デュヴィヴィエの戦後作品では、秀作。才気を感じた。
戦後のデュヴィヴィエは失望作が多かった。軽喜劇の「奥様ご用心」、ミステリーの「自殺への契約書」が気に入ってはいるのだが。
しかし、この戦後4年の1949年のこの作品には引き込まれた。
題名からして、まさか少女鑑別所ものとは思わなんだが。
映画が始まってすぐにガックリきたが、飽きがこなかった。
鑑別所側も少女側も、性格描写・集団描写が細やかに的確に描かれているではないか。
カメラのパンを中心に凝った技法は「おおっ。」と思わせるものがあり、デパルマを連想させた。
シュザンヌ・クルーティエは美人過ぎるが好演(判りにくいがヌードあり)。
セルジュ・レジアニはいつもながら巧い。レジアニを最初に見たのは、たぶん「冒険者たち」だと思う。あの映画の脇役が、かってのフランスの主役をはっていたスターだと知ったのは、かなり後の事である。淀川さんが「何たる粋な配役。」とおっしゃっていた。「肉体の冠」「火の接吻」が忘れられない。
また当時のヨーロッパは冬が洪水が多かったという事らしいが、実際の洪水をこのように映画に取り入れた映画は、ちょっと覚えがない。 迫力が全然違う。
アンゲロプロスの「エレニの旅」を思い出した。
双葉先生は65点で厳しいが、もしかして鑑別所ものを山と見たのではないか。