小沼勝監督が自身一番の傑作と言っているので、是非見たかった作品。脚本の宇治英三は実は桂千穂だそうだ。
SMショーをやっている男(田山涼成)と女(松川ナミ)は倦怠期のコンビ。コンビを解消しようとしていたが、ご贔屓の京都の旦那に呼ばれて出張でSMショーを見せる。ところが、この旦那夫婦がリアルなSM愛好家で、二人の罠にかかって、二人はSMの世界を垣間見るという話。
SMショーの中での松川ナミが体を張ってすごい。一旦体の中に入れた赤い液体を放出するシーンで、徐々に赤く色を変えていく水、そして透明な容器。また、水車に縛り付けられて、回転するたびに水の中をくぐるシーンでのアップ。田山涼成が松川ナミを鞭うつシーンも迫力満点。それにしても、小沼勝の演出はしつこい。
その一方で、主人公二人の道行きが美しい京都の風景の中でとらえられる。これがなかなかいい。
特にラストで、桂川の水で足を洗う二人の再出発のシーンに、「君恋し」の歌が重なる。少しひねっているが、見事な恋愛映画だと思う。
松川ナミもいいが、田山涼成もいい。