こんな映画に出会えて幸せです。
フランスの名優ジャン・ギャバンが、ギャンブル大好きな男爵(ただし文無し(笑)でもモテモテ)をユーモアたっぷりに演じます。原作は意外や意外のジョルジュ・シムノン。こんな軽快なコメディ作品もあるのですね。
カメラは『ヘッドライト』『地下鉄のメロディ』のルイ・パージュ!ジャン・プロドロミデス(「素晴らしい風船旅行」など)の華のある甘美な音楽も素敵です。
オープニングは老婦人のお供で遊覧飛行するジャン・ギャバン。フランスのリゾート地の空撮をバックにクレジットを流し、華やかな音楽に乗って賑々しく映画が始まります!
アントワーヌ男爵(ジャン・ギャバン)は、上流社会で有名なプレイ・ボーイのギャンブル好きだが、ふところはいつも寒くばくちの稼ぎが唯一の収入財だった。今年も社交場でギャンブル三昧するけれどツキが回ってこない。そんなある日、10年前に喧嘩別れをした元恋人ペルル(ミシュリーヌ・プレール)に再会する。彼女は現在アラビアのサドカン王子の愛人になっており、男爵は面白くないが一文無しではどうしようもなかった。
それがある時、一晩のポーカー勝負で1100フランの大勝を果たし、相手のヴィラマイヨール侯爵から現金の代わりにヨットをもらい受け、不足分200フランはあとで為替で送金すると約束する。
さっそく男爵はペルルを誘って、ヨットで北フランスの運河の旅に出発する。最高の船旅になるはずだったが、ヴィラマイヨール侯爵から送ってくるはずの為替が来ない。食べ物もなくお腹がペコペコで困り果て、北フランスの片田舎に船を停泊させて立往生してしまった…。
この片田舎の村でいろいろなことが起こるのですが…、そこは「お楽しみはこれからだ!」ということで!(笑)
一文無しでも悠々自適、ギャンブルでお金が手に入ればチップを配りまくってすぐにふところが寂しくなるけれど、ある金は全部振る舞う、「私はそういう男だ!」。人生を楽しむ男爵の磊落で何ともユーモラスな作品です。
そうそう、男爵の元おかかえ楽団(一文無しになって手放した)の演奏する「男爵(バロン)のテーマ」に合わせて、ジャン・ギャバンが歌うシーンもあります!
ぜひご覧ください。