恋する惑星

こいするわくせい|Chungking Express 重慶森林|Chungking Express 重慶森林

恋する惑星

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レビューの数

123

平均評点

75.6(714人)

観たひと

1151

観たいひと

91

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ラブロマンス / ドラマ
製作国 香港
製作年 1994
公開年月日 1995/7/15
上映時間 100分
製作会社 ジェット・トーン・プロ
配給 プレノンアッシュ(テレビ東京=プレノンアッシュ 提供)
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演トニー・レオン 警官633号
フェイ・ウォン フェイ
ブリジット・リン 金髪の鬘の女
金城武 警官223号(モウ)
チャウ・カーリン スチュワーデス

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

90年代を代表する映像作家、「いますぐ抱きしめたい」「欲望の翼」のウォン・カーウァイが、香港は重慶マンション周辺を舞台に、ある二組のカップルの出会いをめぐるドラマを独自の語り口と映像感覚で綴った一編。彼自身の製作会社であるジェット・トーン・プロの第1作で、製作は彼の盟友にして香港映画界で八面六臂の活躍をみせる、「黒薔薇VS黒薔薇 kurobara tai kurobara」「フル・ブラッド」の異才ジェフ・ラウが参加。撮影は前半部をカーウァイの劇場第一作「いますぐ抱きしめたい」のアンドリュー・ラウ(ラウ・ワイキョン)が、後半部を「欲望の翼」のクリストファー・ドイルがそれぞれ担当。音楽は本来は監督も手掛ける映画人である『東邪西毒』のフランキー・チャン、美術はカーウァイの全4作を手掛ける、「スウォーズマン 女神復活の章」のウィリアム・チョンがそれぞれ担当。出演は「悲情城市」「欲望の翼」などのトニー・レオン(本作で香港電影金像奨主演男優賞受賞)、『北京オペラブルース』(V)、「スウォーズマン 女神復活の章」のブリジット・リンの実力派俳優に、本作がスクリーン・デビューとなる新人2人、香港一の若手女性人気歌手フェイ・ウォンと台湾のニューフェイス、日台ハーフの金城武がからむという好対照なキャスティング。加えて「月夜の願い」のチャウ・カーリンがスチュワーデス役で出演。効果的に使用される劇中曲は、デニス・ブラウンの『Sings in Life』、ママス&パパスの『夢のカリフォルニア』、ダイナ・ワシントンの『縁は異なもの』、フェイ・ウォンの『夢中人』(クランベリーズの『Dreams』のカヴァー)ほか。95年香港電影金像奨作品・監督・主演男優賞受賞。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

〈重慶マンション:Chunging House〉刑事223号(金城武)は、雑踏の中で金髪にサングラスの女(ブリジット・リン)とすれちがう。「そのとき、彼女との距離は0.5ミリ-57時間後、僕は彼女に恋をした」女は無国籍地帯、重慶マンションを拠点に活動するドラッグ・ディーラーで、密入国したインド人に麻薬を運ばせる仕事を請け負っている。刑事223号はエイプリル・フールに失恋。恋人が忘れられず、ふられた日からちょうど1か月後の自分の誕生日までパイナップルの缶詰を買い続けてしまう。金髪の女は啓徳空港へ。しかし、麻薬を渡したインド人の姿はなく、彼女は裏切りを知る。ほどなく命を狙われた彼女は相手を銃殺し、走り逃れる。かくして刑事223号と金髪の女は偶然入ったバーで知り合う。恋人を忘れるため、その夜会った女に恋しようと決めている刑事223号。疲れ切った女はそんな彼にそっけない。二人はホテルに泊るが、女はすぐに眠り込み、刑事223号は彼女のハイヒールをそっと脱がせて洗ってやる。静かな一夜が明け、25歳の誕生日の朝、刑事223号はグラウンドを全力疾走。わざと置き捨てて去ろうとしたポケベルが鳴る。それは金髪の女からのバースデイ・コールだった。その朝、女は裏切った男を射殺、金髪のかつらとサングラスを投げ捨て、去っていく。 〈ミッドナイト・エクスプレス:Midnight Express〉刑事223号は小食店〈ミッドナイト・エクスプレス〉で、新入りの娘フェイとすれちがう。「そのとき、彼女との距離は0.1ミリ-6時間後、彼女は別の男に恋をした」刑事633号(トニー・レオン)は店の常連。彼にはスチュワーデスの恋人(チャウ・カーリン)がいたが、二人には別れが待っていた。ある日、フェイはスチュワーデスが刑事633号にあてた手紙を店主からことづけられる。手紙には彼の部屋の鍵が入っていた。刑事633号の部屋に忍び込むフェイ。それからというもの、彼女は口実を見つけては店を抜け出し、彼の部屋を少しずつ自分好みに模様替えしていく。刑事633号は、恋人がいなくなった部屋が、悲しくて変質しているのかとひとりごちる。やがて二人は部屋で鉢合わせ。フェイが置いていった『夢のカリフォルニア』のCDを聞きながら、お互い何事もなく眠りにおちる。しかし二度目のとき、彼女は逃げてしまう。店を訪れた刑事633号は彼女をデートに誘う。大雨の夜、約束の時間、待ち合わせの店〈カリフォルニア〉に彼女は来ない。待ち疲れた彼に店主がフェイからの手紙を渡す。一度は捨てたが、拾い上げてみると中身は日付が一年後の塔乗券。行き先は雨でにじんで読めなくなっていた。彼女は『夢のカリフォルニア』に旅立ったのだ。-一年後。スチュワーデス姿のフェイはミッドナイト・エクスプレスの前にいる。流れてくる『夢のカリフォルニア』のメロディ。店の主人は刑事633号だった。彼はあの塔乗券を差し出し、行き先を教えてくれという。フェイは新しい塔乗券と取り替えてあげると答え、かたわらの紙ナプキンをとりあげた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2019年9月下旬特別号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第5弾 1990年代外国映画ベスト・テン:ベスト15 解説

1996年3月上旬号

特別企画 愛と哀しみの邦題:題名が決定するまで-「恋する惑星」

1996年2月上旬号

外国映画紹介:恋する惑星 CHUNGKING EXPRESS

1995年7月下旬号

グラビア 《New Release [新作映画紹介]》 :恋する惑星

特集 恋する惑星:作品評

特集 恋する惑星:金城武 インタビュー

2024/05/01

2024/05/02

80点

VOD/U-NEXT 
字幕


一年半ぶり

5月1日といえば本作。
前回映画館で観て一年ぶりくらいかなと思ったら一年半経ってた。

ちょうど三十年前の作品。
「パルプフィクション」と同じ1994年作品。
当時二十歳。
今思えばウォン・カーウァイとタランティーノが青春真っ只中だったか。

2023/08/05

2024/01/08

85点

映画館/東京都/新文芸坐 
字幕


4K

2023/12/08

2023/11/07

82点

レンタル/東京都/TSUTAYA/TSUTAYA 恵比寿ガーデンプレイス店/DVD 


運命の出会いの“瞬間”を切り取った!

ネタバレ

香港映画界に新風を巻き起こしたカーウァイ監督の出世作。

まず目を引くのは映像の新鮮さ。「香港」という東西の文化が錯綜する独特な街で、一見普通に見える男女の、ちょっぴり変わった恋の行方をスピーディーに描いたスタイリッシュな作品だ。まるで、『ブレードランナー』の近未来都市のように、原色がゴタゴタをあふれる街・・・。この街の風景が、何故か見ている我々のパッションをくすぐる。

物語は2部構成になっており、それぞれの男女の、「始まる前の恋」を描く。この4人の男女、都会に埋もれ、たいして注目もされない一般市民のように見えるが(前半の女性は、見た目から一般人ではないが・・・)、それぞれどこか風変わりだ。金城武演じる刑事は、そのストイックな職業と全く違って、寂しがりやな男。振られた女を忘れられずにイジイジしている。片端から知り合いに電話をかけたり、彼女とよりがもどるよう願掛けをしてパイン缶を毎日買ったり・・・。トニー・レオン演じる警官も、CAの彼女に振られ、「せっけん」や「シャツ」に話しかけたりする。その警官に片思いをする小食店で働く娘は偶然手に入れた彼の部屋の鍵で、彼の部屋に毎日侵入し、掃除したり、模様替えしたり、自分の好きなCDを置いたり、チビたせっけんを交換したりする。この一歩間違えれば犯罪者やあぶない人のような行為を、何故か可愛らしく思えてしまうのは、誰もが一度は経験している「片思い」や「失恋」のときめきや痛みを知っているから・・・。

本作をキュートにしているのは、そんな4人の主演たちが魅力的なところだ。4人ともに、孤独で一生懸命なところが憎めない。さらに登場するファブリックやファッションもキュート。オシャレでスタイリッシュな青春映画だが、犯罪などのダークな部分もチラリと垣間見せ、絶妙のスパイスになっている。なんといっても憎いところは、前述したとおりに、それぞれの恋愛はまだ始まってもいないのだ。前半の2人には未来はないように見える。都会に紛れ、もしかしたら2度と会えないかもしれない(ドラマチックに考えるのなら犯罪者と刑事として再会する可能性もあるが、私は2度と会えない気がする)。それとは反対に後半の2人には、いくらかの希望が見られる。どっちにしても「香港」という混沌とした街の片隅で、誰にも注目されないありふれた(あるいは特殊な)恋愛、言い換えれば誰にでも起こりうる恋愛、こんな小さな小さなドラマがサイコーにオシャレなラブ・ストーリーの秀作。

2023/09/03

2023/09/03

-点

VOD/U-NEXT/レンタル/タブレット 
字幕


縁は異なもの

「その時彼女との距離は 0.1 ミリ」

何と言うか、自分の感性ではよく分からなかった。
つまり「オムニバス形式」ってことでOK?通常のオムニバス作品と違って特段チャプター分けがされていないので、トニー・レオンとフェイ・ウォンを観ながら「で、金城武はどうなったのよ?」という思いが終始頭の中をグルグルしていた。
フェイ・ウォンがトニー・レオンの家でやっていることって、これ住居侵入罪じゃね?と思いながらも、それを許してしまうトニー・レオンに「おいおい香港警察大丈夫かよ...」とツッコミを入れたくなってしまった。
思うに、これはあの中川家みたいなオヤジが経営する惣菜屋という"太陽"を中心とした、若き惑星たちのとりとめのない交錯を描いた人間模様なのだ。そのとりとめのなさが当時の若い世代の人々のツボをうまいことくすぐったのだろう。その点で「重慶森林, Chungking Express」という原題に「恋する惑星」という邦題をぶつけた翻訳者はファインプレイと言っていい。
にしても、かつての魔都が上海ならば現代の魔都は香港だ。冒頭の南アジア系や白人が入れ替わり立ち替わり登場する場面は、まず香港以外の都市では画にならないだろう。仮に撮れたとしてもあそこまで怪しい雰囲気は出せない。ほどよく怪しく、ほどよく小汚く、そしてほどよくゴミゴミしていてほどよく爽やかだ。
縁は異なもの...香港という太陽系で、今日も惑星たちは交錯する。

2023/07/29

2023/07/29

70点

テレビ/無料放送/その他 
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初見の時もその映像美には驚かされたが、久しぶりに観てこんなにお洒落な映画だったかなと改めて感心させられた。
独特な映像センスと共に今回は音楽がその映像に良くマッチしているところも素晴らしいと思った。

2023/07/10

2023/07/12

80点

テレビ/無料放送 
字幕


観る毎に評価がアップする

この映画、最初に映画館で観た時の評価はなぜか60点と及第以下の採点にしていた。きっと、ストーリーを追っていて理解できなかった結果であろう。しかし、自意識として「また観たい映画」にインプットされていて2回目、3回目と再観するたびに評価点がアップする。今回は特にレストアされて綺麗な映像になっていたのが加点の材料だったかもしれない。
結局、ストーリーの理解は放棄して主人公たちの刹那的な感情をその瞬間の映像で楽しむ作品なのだろう。また、数年後に再鑑賞したい一作である。