伴奏者

ばんそうしゃ|L'Accompagnatrice|L'Accompagnatrice

伴奏者

レビューの数

7

平均評点

69.7(30人)

観たひと

45

観たいひと

6

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 フランス
製作年 1992
公開年月日 1993/6/26
上映時間 112分
製作会社 フィルム・パー・フィルム=ル・フィルム・ド・ラ・ボワセリエ=オルリー・フィルム=セディフ=フランセ3・シネマ
配給 ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビー

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

第二次大戦中のヨーロッパを背景に、オペラ歌手の伴奏者となった少女の成長を描く青春ドラマ。ニーナ・ベルベローワの原作(河出書房新社・刊)をもとに、「小さな泥棒」のクロード・ミレールが監督・脚色した作品で、彼の四年振りの作品となった。製作は「めぐり逢う朝」のジャン・ルイ・リヴィ。撮影は同作でセザール賞を受賞したイヴ・アンジェロ。音楽監督は「なまいきシャルロット」のアラン・ジョミイ。主演は「野性の夜に」のロマーヌ・ボーランジェ、「黒い瞳(1987)」のエレナ・ソフォーノワ(劇中の歌はローランス・モンティロールが吹き替え)、ロマーヌの父親で「コックと泥棒、その妻と愛人」のリシャール・ボーランジェ。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

一九四二年の冬。ドイツ軍占領下のパリ。二〇歳のソフィ(ロマーヌ・ボーランジェは憧れのオペラ歌手イレーヌ(エレナ・ソフォーノワ)のピアノ伴奏者となった。ソフィはイレーヌの愛人ジャック(サミュエル・ラバルト)に恋心を抱く。コンサートは大成功だったが、観客の賞賛はイレーヌだけに集まり、ソフィはイレーヌを愛しながらも、同時に憎しみを覚えるようになる。イレーヌが戦時下でもコンサートが開けるのは、夫シャルル(リシャール・ボーランジェ)がヴィシー政府の高官やドイツ軍将校と交流があるためだった。そのためイレーヌは親独政府の招きでヴィシーへ旅立つ。一方、シャルルは密かに親独政府に憎悪を抱き、アルジェリアへの逃亡を企てていた。しかしイレーヌはロンドン行きを主張し、妻を愛するシャルルは危険を承知でロンドンに向かった。ソフィは夫妻と同行し、スペイン国境からピレネー山脈を越え、ポルトガルの漁港へ。密航の途中、ソフィはフランス人青年ブノワに出会い、彼の誠実な人柄に心を動かされていった。ようやくイギリス行きの船は出帆し、三人はロンドンに到着。活動を再開したイレーヌはBBCラジオに出演、大評判を得る。だが、その陰に隠れたままのソフィは、自分自身に対するいらだちを募らせていった。そんな折、ソフィはイレーヌと愛人ジャックとの逢引の現場を見てしまう。妻の不貞を疑い、苦悩するシャルルと、イレーヌとの間で板ばさみになるソフィ。やがてシャルルは自殺。戦争も終結し、イレーヌはジャックとともにアメリカへ。ソフィ一人、フランスへと帰って行くのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1993年8月上旬号

外国映画紹介:伴奏者

1993年7月上旬号 夏の特別号

KINEJUN CRITIQUE:伴奏者

1993年6月下旬号

グラビア《New Release》(新作映画紹介):伴奏者

2023/10/03

2023/10/03

80点

購入/DVD 
字幕


昼間、ピアノに関する映画を見た流れでもう一度これを見た。1942年ナチス占領下のパリ。配給制の食料もなく死亡率が69%に達していた・・・。そんな中ナチの将校相手にコンサートを開くオペラ歌手の伴奏者として雇われた娘。裏方に徹して彼女を支えることを誓うが・・・。嫉妬と恋、不安定に揺れ動く心を巧みにとらえた映画。戦争が彼女に与えた試練と好機・・・フランス映画らしいエンディングが心に残る。

2023/03/19

2023/04/04

76点

映画館/茨城県/あまや座 
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シャルロットがソフィーになる

ネタバレ

ドイツ占領下のパリ、ソプラノ歌手に憧れるピアノ伴奏者の女性の物語。
クロード・ミレール監督作品。
生誕80周年記念、クロード・ミレール映画際で4作品が公開。その1本。

ほぼ少女といってよい二十歳の主人公ソフィーの眼を通して、ドイツ軍占領下のパリの姿と、彼女がピアノ伴奏者として仕えるソプラノ歌手イレーヌの恋を描いてゆく。

前日に鑑賞した「なまいきシャルロット」のシャルロットがソフィーと名乗って、家を飛び出して憧れのイレーヌと過ごしてゆく。これが正しい見方なのかもしれない。

そして、ここではソフィーは憧れの強さのあまり、自身を傍観者にする。恋をすることもあるのだが、彼女はあくまでイレーヌと共に生きることを選ぶ。それは、ほぼイレーヌに恋をしているといってもよい。

さて、ここでのイレーヌの夫の描き方がとても興味深い。
やり手の実業家として、ドイツ軍占領下のパリで、ドイツ軍やビシー政府(フランスの傀儡政権)とうまくつきあっている。ソフィーにとっては冷徹な支配者。それが、英国への亡命の行程で、ソフィーの父親のような雰囲気を醸し出し始める。

それがソフィーの視点である。そして、それがこの男の心情の変化も示す。イレーヌの不倫を知って、どうするのか。
男の変化、拳銃、ソフィーの心情。この三つの絡み合いが、クライマックスに錯綜する。

ソフィーがイレーヌの恋の行く末を見守り続けた結果、彼女はイレーヌから離れて家に戻る。結末はほろ苦い。

結局、あのシャルロットは家出をしなくて、良かったのだ。と本作は語っているのだけれど、これは無駄な経験ではない。まだまだ、やり直しはきくのだから。

2023/01/05

2023/01/08

68点

映画館/宮城県/フォーラム仙台 
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陽の当たらない存在

 1992年のフランス映画。「生誕80周年記念 クロード・ミレール映画祭」で上映。ニーナ・ベルベローワの小説の映画化作品。ドイツ占領下のパリで、オペラ歌手イレーヌの伴奏者となった20歳のソフィ。イレーヌは夫シャルルが政府高官やドイツ軍将校と交流があるため戦時下でもコンサートを開けていたがシャルルは商売のためと割り切っていたしイレーヌも親ナチではなかった。シャルルはアルジェリアへの逃亡を企てていたがイレーヌのたっての頼みでスペインからポルトガルを経てロンドンへ。活動を再開したイレーヌは評判を得るが伴奏者として喝采を得ることのないソフィは複雑な心境だった。そしてイレーヌの浮気に苦悩するシャルルは自殺、イレーヌは浮気相手と渡米し、ソフィは一人フランスへ帰っていくのだった。
 決して日の当たることのない伴奏者というポジション。それに甘んずるもよし、独立するもよしなのだが、歌手の魅力が勝ることで伴奏者に徹するソフィの揺らぐ気持ちがよくわかる映画でした。あのままフランスにいれば新ナチとして糾弾される可能性もあったし、歌一筋のイレーヌにとってみれば歌を評価してくれる場所ならどこでもよかったのでしょう。そんなソフィーやシャルルに翻弄される形になるソフィだけど、彼女は何を求めていたんだろう。イギリス入国の際の状況は少々はらはらしましたが全体的にはソフィの心象風景のような映画でした。

2022/04/27

2022/04/30

75点

レンタル/神奈川県/ゲオ/ゲオ大和中央店 
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チェーホフの銃、なるほどそういうものだ。

ネタバレ

あまり有名な作品でなかったが、オープニングから絵面の良さに感心した。これは掘り出し物、という
予感にとらわれた。
1942年のナチスドイツ支配下のパリ、民衆は遅れがちの食糧配給に悩まされている。
一方、親ナチスの実業家シャルルが開催したパーティは大盛況。彼の妻のオペラ歌手のイレーヌ
(エレナ・ソフォーノワ)の美しい歌声が響く。そこにパーティに20歳のピアニストのソフィ(ロマーヌ・
ボーランジェ)が飲食目当てに参加していた。イレーヌは素朴なソフィアを気に入り、ピアノ伴奏者として
雇った。シャルルとイレーヌ夫妻の小間使いの仕事もこなす。
長身金髪のイレーヌの歌声、素朴なソフィのピアノ伴奏、周囲の成金ムード、この絵面がいいのだ。
つまり歴史を知っている観客には、これから起きるであろう悲劇に身を引き締めることになる。

ヴィシー政権やナチスドイツとの商売で莫大な利益を上げたシャルルは、金満家の生活。イレーヌも
贅沢にひたるが、歌が命。そんなイレーヌに熱い視線をそそぐ男ジャックがいた。メロドラマの真骨頂の
三角関係の予兆だ。
シャルルはヴィシーでイレーヌのコンサートを企画した。ソフィも同行するが列車内で若い男に言い
寄られる。ソフィにも成長のステップが用意される。大好評のヴィシーから帰ると、パリの豪邸はメチャ
クチャに荒らされていた。シャルルは身の危険を感じ、アルジェリアへの逃亡を考える。しかしイレーヌ
はオペラのあるロンドンへの逃避を提案した。スペイン、ポルトガルの中立国からロンドンへの決死の
逃亡が敢行される。ソフィは何の縁か生死を賭けた亡命に同行する。

ソフィの船中でのロマンスを含め、三人はイギリスに入国する。一時はヴィシー側として逮捕されるが、
イレーヌのコネが聴いて、無事ロンドンへ。
ロンドン編はジャックとイレーヌとの不倫関係が始まり、ドロドロのメロドラマとなる。通俗的なのだが、
大戦下のメロドラマは不思議と力がある。ブラピとマリオン・コティヤールの「マリアンヌ」も良かったが、
本作もなかなかの出来。
ソフィが発見したシャルルの机の引き出しの拳銃は、終盤に悲劇の発射音を聞かす。チェーホフの言う
通りの展開、もう一つ勉強しました。

2019/06/06

2019/06/06

85点

購入/DVD 
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必要な存在でありながら決して脚光を浴びることのない存在・・・伴奏者。ナチス占領下のパリ。食糧の配給制で餓死者が増えている頃。何不自由なく毎晩のように贅沢な会食をしている女性歌手・・・。夫は相手を選ばない商売で利益を上げている男。そんな夫婦に伴奏者として雇われた少女。自分なりに自立しようと家を出て夫妻のもとへ・・・。「黒い瞳」ではかなげなロシアの女を演じたエレナ・サフォノヴァがここでは夫に隠れて愛をに燃える女を演じている。そして何より少女の繊細な心の内を言葉少なに、しかし確実に演じきったロマーヌ・ボーランジェが見事。

1993/09/25

2013/07/02

80点

映画館/大阪府 
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佳作

1993年9月25日に鑑賞。大阪・三越劇場にて。前売1300円。

ロマーヌ・ボーランジェ、美しいです。