。

2022/06/25

2022/06/26

-点

テレビ/有料放送/WOWOW 


☆☆