さらば、わが愛 覇王別姫

さらばわがあいはおうべっき|覇王別姫|Farewell to My Concubine

さらば、わが愛 覇王別姫

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レビューの数

81

平均評点

82.5(514人)

観たひと

788

観たいひと

58

(C)1993 Tomson(Hong Kong)Films Co.,Ltd.

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇 / ドラマ
製作国 香港
製作年 1993
公開年月日 1994/2/11
上映時間 172分
製作会社 トムソン・フィルム
配給 KADOKAWA(ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画)
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビー

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演レスリー・チャン 程蝶衣
チャン・フォンイー 段小樓
コン・リー 菊仙
フェイ・カン 老師爺
チー・イートン 青木三郎
マー・ミンウェイ 小豆子(幼年)
イン・チー 小豆子(少年)
フェイ・ヤン 小石頭(幼年)
チャオ・ハイロン 小石頭(少年)

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

京劇の古典『覇王別姫』を演じる2人の役者の愛憎を、50年に及ぶ中国の激動の時代を背景に描いた一編。香港の女流作家・脚本家、李碧華の小説(81年のTVドラマ用脚本を改稿したもの)を、「人生は琴の弦のように」の陳凱歌が映画化。脚本は原作者と葦。製作は「侠女」ほか胡金銓(キン・フー)作品への出演で知られる徐楓と湯君年、撮影は「子供たちの王様」以来、監督とは3作目の顧長衛。音楽は「秋菊の物語」の趙季平。主演は「欲望の翼」の張國榮、「秋菊の物語」の鞏俐、張豊毅。2023年7月28日より4Kバージョンが劇場公開される。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1925年、北京。娼婦の母親に連れられ、孤児や貧民の子供たちが集まる京劇の養成所に入った9歳の少年・小豆子。新入りの小豆子は他の子供たちからいじめられたが、彼を弟のようにかばったのは小石頭だけだった。2人は成長し、女性的な小豆子は女役に、男性的な小石頭は男役に決められる。小豆子は「女になれ」と老師爺(黄斐)に躾られ、数え切れないほど殴られた。彼らは演技に磨きをかけ、小石頭は段小(張豊毅)、小豆子は程蝶衣(張國栄)と芸名を改め、京劇『覇王別姫』のコンビとして人気を博す。段小はある日、しつこい客に絡まれていた娼婦の菊仙(鞏俐)を助けたことをきっかけに、彼女と結婚する。少年時代より小にほのかな恋情を覚えていた蝶衣は2度と共演はしないと捨てゼリフを吐いて去る。その日北京は日本軍に占領された。ある日小は楽屋で騒動を起こし連行されてしまう。菊仙は日本側に取り入ってもらえるのだったら小と別れてもいいと蝶衣に告げるが、彼の協力で釈放された小は日本のイヌと彼を罵り菊仙を連れて去る。深く傷ついた蝶衣はアヘンに溺れる。そんなことがありながらも2人は和解へと進む。その後老師爺はこの世を去り、日本軍の敗退で抗日戦争は終わる。49年、共産党政権樹立。蝶衣と小は再び舞台に立つが、京劇は新しい革命思想に沿うよう変革を求められていた。変革に懐疑的な蝶衣は小四に批判され、そればかりか彼に『覇王別姫』の虞姫役を奪われてしまう。ショックを受けた蝶衣は芝居をやめてしまう。66年、文化大革命。共産党の厳しい政治的圧力を受け、小は蝶衣の過去の罪を摘発せよと強制される。小はそれに屈するが、同時に彼も激しく批判され、娼婦だった菊仙など愛していないと言ってしまう。彼の言葉を聞いた菊仙は自殺してしまう。77年、蝶衣と小は無人の体育館におもむき、11年ぶりに2人だけで最後の『覇王別姫』を演じる。舞い終わった時、蝶衣は自らの命を断った。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2025年12月号

巻頭特集 映画/エロスについて考えてみた:PART2 映画=エロスの表現 エロス×映画×6本 「さらば、わが愛/覇王別姫」

2023年8月号

COMING Old Pictures:「さらば、わが愛/覇王別姫 4K」

2019年9月下旬特別号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第5弾 1990年代外国映画ベスト・テン:ベスト15 解説

1994年3月下旬号

外国映画紹介:さらば わが愛 覇王別姫

1994年2月上旬号

巻頭特集 中華電影世界進出計画 越境する中国語圏映画:「さらば わが愛/覇王別姫」世界が見る中国語圏映画

1993年5月下旬号

巻頭特集 アジア 映画王国の現在形:陳凱歌「覇王別姫」

2025/08/13

2025/08/15

96点

映画館/千葉県/キネマ旬報シアター(旧TKPシアター柏) 
字幕


美しい映画はいつまでも輝いてくれる

本当に観て良かった。マイベストムービーに入る大傑作だ!と、堂々と言えます。
きっかけは「国宝」のレビューで多くの方々がこの作品と比較して論じられていたからである。これは、何としても観なければと思っていたらキネ旬シアターで上映してくれると言うので勇んで行ってきた。3時間の長さは一切感じることなくスクリーンに釘付けとなった。
一言で表現するとしたら、正に予告編の「壮大なスケールと映像美で描く一大叙情詩」がぴったりはまる。中国伝統の「京劇」の世界で過酷な修行期から北京のスターに駆け上がる様を激動の歴史を背景に描きながら、程蝶衣、段小樓、菊仙3人の切ない愛憎劇が儚くも美しく紡がれる。
奇しくも今年は戦後80年。日本の戦時下も大変な時代であったが、この映画で描かれた時代の中国は抗日戦争、日本支配、国民党の台頭、共産党の支配、文化大革命と、戦争や内乱が繰り返された。とりわけ映画の終盤、文化大革命の際、北京の青少年によって組織された紅衛兵により「京劇」もターゲットになり程蝶衣も段小樓も衆人の中で激しい恫喝に晒され虚実と本音が入り混ざった懺悔をさせられる様はあまりにも悲しかった。菊仙の運命も辛すぎる。文化大革命では各地で文化財破壊や大量の殺戮が行われその犠牲者の数は数百万人とも言われている。
ラストシーンで程蝶衣、段小樓は幼い小豆子と小石頭の頃に一瞬気持ちが戻ったことであろう。そして、あまりにも美しいレスリー・チャンはもうこの世にいない。だが、美しい映画はいつまでも輝いてくれる、。

2025/07/20

2025/07/23

90点

映画館/東京都/Bunkamura ル・シネマ 
字幕


壮絶な愛と憎しみ

1993年製作、チェン・カイコー監督。4Kで観てきました。

やはり何度観てもすごい。波瀾万丈どころの騒ぎではない。やはり、時代背景がとても影響しているところが切なくてキツい。太平洋戦争・文化大革命の頃のお話。東劇のための子供たちの訓練は、今だと考えられないくらいの虐待事案。けれどもそれがあったらからこその出来上がりでもあるわけで切っても切れない関係なんだろうなぁと思うものの。

そんな中での三角関係。レスリー・チャンとチャン・フォンイー、そしてコーン・リーの演技は圧巻でした。化粧っ気のないコーン・リーのアップはあどけなささえあった。裏切られて裏切っての繰り返し、最後の方は民衆からの怒涛の吊し上げなので誰だって耐え切れなくなると思う。とはいえ、それからの悲劇(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

「国宝」と比べるわけではないけれど、こちらは時代と時代背景がどどーんとのしかかってくるので本当に壮絶だ。長い作品だが、息を呑んで観ていることも多く、長く感じなかったけれどとても疲れ果ててしまった。やはり凄かった。

2025/07/12

2025/07/15

-点

映画館/東京都/Bunkamura ル・シネマ 


な長い

国宝見た友人が勧めてくれたのでリバイバル上映でしたが
そこそこ人が入ってた。3時間の長丁場なので幼少期の人物形成から入ってるで、なかなか見応えがあるものの、京劇の題材になってる物語が分からないのでイマイチ。小さい時から姫として舞台に立たされて、石頭に見守ってもらったら、そりや永遠に近くにいたくなるわよね。同じ京劇でも見る側で印象変わるの時代に翻弄されてるよねぇ。

2025/07/05

2025/07/06

90点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/テレビ 


文化大革命が破壊したものの大きさに慄く

『さらば、わが愛/覇王別姫』
霸王別姬
Farewell My Concubine(さよなら私の愛妾)
中国・香港・台湾
1993

「人と生まれた者は芝居を楽しむ。豚や犬が芝居を見るか?京劇を観にこない奴らは人間ではない。けだものだ。京劇のある所には役者の出番がある」

「人前に出るには人に隠れて修行を積む事だ」

「我が力は山を抜き、気は世を蓋う
我に時の利なく、馬行かず
馬行かざるを、いかにすべき
虞姫をいかにすべきや」

「『覇王別記』はどうやら姫が王を捨てる筋書きに変わったようだ」

「我々満州貴族の天下は300年。民国政府はあっという間にひっくり返った。今や共産党の時代。しかし祝典にはあなたの芝居が必要なのは同じ事。変わるのは紙幣だけ」

『国宝』の李相日監督が若い頃観て強い印象を抱いていつかはこんな映画を撮りたいと思った作品らしいので数十年ぶりに再見しました。

1930年頃から1987年頃までの中国を背景にした歴史に翻弄される京劇俳優達の愛と人生模様を描いた長編映画。『国宝』は1960年から1990年頃までの30年間だが世相や歴史の影響は映画には盛り込まれていない。

『覇王別姫』が描いているのは
・国民党と軍閥が乱立していた時代
・日中戦争時代
・国民党政府時代
・共産党の時代
・文化大革命とその後まで
近現代中国の大変革期を描いている。

京劇俳優たちは同じ演目を同じ様に演ずるが観客側が入れ替わっていく。日本軍ですら大人しく観劇していたのに国民党の兵士は俳優に懐中電灯の光を浴びせて舞台に物を投げる。だが一番最低なのは文化大革命で俳優達を地面に座らせて自己批判と仲間への批判をさせる紅衛兵達。

主人公・”小豆子”こと程蝶衣〈チェン・ディエイー〉(演:レスリー・チャン)は娼婦の子供。大きくなって娼館に居られなくなり母親は京劇一座に引き取ってくれるよう頼むが指が六本ある多指症のため断られる。すると母親は六本目の指を斧で切断して一座に預ける。

「女郎の子供」と一座の子供達に虐められた時に守ってくれたのは”石頭”こと段小楼〈ドァン・シャオロウ〉(チャン・フォンイー)。次第に小豆は石頭を愛するようになる。

一座の厳しい修行の描写が凄まじい。そして脱走して束の間の喜びを得た後の姿に涙が、、

蝶衣と小楼は成長して人気俳優となり『覇王別記』で虞姫と項羽を演じるようになる。蝶衣の思いを知らない小楼は娼婦・菊仙〈ジューシェン〉(コン・リー)と結婚する。

蝶衣と小楼と菊仙の三角関係と中国近現代の動乱が描かれていく。

『国宝』ほど耽美的ではないけれど覇王別記の舞台は美しい。衣装とメイクの華々しい情報量の多さに圧倒される。

蝶衣は女形(おんながた)、小楼は立ち役だけど、実生活では小楼はやすやすと権威に頭を下げるのに対して蝶衣の方が自分を曲げない剛毅さを持っている。

菊仙役のコン・リーさんの最後の表情には心を奪われた。全てを失った絶望の顔。

文化大革命が破壊したものの大きさにため息をつく。文化大革命は人と人の間の信頼や愛情を破壊した。自分が生き残るために家族同然の人間を売るように仕向ける。人間から尊厳を奪って社会が存在していく基盤を破壊してしまったんだと分かる。

2024/12/20

2024/12/20

80点

購入/ブルーレイ 


壮大な愛の映画

ネタバレ

1925年から50年に及ぶ京劇役者のレスリー・チャンとチャン・フォンイー、その妻コン・リーの葛藤と裏切りの物語。極彩色の衣装。画面のカラーも美しい壮大な愛の映画。コン・リーが可愛い。

2024/05/12

2024/05/14

80点

VOD/U-NEXT 
字幕


「夢のような永遠の一瞬をあなたと歩んだー」

三十年ぶりくらいに観賞。
当時付き合ってた彼女の家で観た。
軽い気持ちで見始めたら三時間ヘビーな内容を見せられた。
その記憶は三十年経っても変わらず。
心と時間に余裕のある日曜昼に妻と観賞。
さほど興味のなかった妻がのめり込む。
重厚な愛と嫉妬の物語を堪能。
また三十年後くらいに観たい。