5時から7時までのクレオ

ごじからしちじまでのくれお|Cleo de 5 a 7|----

5時から7時までのクレオ

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レビューの数

37

平均評点

73.2(177人)

観たひと

273

観たいひと

24

(C) agnes varda et enfants 1994

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 フランス
製作年 1961
公開年月日 1963/5/24
上映時間 90分
製作会社 ローマ・パリ・フィルム
配給 東和
レイティング
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

予告編 ▲ 閉じる▼ もっと見る

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

新進女流監督アニエス・ヴァルダがみずから脚本を書き演出した心理ドラマ。撮影はジャン・ラビエ、音楽は「新・七つの大罪」のミシェル・ルグラン。出演者は新人女優コリンヌ・マルシャン、アントワーヌ・ブルセイユ、ミシェル・ルグラン、特別出演としてジャン・クロード・ブリアリ、サミー・フレー、ジャン・リュック・ゴダールなど。A・T・G第十二回上映作品。黒白・部分カラー・スタンダードサイズ。特集『ドゥミとヴァルダ、幸福についての5つの物語』にて2017年7月22日より再上映(配給:ザジフィルムズ)。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

クレオ(コリンヌ・マルシャン)はブロンド髪の美しい娘。が、最近クレオは悩んでいる。体の具合が悪いのだ。もしガンだったら……と思うと、いてもたってもいられない。先日、彼女は病院で精密検査を受けた。結果の出るのは今日の夕刻。クレオはその時刻の来るのがこわかった。五時。クレオは女占師の前に腰をおろす。占師は彼女が病気であることを見透した。やっぱり……。絶望におそわれたクレオはアパートに帰った。恋人ジョゼがやって来た。彼はいつも忙がしい。一ばん親しいジョゼさえ病気を信じてくれない。クレオは今日ほど自分の孤独を感じたことはなかった。入れかわりに作曲家ボブ(ミシェル・ルグラン)がやって来た。が、陽気な彼さえも、いや誰も彼もがクレオの気持を理解してくれない。彼女は黒い服に着がえて街をさまよい歩いた。カフェでコーヒーをのみ、ジューク・ボックスでレコードを聞いてみるが淋しい。うす明りの公園はまったく人影がない。ひっそりとせせらぎの音に耳を傾けるクレオ……。突然、男の声を耳にした。軍服を着た若い男(アントワーヌ・ブルセイユ)だ。アルジェリアから休暇で帰ってきたその男は、その夜ふたたび戦線へ帰るという。クレオはこの男に親近感ををおぼえた。ともに死の可能性を近い将来に持っていることが二人の心を近づけたのだろうか。クレオは、自分がガンではないかと思っていることを話した。二人は病院までバスにのる。病院の構内。二人はばったり担当の医者に会う。宣告の一瞬。クレオのガンは重くはなかった。二ヵ月も療養すれば治るというのだ。生きる喜びが体中にわき上った。それにクレオはもうひとりではない。今日、芽生えたこのささやかな愛が、きっと彼女の回復を早めるだろう。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1963年6月下旬号

外国映画批評:5時から7時までのクレオ

1963年6月上旬号

外国映画紹介:5時から7時までのクレオ

1963年5月下旬号

新作グラビア:5時から7時までのクレオ

旬報試写室:5時から7時までのクレオ

2025/10/23

2025/11/05

80点

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字幕


ヌーベルバーグはカメラに宿る。

ネタバレ

監督のアニエス・ヴァルダの名を聞いてもピンとこなかった。1962年の「幸福」の女性監督であった。
題名とは異なり若い夫婦の悲劇を描いた。それでもヌーベルバーグの監督というイメージよりもフランス
映画の女性監督の視点を感じた。病気なのだが、生き生きとしたクレオを、美しい風景とともに活写した。

冒頭はタロットカード占いの上からのアップとなる。これがカラーで、このシーンだけ。意図は判らないが、
悩み多き若い女性と占いというベタなオープニングに色をつけ、勝負の本編は写真家として鍛えたモノ
クロームで十分観客に訴えることができるとふんだのか。ともかくモノローム画面で十分美しさが伝わる。
クレオは最近の体調の悪さから病院で精密検査を受けた。その結果がでるのは今日の7時。その直前
の5時から神経質になったクレオを同時進行で描く。タロット占い師にも死病を言い当てられ動揺する
クレオ。新人歌手としてデビューしたばかりのクレオの周辺の人たちは、彼女の健康を信じ手疑わない。
恋人のジョルジュしかり、作曲家のボブしかり。
誰もクレオの真意をくんでくれない。それまでの華やかな衣装やウィッグを捨て、黒い服に着替えて街に
出る。カフェに入り、お茶を飲む。ジュークボックスで流行りの曲をかけるが、彼女もプロにはしくれ、他人
の曲は気に入らない。広い公園にはせせらぎがあった。美しい風景とせせらぎの音に耳を澄ませる…。
そこに一人の若い兵士が近づいた。彼はアルジェリア戦線から休暇でパリにやって来たのだった。夜に
なれば原隊に復帰しなければならない。一時だけの平和。死の影を持った二人は意気投合。クレオが病
院に行くのを兵士が付き添うことになった。一緒にバスに乗り、病院へ。
結局、担当医の診断は、初期のガンで二月の治療をガマンすれば完治するという。あれほどクレオを
悩ましていた頭痛の種が雲散霧消した。そしてそこには優しい彼氏がいる…。

実にカメラが素晴らしい。分割画面などのテクニカル面から、パリの街の躍動感と美しさ、さらにロケ地
の美術品のような公園を確実にとらえた。主演女優もまた全編の華となった。ヌーベルバーグはカメラに
宿る。これぞ逸品。

2024/02/27

2024/02/27

75点

VOD 
字幕


次第にこの世界に引き込まれる。

斬新である。意欲的な挑戦である。実験的作品でもある。
ガン宣告された女性が、ショックをかかえつつも、街を彷徨する。その行き当たりばったり的な行動をカメラが追っていくという話。
この街をさすらう感じが、女の孤独感を際立たせるが、見つめていると次第に、人生とは断片的な出会いのコラージュもしくは脈絡のない筋書きでできているのでは、という哲学的な思考にとらわれはじめる。フランスの夏は(夏至の日に設定)一日が長く、日が暮れない。6時あたりでも、公園で子供たちが遊んでいる。
ヒロインは様々な感情に揺れながら時間が過ぎていく。そして、終盤、ある男との出会いがあり、ここでようやくストーリーらしきたたずまいが訪れる。二人で、医師からの検査結果を聞くところで、エンド。なぜか、映画を見ている自分の人生の時間というものは、一瞬でも無駄はないし、かつ貴重であるということに揺さぶられるという結末だった。

2023/07/19

2023/07/19

76点

選択しない 


クレオが医者から癌の疑いを告げられ、その正式な結果の出る7時までの2時間のロードムービー。不安な中、彷徨うパリの街並みや出会う人々とのエピソードを盛り込んでいます。中盤以降モデルの友人と会うあたりからが興味深いのですが、医者に出会うエンディングが一番好きです。

2022/01/29

2022/02/05

70点

VOD/U-NEXT/レンタル 
字幕


タイトルに冠した通り、ある日のクレオが過ごす5時から7時が描かれる。ガンの疑いがある彼女は気が気ではなく、カフェで泣き出したりショッピングを楽しんだり、行動に一貫性がなく情緒不安定。が、深刻なことに対する周りの楽観に苛立ったり、最終的にひとりで歩きたくなる気持ちは分かる気がする。そんな彼女と出会った、アルジェリアから休暇で戻っていた兵士。病と戦場という違いはあっても、死と隣り合わせであることに変わりはなく、互いの状況を理解し合うにはもってこい。始めのうちは彼が面倒臭い人に見えたものの、実際にはとても優しい人だった。このたったの2時間で、クレオの心境も大きく変化。なお、アンナ・カリーナとジャン=リュック・ゴダールが友情出演していて、ラブラブな二人がとても可愛い!

2022/01/15

2022/01/14

62点

選択しない 
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導き手

この時期のフランスは完成されている。

2021/12/26

2021/12/26

75点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
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なるほどこれがヌーベルバーグの女性監督か

ネタバレ

ヌーヴェルバーグというと、なんだか小難しい最先端を気取った何かを見せられたらどうしようと思ってしまうけど、リアルな若い女性の夢や不安を率直に描いた好感触の作品でした。

冒頭、タロットカードだけはカラーで、それ以外は白黒。検査結果を恐れて、頼みの綱のタロットカード以外はすべて灰色に見える彼女の心象風景。一番かわいいドレスを着てカフェでコーヒーを飲んだり、素敵な帽子を買いに行ったり。若い女子の感覚が自然に出ていて、やっぱりこういう作品は女性監督にしか撮れないなぁと思う。

クレオを演じてるコリンヌ・マルシャン、可愛いですね。同性からも親しみを持たれそうなベビーフェイス。そして彼女は人気歌手で、お付きの人や取り巻きに囲まれた、誰もが憧れるような境遇にあることがわかってきます。だけど死んでしまったらみんなおしまい。いつか死ぬ、という恐れは老若男女、美醜や豊かさや賢さを問わず誰もが持つもの。

最後にクレオはチャーミングな軍人さんと、いつか来るその日を見据えながら、今までよりも希望に満ちた時間を過ごすのかな。そういうのを幸せっていうんじゃない?という実感にたどりつけたようでした。見終わってみて、意外なほど満足感のある作品でした。もっと早く見ればよかった。