大人達の青春映画といった感じでしょうか。
男二人に女一人というよくある設定なんですが、三者の愛情・友情はいつも等間隔で
普通、この手の関係はいびつな三角形となってしまって、そこがドラマ性のある所
なんですが、冒険者たちは最後まで、正三角形のままで悲しい結末の割りにはあっさりと
さわやかな気持ちになれます。それは、三人に共通した夢と冒険があったからこそ
なんですが。
マヌー(アラン・ドロン)、ローラン(リノ・バンチュラ)は金のためでもあるけれど、凱旋門を
飛行機でくぐったり夢を追い求める男達。そこへ前衛芸術家の卵レティシア
(ジョアンナ・シムカス)が現れます。
このジョアンナ・シムカス。痩身に美しく澄んだ瞳。青い海と熱く降り注ぐ陽光が実に似合う
瑞々しさ。
アラン・ドロンの時折見せる不良っぽいけど甘い表情とリノ・バンチュラの落ち着いた
抑制のとれた大人の物腰。調和した三人の関係で進んでいく詩的で絵画的なストーリー
展開が心地よく自然と映像の中に引き込まれていきます。
三人それぞれの夢が破れたとき、それが三人共通の夢のスタート。
コンゴ沖に眠る財宝を求めて旅立っていきます。夢は夢としてそれ以上にこの均整の
取れた三角形の生活は、美しい風景と溶け合って幸福感に充ちたものとなります。
そこへ、突然現れる食いはぐれた男。この異質さが三角形に持ち込まれたとき、当然、均衡を
失ったその関係は破滅への道をたどり出します。
流れ弾で命を落とすレティシア。海に遺体を流すシーンはその余りに美しい青い海との
アンサンブルのようで印象的です。
財宝を手にし、レティシアの故郷を訪れるマヌーとローラン。レティシアの親族を見つけ
分け前を渡し、新たなる生活のスタートかと思えたのですが、美しい三角形でみつけた
幸福はその形でしか味わえないものなのですね。
非情な結末が二人に待ち受けています。
フランソワ・ド・ルーペの音楽が映像に膨らみを持たせ、作品に心地よいテンポを与えて
くれます。特に口笛で奏でるテーマ曲はもの悲しくも希望に満ちた未来を引き寄せて
くれそうな気がします。