冬の旅

ふゆのたび|Sans toit ni loi|----

冬の旅

レビューの数

21

平均評点

74.7(98人)

観たひと

153

観たいひと

19

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 フランス
製作年 1985
公開年月日 1991/11/2
上映時間 106分
製作会社 シネ・タマリス=フィルムA2
配給 フランス映画社
レイティング
カラー カラー/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

南仏の路傍にさすらいの末に倒れて死んだ18歳の少女の孤独な道行が目撃者の証言を通じて描かれる「アニエス・Vによるジェーン・b」のアニエス・ヴァルダの監督・脚本作。撮影に「女の復讐」のパトリック・ブロシェ、音楽はジョアンナ・ブルドヴィッチがあたった。出演はサンドリーヌ・ボネール、マーシャ・メリルほか。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

冬枯れの南仏の野原。行き倒れの一人の少女。その身許を語るものは何もなかった。ただ彼女がその孤独な旅の途中で出会った人々の記憶の中を除いては……。彼女の名はモナ(サンドリーヌ・ボネール)、18歳。寝袋とテントを担いでヒッチハイクをしながらのあてどのない旅。時折、知り合った若者と宿を共にしたり、農場にしばらく棲みついたりすることはあったものの、所詮行きずりの人々にモナがその内面を垣間見せることは滅多になく、またいずこともなく消えてゆくのが習いだった。ある時、プラタナスの病気を研究している女性教授ランディエ(マーシャ・メリル)がモナのことを拾う。ぽつりぽつりと自らのことを語るモナ。ランディエも彼女に憐れみを覚えるが、結局どうすることもできず、食料を与えて置き去りにする。モナは森の中で浮浪者に犯された。またしても放浪の旅を続けるモナはついにはテムの街で浮浪者のロベールたちと知り合い、すっかりすさんだ様子になってしまった。そしてそこへ、前にモナと空き家の別荘で暮らしていたユダヤ人青年ダヴィッド(パトリック・レプシンスキ)がやってきて、マリファナの取引きのことでロベールといさかいになってモナの住んでいたアジトは火に包まれてしまう。すっかり薄汚れて再び路上に戻ったモナはパンを求めて近くの村に赴くが、今しもそこはブドウ酒の澱かけ祭のさなか。何も知らないモナは彼女に澱をかけようとする屈強の男たちに追われ、恐怖に顔をひきつらせ、そのまま力尽きて路傍に倒れ込む。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1992年3月上旬号

外国映画紹介:冬の旅

1991年11月下旬号

グラビア《Coming Attractions》(新作紹介):冬の旅

1991年11月上旬号

KINEJUN CRITIQUE:冬の旅

2026/01/23

72点

VOD/Hulu 
字幕


屋根もなく、法もない

ネタバレ

冬の南フランスの片田舎で若い娘の凍死体が発見される。
警察は事故死として処理する。
誰からも死を悼まれないモナという浮浪者の娘。
映画はそのモナが死ぬまでの数週間を描く。

薄汚れた格好をしているが天性の愛らしさからか、どこでもモナは男たちにチヤホヤされる。
彼女がヒッチハイクをすれば、必ず誰かが乗せてくれる。
彼女が腹を空かせれば誰かがサンドイッチをご馳走してくれる。
寝床も用意してくれるし、仕事も紹介してくれる。
ただし、彼らのほとんどは彼女に対して下心を持っている。
だからか彼女はどれだけ親切にされてもお礼の言葉を口にしない。
愛らしい笑顔を向けることはあるが、決して感謝の気持ちを言葉で伝えることはしない。
相手の好意が意にそぐわなければ平気で悪態をつく。
それは彼女の処世術でもあるようだ。
なぜ彼女が孤独な浮浪者になったのか、その背景は語られない。
「楽をして生きたいの」
彼女は何度もそう口にする。

この自由奔放なモナに共感する部分はほとんどない。
それでも最終的に彼女が野垂れ死ぬことを思うと悲しくなる。
これは社会から孤立した者なら誰でも辿る可能性のある物語だからだ。
彼女は社会から目を背け自由に生きることを選んだ。
だからといって彼女の死が自業自得だと冷たく突き放したくはない。

この物語の中で男たちは大抵モナのことを悪く言う。
それは自分たちの意のままにならなかったからだろう。
しかし女たちの意見は違う。
あらゆる束縛から逃れて自由に生きる彼女に憧れを抱く者さえいる。
モナに救いの手を差し伸べる者もいる。
だが結局モナはその手を振り払ってしまう。

モナは無防備だが人の懐に入り込むのは上手なのだと思った。
だからもっと器用であれば別の幸せな生き方を選べただろう。
たとえ自由でも人は孤独の中では幸せを得られない。
彼女が最期の瞬間に何を思ったのか。
あまりにも呆気なさ過ぎる最期に、彼女自身も何の覚悟も出来ていなかったのかもしれない。
悲劇的な内容ではあるが、どこか達観したカメラワークが印象的で、そこまで暗い余韻を残す映画ではなかった。

2025/01/02

2025/01/02

66点

その他/Amazon 
字幕


謎のレポーター

本人の「大学を出て秘書をしていたが辞めた」と言う以外、背景が謎の主人公。親切な人にも会うが、自分のスタイルを変えない。退廃的?な放浪の末、凍死したのは偶然か。
資産家の老婦人 (唯一の訪問者、甥が遺産目当てである事を知っている) と意気投合して打ち解けるシーンが良かった。
主人公の死後、最期の数日を知る人に聴き取りをする〈地の声〉は、誰なのだろう。

2024/08/17

2024/08/17

65点

テレビ/有料放送/スターチャンネル 
字幕


こういうのは自由って言うんでしょうか

冒頭が死体発見シーンなので、観客は結論を予め知った上で本編に付き合うことになります。

物語は彼女が行旅中に出会った多くのひとの証言で構成されており、そんなにびっくりするようなことは起きません。
若い女性のヒッチハイカーに起きそうなことが起きて、食事や金銭、起居する場所、盗難、寒さなど、苦労しそうなところで苦労します。

自由で羨ましい、という描かれ方はしていないし、ヴァルダはどういうメッセージを込めたかったのだろう??

自由に生きるにはもっと飛距離のある行動が必要だったように思いました。普通な行動をするから普通な結果になってしまうわけで。寂しいけど。

エンドロールにLes Rita Mitsoukoの名前があって懐かしかったです。

2024/05/16

2024/05/16

80点

VOD/U-NEXT/レンタル/タブレット 
字幕


自ら選んだ自由な旅とは言え、その代償は余りに傷ましい

社会に馴染むことを拒み、リュック一つで当てのない旅をするモナ。金も無く、時にはちょっとした仕事で食べるぐらいの小銭を得る、その日暮らし。アニエス・ヴァルダ監督がモナに与えた束の間の運命。過酷なだけに残酷だが、モナの姿を通じて当時の女性の姿を象徴したのかもしれない。

2024/05/06

50点

選択しない 


「あっしには関わりのねえことで」と楊枝を咥えて立ち去る

 原題"Sans toit ni loi"で、屋根も法もなくの意。
 モナというヒッピーの娘の死体が発見されるところから物語は始まる。彼女が村に現れたのは数週間前で、彼女と関わった人々の証言から、彼女が村祭りで酔っぱらって凍死するまでの行動を綴るという形式。
 モナ(サンドリーヌ・ボネール)は18歳。ヒッチハイクをし、簡易テントで野宿し放浪するという屋根も法もない自由人。
 彼女の信条は楽して生きることで、時に気儘なアルバイトで食費を稼ぎ、時に施しを受けて放浪を続ける。そんな彼女を自由だと思う娘もいれば、元学生運動活動家の農夫は自由とは孤独に生きることだと諭す。
 そんな忠告も馬の耳に念仏で、不良グループに加わり、生活も心も荒んで力尽きる。
 1980年代にはヒッピー文化も廃れていて、モナの楽して生きるという信条はそれとも違うが、浮浪者ともホームレスとも放浪者、風来坊、フーテンとも言い難く、単に放埓なだけの怠け者でしかない。
 彼女が自由を求めていたというのも穿った見方で、自由とは何かという問いがこの作品にあるようにも思えない。
 ただ孤独であったことは確かで、彼女が自由な生き方を求めていたとすれば、それは空想ないしは幻想でしかなく、人生、世の中はそんなに甘くはないとお説教するだけの作品に終わっていて、「あっしには関わりのねえことで」と真に自由人の木枯し紋次郎なら楊枝を咥えて立ち去る。

2023/03/16

2023/03/18

30点

映画館/東京都/目黒シネマ 


主人公に魅力が感じられない

人気のない冬の避暑地で発見された10代の女。
旅していたときの映像や彼女への証言を基に、カメラは死ぬまでの女の軌跡を探っていく。虚構とドキュメンタリーが混じり合うような作り。
主人公の女は監督の自画像なのだろうか。申し訳ないがまったく魅力が感じられない。自由を求めるのはいいが、可愛げなく、ピッピーのような人たちとつるむようになり、孤独のまま死んでゆく。悲哀も同情もなにも湧き上がらなかった。