第2次世界大戦の北アフリカ戦線を舞台にした、砂漠の逃避行もの。面白い!
隊をはぐれた4人のフランス自由軍第一師団の兵士が、銃撃でジープを失い、徒歩で砂漠を縦断して南700キロの駐屯地エル・アラメインを目指す。途中、休憩中のドイツ軍の小隊を襲い、ジープと水と燃料を手に入れるが、隠れていたドイツ軍大尉を捕虜として連れていくことになる。かくして、フランス軍兵士4人とドイツ軍将校1人、計5人の奇妙で危険な地獄の砂漠の旅が始まった。
フランス軍兵士は、隊をまとめる親分肌のテオ伍長(リノ・バンチュラ)、知的なユダヤ人医師サミュエル(シャルル・アズナブール)、攻撃的でキレやすい脱獄囚パオロ(モーリス・ビロー)、中年の普通の男フランソワ。ドイツ軍将校は、フランス語を話し地理に詳しいフォン・シュテーゲル大尉(ハーディ・クリューガー)
互いに反発し、ちょっとした油断から捕虜の立場が入れ替わりながら、奇妙な協力関係と連隊感が芽生えて行く5人。
ドイツ兵になりすましてドイツ軍駐屯地で物資を補給したり、地雷原で立ち往生したり…。命を助け合うことで友情が生まれ、冗談を飛ばして笑い合うひと時も。そんな中、物静かなユダヤ人医師はドイツ軍人への許しがたい思いを吐露する。それを黙って聞くドイツ軍将校。人と人として向き合ったそのとき…。意表をつく結末が痛烈に胸に響く。
冒頭で北アフリカ戦線に出征する前夜の、それぞれのクリスマスの情景が映りますが、そのとき流れる「グロリア」が、ユーモラスな軍隊マーチ風にアレンジされて映画全編に流れ、映画の雰囲気にマッチしたいい味を出している。構図のキマッタ撮影も素晴らしい!
秀逸な脚本は、『地下室のメロディー』『プロフェッショナル』などの脚本家ミシェル・オーディアールが、ルネ・アバル(原作者)とドニス・ド・ラ・パトリエール(監督)の協力で仕上げた。傑作!