誓いの休暇

ちかいのきゅうか|Ballad of a Soldier|----

誓いの休暇

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レビューの数

20

平均評点

81.3(74人)

観たひと

106

観たいひと

21

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 戦争
製作国 ソ連
製作年 1959
公開年月日 未公開
上映時間
製作会社 モスフィルム
配給 東和
レイティング
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

一兵士の帰郷を軸に、戦争反対をうたいあげた作品。「女狙撃兵 マリュートカ」の新進グリゴーリ・チュフライが監督した。脚本は彼とその友人ワレンチン・イェジョフの共同。撮影もウラジミール・ニコラエフとエラ・サベリエフの二人。音楽はミハイル・ジフ。出演はともに映画初出演のウラジミール・イワショフ、ジャンナ・プロホレンコなど。一九六〇年カンヌ映画祭最優秀特別作品賞を受け、第三回全ソ映画祭でも最優秀作品賞、最優秀監督賞、映画評論家特別賞の三賞を受けた。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

白い一本道のどこまでも続く野原に黒いスカーフをかぶった母親が立っている。彼女の息子アリョーシャは、この道を通って戦争に行ったまま帰らなかった。--ナチスがロシアに攻めこみ、戦争がもっとも苦しかった頃。一七歳の少年兵アリョーシャ(ウラジミール・イワショフ)は、二台の戦車を炎上させて英雄となり、特別休暇をあたえられた。が、彼は決して勇敢で不死身な英雄ではなかった。敵戦車に追いつめられ、偶然みつかった対戦車砲を手にして、必死に放った弾丸が命中したのである。勲章よりも一人暮しの故郷の母に会うことを願って、彼は六日間の休暇をあたえられたのだ。故郷への列車の中で彼は一人の負傷兵に会った。戦争で足を失った彼は妻に会うのをいやがって、悩んでいた。しかし彼の妻はプラットフォームに迎えにきていた。涙にくれる二人を残してアリョーシャは旅を続ける。貴重な肉のカン詰を看視兵にやってやっと貨物列車にもぐりこんだ彼は、その中で一人の少女シューラ(ジャンナ・プロホレンコ)に会った。彼女は負傷した許婚者を病院に訪ね、故郷に帰るため秘かに貨車にのったのである。最初は警戒していたシューラも、やがて彼に好意を抱くようになった。途中水くみに出て列車をやりすごしたりしながら、二人の旅は続く。アリョーシャは戦線で見知らぬ兵から託された石ケンを持って、彼の留守家族を訪ねる。苦しい生活の中で、兵士の妻は他の男と同棲していた。やがてアリョーシャとシューラは、互の住所もしらぬまま別れた。つきぬ思いを胸に秘めて--。もう休暇は残り少ない。戦線への帰途の時間を計算すると、アリョーシャは母親と、ほんの一瞬しか会っていることができなかった。畑で働いていた母は、涙で息子のトラックが遠ざかるのを見送った。そして、アリョーシャの姿は二度と、もう故郷に戻らなかったのである。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1961年1月上旬新年特別号

外国映画批評:誓いの休暇

1960年10月下旬号

新作グラビア:誓いの休暇

「誓いの休暇」と新しいソヴェト映画:戦争と革命

「誓いの休暇」と新しいソヴェト映画:製作の背景

外国映画紹介:誓いの休暇

2022/06/12

2022/06/12

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 
字幕


『処刑の丘』のレビュー

ネタバレ

シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞。

(※)KINENOTEに何故、映画『処刑の丘』のレビュー欄が無いのか疑問であるが、本日2本立てで観たこちらに記載する。
評点は付けない。



ウクライナ生まれの映画監督ラリーサ・シェピチコによる戦争を通じて「人間の在り方を問う映画」であった。

第二次世界大戦中、ナチスドイツ軍が迫る中、パルチザン部隊が銃弾・食糧が無くなったため、二人の男を占領下集落で調達するように派遣するものの、二人は逃亡の末にドイツ軍に捕らえられる。
一人は裏切って生き延びる道を選び、一人は処刑されることを受け入れて……という生死を巡る葛藤を描いたドラマになっていく。

そこに、既にドイツ軍に協力している審問官、捕えられた村人たちも描かれるのだが、クローズアップの多用により、登場人物の表情から彼らの気持ちを読み取ろうとするのだが、フレーム外で起こっている事が気になる。
これは、監督が意図して演出した「フレーム外の上手い演出」なのではないか?…と思わされる。

クローズアップの多用と記載したが、処刑の丘を映すロングショット、処刑を受ける瞬間に男の視線として捉えた山々などが見えるロングショット、これらも見事!

観終わって強烈なインパクトが心に残る映画であった。

2022/06/12

2022/06/12

100点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 
字幕


映画史に残る大傑作!

シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞。

ウクライナ生まれの映画監督グリゴーリ・チュフライによる反戦映画・青春映画・家族映画の傑作!

冒頭、広大な場所に立つ母親の姿が映されて、母親が「ここに来るにも、戦場へ行くにも、この一本道を通る…」という思いで遥か彼方の墓に眠る息子のことを考えている。
そこに「この母親の息子が知らない姿を…」という語りが入って、戦場で闘う息子が描かれる。

息子アレクセイは19歳、戦場で戦車に追われて逃げるのだが、この戦車と少年の追跡シーンが物凄い迫力あり、逃げる少年と追う戦車の流れるようなシークエンスは天地逆転するまで描く見事なカメラ!
こんな素晴らしい追跡シーンは観たことない。

そしてアレクセイは4台の戦車のうち2台を爆破した手柄から、「行きに一昼夜、母親と過ごす一昼夜、帰りに一昼夜」の6日間の休暇を上官から貰う。
アレクセイは「必ず期限には戻ります」と上官と約束する。「誓いの休暇」である。

アレクセイは「休暇をもらった」と母親の住む実家を目指すのだが、見知らぬ仲間兵士から「愛する妻に石鹸を渡してほしい」と頼まれて寄り道したり、軍用列車に隠れて乗っていると若い女性シューラが乗りこんで来てお互いに恋の芽生えを感じたり、と母親の元に帰るのが遅くなり……という一連の物語が素晴らしい。
観ているこちらは、「アレクセイ、早く実家に帰らないと…」と思ってしまうのだが、アレクセイとシューラはわりとノンビリしている感じ。これが切迫感を観客に感じさせる上手さに繋がっていると思う。演出の妙。

しかし、賄賂を貰って軍用列車に忍びこませる兵士、夫が戦場にいるのに浮気する妻など様々なエピソードも盛り込んで、何度観ても新たな発見があるような「深い映画」になっていると思う。

映画史に残る大傑作!

2020/03/25

50点

選択しない 


戦時下の青年と少女の束の間の淡い恋物語が甘く切ない

 原題"Баллада о солдате"で、兵士のバラードの意。
 第二次世界大戦中の19歳の若い通信兵が主人公で、前線でドイツ軍の戦車を破壊したことから、特別休暇を願い出て母の待つ家に帰る旅路の物語。
 母からの手紙で家の屋根を修理するため、往路2日、滞在2日、帰路2日の休暇をもらうが、真面目で人の好いアリョーシャは道中で出会った片足を失った兵士に付き添ったり、前線に赴く兵士に頼まれて妻に石鹸を届けたり、貨車に乗り込んできた少女シューラに恋して道中を共にしたり、列車が爆撃に遭って破壊されたりで、時間を空費し、結局わずかな時間母に会っただけで帰隊しなければならなくなる。
 冒頭、アリョーシャが戦死したことが示唆され、母との最後の別れのエピソードが回想の形で描かれる。母が村はずれの細くて長い道を眺め、戦争が終わっても息子が帰ってこないことが語られ、それがアリョーシャが道を去って行くラストシーンへと繋がる。その光景が人影一つ、動物の姿一つないロシアの静寂な大地と結びついて、詩情溢れる映像となっている。
 優しくて純粋で素朴な青年が、銃後に残された兵士の家族たちの喜びや悲しみに出会い、少女に恋するという出来事の中に、戦功とは対照的な平凡な日常の大切さを休暇という短い時間の中に凝縮して描く良心的な反戦映画。
 冒頭、アリョーシャの戦友たちは母の知らない彼のエピソードを知っているというナレーションが入るが、語られるのは戦友たちも知らないアリョーシャだけが知っている物語で、あるいは翻訳に問題があったのか?
 物語の中心となるアリョーシャとシューラの束の間の淡い恋物語が甘く切ない。(キネ旬10位)

2000年代

2019/04/26

55点

レンタル 
字幕


切ない親子愛

ネタバレ

戦闘の過酷さが感じられない汚れのない軍服をはじめ、軍隊内での微温的で牧歌的な人間関係や、戦争による疲弊感が伝わってこない人々の生活ぶり、そして、登場人物の大半がハートウォーミングな善男善女であることや、物語の悲惨な顛末を映像化しないナレーションだけのエンディングなど、戦争が持つ様々なネガティブイメージを巧妙に回避しつつ、ローアングルから仰角に捉えられた兵士の姿にヒロイズムを込めた、旧ソ連の国策プロパガンダ映画のようにも感じるあざとい語り口にイマイチ感情移入できずのこの点数。

厳しい状況下での切ない親子愛を諧調豊かなモノクロ映像で描いた物語だと割り切って観れば、もう少し楽しめたとは思うけど・・・。

2018/07/24

2018/07/25

100点

その他/国立映画アーカイブ、長瀬記念ホールOZU 
字幕


スクリーンで見たのは初めてだったが・・・。

 国立映画アーカイブ(旧フィルムセンター)での上映。
 長瀬記念ホールOZUにて。入りは半分か。 5回目の鑑賞。

 まさか1960年11月29日に東和が公開したプリントだとは思わなかった。
 57年も経ってればプリントはボロボロ。
 
 巻の変わり目は、《飛ぶ》のはザラ。
 それ以外はまぁヒドイ《飛び方》は少ないが、とにかく全篇傷だらけだった・・・。
 上映時間はそれほど短くはならなかったと思う。
 昔、オードリーの「昼下がりの情事」を見た時なんか10分短くなってたもんね。シネマ新宿だったかな。
 
 外で映画を見るのは14年ぶりだったが、ちょっとなぁ・・・。
 近いうち、自宅でLDで《口直し》する。

 映画の内容に付いては、戦場に夫が出てる間に浮気する妻とか、軍用列車の守衛が缶詰のワイロをもらったりとかのエピソードは、《当局》に睨まれたろうな。

 下手な恋愛映画より、よっぽどロマンティック。
   ウブな若者たちだが・・・。
 いい音楽・メロディだが、最初からよく鳴る。
 多少、過剰かもしれないと思った。

2016/04/28

85点

選択しない 


1人の青年に焦点を当てた戦争映画は泣く。