スエズ動乱が勃発しようとしていた1956年。ポートランド(エジプト)に住むイギリス人は次々に本国に引き揚げていた。10歳になるサミー少年も、両親の計らいで、南アフリカのダーハンでホテルを経営する叔母のジェーンのもとに預けられることになるが、明日出発という日に、両親は爆撃で亡くなってしまう。1人取り残されたサミーは、たった1個の磁石を持って叔母の住む「南」を目指して旅に出た。
10歳の少年のアフリカ大陸縦断の旅。多くの人々との出会いを機に成長していく少年の姿を、アフリカの雄大な自然を背景に堂々と描いた作品です。中でも、違法にダイヤモンドを掘り警察に追われている採掘師コッキー(エドワード・G・ロビンソン)との出会いはサミーの心に大きなものを残すのでした。
コッキーに守られながら、大人の弱さや見栄、矛盾をも知ることになるサミーが、やっとたどり着いたジェーン叔母さんの家で、「僕が大人になったら…」と語る言葉が感動的です