蒲田行進曲

かまたこうしんきょく|Fall Guy|Fall Guy

蒲田行進曲

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レビューの数

82

平均評点

78.7(550人)

観たひと

916

観たいひと

43

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1982
公開年月日 1982/10/9
上映時間 109分
製作会社 松竹=角川春樹事務所
配給 松竹
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督深作欣二 
脚本つかこうへい 
原作つかこうへい 
製作角川春樹 
プロデューサー佐藤雅夫 
斎藤一重 
小坂一雄 
撮影北坂清 
美術高橋章 
音楽甲斐正人 
録音荒川輝彦 
照明海地栄 
編集市田勇 
助監督比嘉一郎 
スチール金井謹治 
製作協力東映京都撮影所 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演松坂慶子 小夏
風間杜夫 銀四郎
平田満 ヤス
高見知佳 朋子
原田大二郎 
蟹江敬三 監督
岡本麗 トクさん
汐路章 山田
榎木兵衛 トメ
高野嗣郎 
石丸謙二郎 大部屋A
萩原流行 勇二
酒井敏也 マコト
清水昭博 助監督
佐藤晟也 カメラマン
清川虹子 ヤスの母
友情出演千葉真一 
真田広之 
志穂美悦子 

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

撮影所を舞台に、スターと大部屋俳優の奇妙な友情、そしてこの二人の間で揺れ動く女優の姿を描く。第86回直木賞を受賞したつかこうへいの同名小説の映画化、脚本もつか自身が執筆、監督は「道頓堀川」の深作欣二、撮影は北坂清がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

ここは、時代劇のメッカ、京都撮影所。今、折りしも「新撰組」の撮影がたけなわである。さっそうと土方歳三に扮して登場したのは、その名も高い“銀ちゃん”こと倉岡銀四郎である。役者としての華もあり、人情家でもあるのだが、感情の落差が激しいのが玉にキズ。こんな銀ちゃんに憧れているのが大部屋俳優のヤス。ヤスの目から見れば銀ちゃんは決して悪人ではない、人一倍、仕事、人生に自分なりの美学を持っているだけだ。ある日、ヤスのアパートに銀ちゃんが、女優の小夏を連れて来た。彼女は銀ちゃんの子供を身ごもっていて、スキャンダルになると困るのでヤスと一緒になり、ヤスの子供として育ててくれと言うのだ。ヤスは承諾した。やがて、小夏が妊娠中毒症で入院するが、ヤスは毎日看病に通った。その間、ヤスは、撮影所で金になる危険な役をすすんで引き受けた。小夏が退院して、ヤスのアパートに戻ってみると、新品の家具と電化製品がズラリと揃っていた。だが、それとひきかえにヤスのケガが目立つようになった。それまで銀ちゃん、銀ちゃんと自主性のないヤスを腹立たしく思っていた小夏の心が、しだいに動き始めた。そして、小夏はヤスと結婚する決意をし、ヤスの郷里への挨拶もすませ、式を挙げて新居にマンションも買った。そんなある日、銀ちゃんが二人の前に現われた。小夏と別れたのも朋子という若い女に夢中になったためだが、彼女とも別れ、しかも仕事に行きづまっていて、かなり落ち込んでいるのだ。そんな銀ちゃんをヤスは「“階段落ち”をやりますから」と励ました。“階段落ち”とは、「新撰組」のクライマックスで、斬られた役者が数十メートルもの階段をころげ落ち、主役に花をもたす危険な撮影なのだ。ヤスは大部屋役者の心意気を見せて、なんとか銀ちゃんを励まそうと必死だった。“階段落ち”撮影決行の日が近づいてきた。ヤスの心に徐々に不安が広がるとともに、その表情には鬼気さえ感じるようになった。心の内を察して、小夏は精一杯つくすのだが、今のヤスには通じない。撮影の日、銀ちゃんは、いきすぎたヤスの態度に怒り、久しぶりに殴りつけた。その一発でヤスは我に帰った。撮影所の門の前で、心配で駆けつけた小夏が倒れた。“階段落ち”はヤスの一世一代の演技で終った。小夏がベッドの上で意識を取り戻したとき、傷だらけのヤスの腕の中に、女の子の赤ん坊が抱かれていた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2005年12月上旬号

巻末スペシャル 感動∞倍増 本を観る、映画を読む! “映画×本”で広がるストーリー:紹介作品『対岸の彼女』『春、バーニーズで』『センセイの鞄』「理由」『巷間百物語~狐者異~』「自由戀愛」「深紅」「天国の本屋~恋火」「八つ墓村」「蒲田行進曲」「砂の器」「天城越え」「ゼロの焦点」「ライディング・ザ・ブレッド」

1983年2月下旬決算特別号

特別カラー・グラビア:日本映画作品賞 「蒲田行進曲」

特別対談 「蒲田行進曲」で描いた活動屋の意地と誇り:深作欣二×中邑宗雄

1982年11月下旬号

テイク・ワン:蒲田行進曲

1982年11月上旬号

日本映画紹介:蒲田行進曲

1982年10月下旬号

グラビア:蒲田行進曲

「蒲田行進曲」原作・脚本のつかこうへい インタビュー:

1982年9月下旬号

特別寄稿 〈京都映画事情〉:「制覇」「蒲田行進曲」「伊賀忍法帖」の製作で活気づく東映夏の陣をゆく

2023/11/17

2023/11/17

50点

テレビ/無料放送 


公開時に話題になっていた作品だが、どうせ角川映画だからという事で見逃していた作品。
風間杜夫の意図的な臭い芝居等、あまりにも昭和的なテイストなので、今観ると国籍不明の世界観さえ感じる。今も時代劇の映画はたまに作られているけど、大部屋俳優なんてシステムはまだあるのだろうか。
太る前の松坂慶子は実に綺麗。一番感激したのは、ゲスト出演の志穂美悦子と真田広之の見事な殺陣のシーンだった。

2023/08/05

2023/08/05

80点

テレビ/無料放送/その他 


昭和レトロ

命を賭けるような仕事を引き受けてしまうと、取り返しのつかない気持ちや後悔の念などいろんな感情が入り乱れるんでしょうね。
自分はそこまでの感情に追い込まれてしまったことはないけれどもその場になったらあそこまで極端ではないにしろヤスと同じ様な行動をとってしまうかも知れません。
それでも最後はハッピーエンドで終わってくれるところでこの作品のそれまでのストーリーが一気に素晴らしいものに感じられます。
仕事に打ち込む夫、それを支えながら新しい命を授かる妻、そして最期は夫婦円満で子供を育てる、昭和を感じるいい作品です。

2023/07/17

2023/07/18

-点

テレビ/無料放送/その他 


銀ちゃん!

ネタバレ

『だって銀ちゃん一緒に居てくれないじゃない』
『とうとう俺を人殺しにしやがって』
『銀ちゃん カッコイイ』

2019/05/04

2023/03/02

-点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 

『蒲田行進曲』。松竹作品だけど写っているのは東映撮影所。銀ちゃん(風間杜夫)の名言「バカヤロー、キャデラックに免許がいるかっ!」。銀ちゃんの派手派手衣装にびっくり。ハイヒールのような靴。ヤス(平田満)の故郷は九州の人吉と言っていたが、ロケ地は京都の保津峡駅。セットの階段は39段。

2023/02/15

2023/02/15

70点

レンタル 


体育会系体質

最初は銀四郎の役は松田優作にオファーしたらしい。松田がこれは自分の役じゃないな、と断ったという。それは正解だな、と思う。松田がやるとスターが大部屋俳優をいじめるというのが、シャレにならない。彼は聡明な俳優だと思う。

つかこうへいが松田をキャスティングするというのを血相抱えて、彼をキャスティングにするよりもうちの風間杜夫と平田満を銀四郎とヤスにしてくれ、そうしたら松竹の看板女優・松坂慶子が映えるだろう、松田優作では彼女が霞むよ、といって納得させたのだとか。

私はこの映画は好きである。深作欣二監督テンポの良い演出で面白く観た。だが、スターがお付きの大部屋俳優をいじめにいじめるというこの体育会系の悪しき慣習は大嫌いだ。運動部における先輩・後輩の構図も唾棄すべきものだ。自分の立場が上だからって、弱いものいじめはよろしくない。これが昭和の闇だよなあ。戦時中における上官が部下に対しての拳固やビンタをくらわすのをしごきだと称しているのもそうである。

こういうのをよし、としているのでこの映画は面白かったものの、嫌いでもある。この感覚は原作のつかこうへいと深作欣二監督には当たり前のものだったのだろう。ヤスが小夏に銀四郎の自分に対するあつかいに不満を爆発させるところは、我慢に我慢を重ねた彼の本音の発露だと思うが、その後階段落ちの前に煙草の火を銀四郎にさせる。銀四郎はいい加減にしろとヤスを殴る。するとヤスは笑顔を見せて元の銀ちゃんに戻ったという。なんだこれは?ヤスのMぶりはなんとも不気味だ。ホモセクシュアルと体育会系の歪んだ感情が見えて、私には気持ち悪い関係にしか思えない。本作はコメディ調で撮っているから、それもシャレに見えるのが救い。

それと深作監督もアクションが得意であるが、彼も泣かせを入れて湿っぽく演出するのもあまり好かない。本作でも時々挟んでいくので、ここの湿っぽさは好みではない。
ラスト場面でも階段落ちで死んだのかと思ったヤスが小夏の産んだ赤ん坊を抱いて、彼女に見せるというハッピーエンドも湿っぽいなあ、ラストをこの人情劇で終わらせるのかと思った。ところが「はい、カット」という声が響き、セットの壁が外され、出演者とスタッフが一同に介して、テーマソング「蒲田行進曲」が流れてお終いになる。映画の終わりはこういう風にスカッと終わらなきゃあね。

この映画は松竹と角川映画の製作である。それなのに東映京都撮影所が舞台になっているのは何故か。角川春樹は階段落ちもあるので、東映へ話を持って行ったが断られたという。それで松竹が承知してくれたという。ところが、深作監督は階段落ちがあるので時代劇なら東映の撮影所が良いと言った。それならと角川春樹は東映に撮影所を貸してくれと言った。そしてそれを岡田茂社長は承知したのである。

これが映画の全盛期なら無茶苦茶な話である。だが、映画の体制が崩れて五社協定もなくなって、邦画の衰退ぶりを象徴する時代だった。撮影所を貸すことで東映と松竹の共同制作になった。

そして角川春樹の当時の勢いも象徴している。角川が東宝で第一作「犬神家の一族」を発表したときは、本屋が映画を作れるわけがない、と映画業界は冷ややかだった。ところがこれが大ヒットして、角川映画は破竹の勢いとなる。それが衰弱した邦画のカンフル剤となった。東映も角川春樹に説得されたのも、当時の角川映画にメジャーの映画会社が敵わなかったということだ。それなら最初から東映はこの映画化を承知すればよかったのに、ということになるだろう。

今回観直してみて先ごろ訃報を聞いた高見知佳が出ているのにはちょっとしんみりした。また萩原流行も出ていたんだねえ。昔の映画を見ると、あの人がこんなところに、というのがあるけど、それも楽しみのひとつになるだろう。

2023/01/01

2023/01/01

75点

テレビ/無料放送/その他 


何十年振りかで観たけれど、This is the 昭和というような作品。つかこうへい原作の人情喜劇の名作。風間杜夫、松坂慶子、平田満、皆一世一代のはまり役とも言える名演技で観る者を思わず泣き笑いにさせる。しかし、「仁義なき戦い」の監督がこういう作品も演出するのだから、深作欣二監督というのはつくづく偉大ですね。