超音ジェット機

ちょうおんじぇっとき|Breaking The Sound Barrier|----

超音ジェット機

amazon
レビューの数

14

平均評点

67.3(27人)

観たひと

46

観たいひと

9

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 イギリス
製作年 1952
公開年月日 1953/1/4
上映時間 110分
製作会社 ロンドン・フィルム
配給
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「逢びき」「陽気な幽霊」などのデイヴィッド・リーンが製作ならびに監督に当った航空映画一九五二年作品で、超音速ジェット機出現までの苦しい経緯を描いたもの。ストーリーと脚色は劇作家のテレンス・ラティガン(「ブラウニング・ヴァーション」)、撮影はジャック・ヒルドヤード(「ホテル・サハラ」)、作曲はマルコム・アーノルドの担当。主演は「四枚の羽根」のラルフ・リチャードソン、「情熱の友」のアン・トッドで、ナイジェル・パトリック(「パンドラ」)、ジョン・ジャスティン(「バグダッドの盗賊(1940)」)、ダイナ・シェリダン(「禿鷹は飛ばず」)、ジョゼフ・トメルティ(「邪魔者は殺せ」)、デンホルム・エリオットらが助演する。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

一九四三年、英国空軍のトニイ・ガースウエイト(N・パトリック)は、婦人部隊のスーザン・リッジフィールド(A・トッド)と結婚した。スーザンの父ジョン・リッジフィールド(R・リチャードスン)は英国航空界の大立物で、最新式の航空機工場を所有し、超音速のジェット機を作り出す野望に燃えていた。スーザンの弟クリストファーは、父のために厭々飛行術を学び、初の単独飛行の失敗で無惨な最後を遂げた。戦争が終るとともに、トニイはスーザンの反対を押し切り、ジョンの希望を容れてテスト・パイロットになった。研究所では新型快速機がプロミシウス号を設計していたが、この機が音より速く飛ぶために、音の障壁を突破するとき、どういうことが起るかは全く謎であった。その頃、トニイとの愛の結晶を宿していたスーザンは、生れて来る子供のためにも、トニイがプロミシウス号の試験飛行を行うことを止めるようにと懇願したが、彼は聞き入れなかった。いよいよ試験飛行の日、トニイの操縦するプロミシウス号は音速に近づくや突如、調子を狂わせ、墜落してしまった。その夜、スーザンは悲しみのうちに男の子を生んだ。ジョンはまだ音速突破の夢を捨てず、トニイの戦友だったフィリップにプロミシウス第二号の試験飛行を命じた。機は遂に音速突破に成功した。スーザンは、冷酷だと思っていた父の気持を、やっと理解することが出来、トニイの遺児を将来立派な後継ぎにする決心をした。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1953年2月上旬ベスト・テン決定発表特別号

外国映画批評:超音ジェット機

1952年12月上旬号

試冩室より:超音ジェット機

外國映画紹介:超音ジェット機

1952年11月下旬号

シナリオ:超音ジェット機

1952年11月上旬号

グラフィック:超音ジェット機

2024/03/28

2024/03/28

80点

購入/DVD 


デイヴィッド・リーンの「ライトスタッフ」

1984年の「ライトスタッフ」の素晴らしいところは、米ソの宇宙開発競争にチャック・イェーガーを絡めたことである。
1947年に音速の壁を破ったイェーガーのその後の鬱屈?した気持ちと、宇宙へと飛び立つ飛行士たちの高揚した気持ちをうまく平行して描いて、只のイケイケドンドンの映画にしなかった。

イギリスにおける超音ジェット機の歴史はよく分からない。
というか、この映画は創作ストーリーである。
パイロットで在り続ける為には、音速の壁に挑戦し続けるしかない男たち。
女たちは夫の帰りを待つしかない。
パイロットの気持ちは、オッペンハイマーをはじめとする科学を追求するものにとっては、核分裂のエネルギーの解放を見てみたいというのに似ている。
人間の未知への挑戦の欲求=性(さが)か。

ラルフ・リチャードソンの親父の人間像が面白い。
娘のアン・トッドとの確執が、ドラマの一本の筋になっている。
アン・トッドの堅い魅力がなかなか。
それにしても後半の展開は、予想外で驚いた。
ハリウッド映画とイギリス映画の違いか。

中盤、身重の妻をジェット機に同乗させ、ロンドンからカイロへ《ひとっ飛び》するナイジェル・パトリックが傑作。
遙か上空から撮られた凱旋門とパリの街並みなど、さすがデイヴィッド・リーンのリアリズム。

インディジョーンズ失われた聖櫃・インディジョーンズ最後の聖戦 で覚えた顔のデンホルム・エリオットが若い顔で出ている。

鑑賞は、2001年の今や懐かしいとさえ言えるパイオニア発売のDVD。
キズはあるのだが、リマスターかと思ってしまう高画質。
Amazonプライムでジュネス企画のものも、今日現在見れて、ちょっと覗いたが、いつものポヤポヤ画質と動きであった。
私の70インチのモニターとの相性もあるのか。

2022/07/24

2022/07/24

77点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
字幕


音の壁

「ジェット機」と入っていると見る気がしなくなる
しかしカット毎の絵が美しい さすがデビッドリーン
話は今一つだが、この頃は新しかったのかもしれない
アントッドは当時デビッドリーンの妻
昭和28年キネ旬10位

2022/06/17

2022/06/18

-点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
字幕

『トップガン マーヴェリック』のあまりの素晴らしさで感動した勢いで、いまから70年前のジェット機を見てみたくなったが、同じジェット機の映画でも時代に合わせて視点がまるで異なることにうなる。この映画は、ジェット機の映画ではなく、家族の映画だっただのだ。

特は1950年代。
第二次世界大戦で世界が大きく分断され、覇権がアメリカに移る過程で描かれたイギリス空軍の話しだ。中心となる人物が移り変わるので、視点が次々に変化する。最初に印象的なシーンから始まる。大きな入道雲を捉えたカメラがパンすると、ドイツ軍の墜落した飛行機が映される。アイルランドあたりだろうか。美しい風景でしばしくつろぐ兵士たちが見上げる空にプロペラ飛行機が飛んでいる。これらの美しいシーンはきっと当時の映画館で観客を魅了したことだろう。空への憧れは誰にでもある。鳥になりたいという感情とおもちゃのようなプロペラ飛行機の対比が見事。パイロットのフィルが興奮しながら飛行機を直滑降させるシーンは、ラストで彼がマッハ(音速)を超える瞬間へと繋がってゆく。『トップガン マーベリック』でも描かれたリアルな操縦席の臨場感を、この映画でもまた70年以上も前に再現しているのがすごい。デヴィッド・リーンの力技だ。

ここからパイロット仲間のフィル友人トニーの話題にシフトしてゆく。彼がプロポーズするスーザンの父親は大富豪で、ジェット機を作る会社の社長だ。この強欲な男ジョンと娘のスーザンとの関係が最後まで展開するのだが、戦後間もないこの時期に、さらなる科学の進化を求め夢を貪る父親の存在が娘にのしかかる。何しろこの父親は、自分の息子をパイロットにさせるためプレッシャーをかけて墜落死させ、娘婿のパイロットまでもジェット機に乗せてテスト飛行させた上、墜落させてしまう。彼の欲望のために2人の尊い命が失われることになる。夫がテスト飛行するのを見ていられず、劇場で映画を見ているスーザンに夫の死を伝えに来る友人のフィル。このシーンも素晴らしい。

ジェット機の開発と家族。この2つのジレンマに、彼らの周囲は翻弄されてゆく。結局娘婿トニーの友人フィルにマッハを超える使命が授けられる。彼は過去に操縦中に直滑降して意識を失いかけた経験を踏まえ操縦方法を変えればマッハを超えられると訴え、見事に音速の壁、サウンド・バリアーを突破する。

使命を達成した彼のもとに、そんなことに興味のない妻が子供の洋服のことで相談に来て立ち去ったあと、フィルが笑いながら泣き崩れるシーンは胸を掻きむしるほど感動する。夢のマッハを命がけて達成したのに、家族は喜んでくれない。何のために自分は空を飛ぶのか。何のために科学の進歩に追随するのか。そんな矛盾がこのワンシーンに凝縮されている。

かたやジェット機を製造する会社の社長を父にもつ娘のスーザンは、父親のことを軽蔑している。夫をテスト飛行で失い、お城のような家を出て、友人であるフィルの家族と暮らして、父親と距離を置く。父親は父親でなんとしても自分の夢を実現させるために必死だ。こうした父娘対立が最後に打ち解けあって終わるのは、娘が傲慢な父親が実は孤独だったことを理解したからだ。妻を失って仕事に専念する父親と、夫を失った娘が天体望遠鏡を除く星空の下で和解するシーンは、いかにも感動的だが実は皮肉めいたシーンをラストに残してデヴィッド・リーンはこの映画を終えている。望遠鏡の横には宇宙を目指す飛行機が飾られているのだ。人の命を奪って音速を超えた父親は、次なる野望を宇宙に求めている、という終わらせ方をしているのだ。人間のとどまらない欲望。

この矛盾を映画は粛々とした展開で見る側に敢えて矛盾を示す。自らもパイロットであったこの矛盾だらけの父親は、誰にも覚えのある存在だ。この強欲という科学のおかげで我々人類は様々な利益を享受してきた。70年前に果たして世界がこのように変化することをデヴィッド・リーンが予測していたかどうかはわかりかねるが、少なくとも人間的な矛盾を形に残そうとしたことは間違いない。

デヴィッド・リーンは、戦争を題材とした数々の大作で有名ではあるが、実は恋愛映画を描かせても素晴らしい傑作の数々を残している。中でも『旅情』は歴史に残る恋愛映画だ。この『超音ジェット機』でも、戦争やダイナミックな飛行シーンに目を奪われがちだが、男女の機微を描くシーンもまた素晴らしいのである。

2021/12/08

2021/12/08

85点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/スマホ 
字幕


初見。今のところ(12/8現在)今年見た一番面白い映画。

さすがデイヴィッド・リーン!
人間=家族描写と科学技術の進歩革新を絡めて描く脚本の妙と編集の巧み、音響効果の的確、演技陣特にラルフ・リチャードソンの上手さ。舌を巻く。
以下略。
ただ、ジェット機の墜落シーンは涙。

2021/10/05

2021/11/05

60点

レンタル 
字幕


名匠たる所以

ネタバレ

物語の終盤、度重なる挑戦の果てに音速の壁を突破するサスペンスフルなクライマックスシーンと、父娘の葛藤と和解を同時進行で描出するあたりはさすがはD・リーン。その熟練の語り口に名匠の名匠たる所以を実感する。ただ、名作「ライトスタッフ」を知っている今の眼から観ると、物語も人物造形も撮影も音楽もただただ古めかしさを感じるばかりで、物足りない気がするのも仕方のないところ。あと、配役もイマイチ自分好みでなくの5点減点。

2019/07/01

2019/07/02

60点

購入/DVD 
字幕


音速の壁。

デヴィッド・リーン監督による、超音速ジェット機・挑戦・ムービー。
英国航空機会社の社長ジョンは、超音速ジェット機の開発に執念をもやしていた。
彼の娘婿トニーは、危険なその試験飛行に挑むが・・・。

(この映画は、ジェット機が音速を超えるという記録に挑戦する物語ですが、
裏側からみると、軍事産業の開発競争というのが本元と分かってしまいます。)
(音速の壁とは、音速(1200km/h)に近づくと先端空気が圧縮され衝撃波が発生する。
これには、大きなエネルギーが必要で造波抵抗とよばれるものです。
これを克服する技術が困難であったため音速の壁と呼ばれました。)
(この映画のモデルは、イギリスのマイルス・エアクラフト社のようですが、イギリスでの超音速テストは中止され、データは、アメリカのベルクラフト社に引き継がれたようです。
1947年10月14日、チャック・イエーガーが操縦するNACAのベルX-1がマッハ1.06を記録する。)
(ベルX-1とチャック・イエーガーのエピソードは、映画「ライトスタッフ」に描かれています。)
(本作のような急降下による記録達成は、公認記録にはならないようです。水平飛行が条件のようです。)