太陽がいっぱい

たいようがいっぱい|Plein Soleil|Purple Noon

太陽がいっぱい

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レビューの数

149

平均評点

81.7(754人)

観たひと

1140

観たいひと

101

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル サスペンス・ミステリー
製作国 フランス イタリア
製作年 1960
公開年月日 1960/6/11
上映時間 118分
製作会社 ロベール・エ・レイモン・アキム・プロ=パニタリア
配給 新外映
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

ルネ・クレマンの「海の壁」以来の映画。アラン・ドロンが“天使の顔をした悪人”を演じるサスペンス・ドラマ。英国の女流作家パトリシア・ハイスミスの探偵小説『才人リプレイ君』から、「二重の鍵」のポール・ジェゴフとクレマン自身が脚本・台詞を書いた。撮影も「二重の鍵」のアンリ・ドカエ。音楽は「戦争 はだかの兵隊」のニーノ・ロータ。出演はドロンのほか、新星マリー・ラフォレ、「死刑台のエレベーター」のモーリス・ロネら。製作ロベール・アキムとレイモン・アキム。4Kレストア版が2019年6月28日より公開(配給:KADOKAWA)。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

トム・リプレイ(アラン・ドロン)は貧乏なアメリカ青年だ。彼はナポリに、中学時代の友人で金持のドラ息子フィリップ(モーリス・ロネ)を、父親から五千ドルの約束で連れ戻しにきた。フィリップにはパリ生れのマルジェ(マリー・ラフォレ)という美しい婚約者がいた。ナポリから帰ると、フィリップの父から契約をやめる手紙が来ていた。フィリップが約束の手紙を出さなかったからだ。フィリップはトムを邪魔者扱いにしていた。友人のパーティーに向うヨットの上で、トムはますます彼からさげすまれた。裸でボートに放り出され、全身が火傷のように日焼けした。トムはフィリップに強い殺意を抱くようになった。まずマルジュとフィリップに大喧嘩をさせ、彼女が船から下ろすと、ついにフィリップを刺し殺した。死体はロープで縛り、海へ捨てた。陸へ上ると、彼はフィリップになりすました。ホテルに泊り、身分証明書を偽造し、サインを真似、声まで真似た。ヨットを売り払う交渉も、親元からの送金を引き出すこともうまくいった。ホテルにフィリップの叔母が訪ねてきたが、別の下宿に移って事なきを得た。しかし、新しい下宿にフィリップの友人が訪ねてきて、トムに対して疑惑をもったようだ。トムはその男を殺して死体を捨てた。やがて刑事が調べにきた。死体確認に友人たちが集った時、トムはマルジェにフィリップはモンシベロに戻ったと告げた。トムはその夜、モンジベロへ行き、遺書を書き、金をマルジェに残して、フィリップが自殺したようにみせかけた。そうして元のトムに戻った彼は、傷心のマルジェをいたわり、愛を告げた。彼女もついに彼を受け入れ、結婚の約束を交わした。全てがトムの思うままになったのだ。トムは幸福に酔って、浜辺に寝そべり、こうつぶやいた。「太陽がいっぱいだ」と・・・。しかしその時、フィリップのヨットが、引きあげられていた。スクリューにからまったロープの先からフィリップの死体が現われた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2013年8月上旬号

UPCOMING 新作紹介:「太陽がいっぱい」

2010年5月上旬号

午前十時の映画祭:「天井桟敷の人々」「太陽がいっぱい」

1994年6月上旬号

グラビア:太陽がいっぱい

1963年3月下旬号

SB ニッポンの夜:30 太陽がいっぱいの北京曲技団

1960年7月下旬号

外国映画批評:太陽がいっぱい

1960年6月上旬号

ルネ・クレマンの新作「太陽がいっぱい」:

ルネ・クレマンの新作「太陽がいっぱい」:鮮やかなサスペンス・タッチ

外国映画紹介:太陽がいっぱい

2011/06/06

2024/09/08

90点

選択しない 


マリー・ラフォレの悲鳴が耳から離れない

ネタバレ

 世紀の二枚目、アラン・ドロンの訃報が世界を駆け巡りました。あゝ遂に彼も逝くか......追悼の意を込めて彼の出世作「太陽がいっぱい」を何度目かの鑑賞。ルネ・クレマン監督の好い仕事。原作はパトリシア・ハイスミス『才人リプリー氏』(後に映画に合せて邦題は『太陽がいっぱい』と改題)、脚本はポール・ジェゴフ&ルネ・クレマン、音楽はニーノ・ロータであります。有名なテーマ曲は存外抑制的に使はれて、逆に効果的でした。

 貧乏だが上昇志向の強いアメリカ青年トム・リプレー(アラン・ドロン)は、友人フィリップ(モーリス・ロネ)が放蕩息子で遊び惚けてゐるので、家に連れ戻すやうに父親から依頼されます。報酬は5000ドル。しかしフィリップは約束の手紙を父親に出さなかつたので、トムは信用を失ひ契約解除されます。

 フィリップはその財力にものを言はせて、視覚障害者から強引に杖を買ひ取つたり、通りすがりの女性をナンパしたりと好き放題。マルジュ(マリー・ラフォレ)と云ふ彼女がゐるけれど、何かと高圧的な態度をとりマルジュは不満たらたらです。カネのないトムは仕方なくフィリップと行動を共にしますが、フィリップはトムを完全に見下し、まるで下男扱ひします。耐へるトム。

 或る日ヨットで、トムはフィリップに放り出されて、長時間照りつける太陽の下で全身に火傷を負つてしまふ。助け出されますが、フィリップに対し強い殺意を抱くトムでした。ヨットでフィリップと二人きりになるため、マルジュを下船させるやうに仕向け、その後遂にナイフでフィリップを刺す! そして死体を始末した後、身分証を偽造して、サインも練習し、自分がフィリップになりすまします。そしてヨットを売り払ひ、財産も手に入れ、遂にはマルジュの愛も得ます。満ち足りた彼は「太陽がいつぱいだ」と呟きますが......

 と云ふ、若きドロンのクライムサスペンスであります。水も滴る二枚目の彼だからこそ、この役がピタリと嵌ります。貧しい出自に引け目を感じ、友人フィリップにも劣等感を抱いたままの生活に終止符を打つべく決行した凶行。矛盾する言ひ方ですが、その上品な卑しさが見るものを惹き付けます。

 従つて犯罪者なのに観客は彼と同化し、犯行後は刑事の出現、フィリップの叔母(何だかこのキャラは好き)や友人フレディの追及など、その都度ドキドキして「姿を隠すんだ!」「早く逃げろ」などと心で呟くのです。結局フレディは、間の悪いお手伝ひさんの所為で殺される羽目になりますが、それでもトムは「殺したのはフィリップだ、俺ぢやない」と嘯くのでした。

 フィリップとトムは同性愛的な匂ひも漂はせ、マルジュを加へた三人は一種の三角関係。別れの挨拶を三度繰り返す有名な映画評論家は、この点を強調しそれを理解しないとこの映画の真価は分からぬみたいなことを言つてゐました。しかしフィリップとの「殺意を抱いただらう?」「今回ぢやない。過去に二度あつた」「自分を殺すのか?」「君の死体を隠し偽サインで財産を頂く」「サインは真似ても手紙は書けないぞ」「タイプがある」などの会話はどうですか。特にその後の展開を知るだけにゾワゾワしますね。

 そして得意の絶頂から、フィリップの死体発見(腐乱した手が見える)~マルジュの悲鳴~再び現れる刑事たち~トムを電話だと呼ぶやうに命じられる売店の売子女性~満ち足りた笑顔で応へるトムの一連の流れが秀逸。そしてラストの、イスキアのビーチと青い海を照らす太陽からすかさず「Fin」! エンディングで拍子抜けするシャシンが存外多い中、最後にビシッと決めてゐます。

 正直犯罪ものとしては粗も多いのですが、それにも拘らずサスペンスとして十分成り立つてゐるのは、やはりドロンの眼ぢからでせうか。ハンサムだけではない、天性のスタア俳優としてのオーラが若い頃から備はつてゐたのですねえ。

2024/09/05

2024/09/05

60点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
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アランドロンに黙祷

アラン・ドロン亡くなりました。
以前録画していたので、やっと見る。
昔見たけど後味悪かった記憶がある。
今回も同じ。
なぜかトムに同情してしまうのよねー。

2024/08/31

2024/08/31

89点

選択しない 


若きアラン・ドロンの魅力

青い海とカラッと晴れた青い空の解放的な美しさと対照的なアラン・ドロンのモーリス・ロネへの屈折した憧憬、そして衝動的な殺人と隠蔽、ロネに成り変わるべく行われる部屋にこもってのサインの練習などが描かれ、否が応でもドラマに引き込まれる。サスペンスとしても破滅型の青春映画としてもルネ・クレマン監督の傑作。
 殺人犯であるドロンに感情移入し完全犯罪を期待する自分がいる。もちろん、そう思わせるドラマ作りをしているのだが、さらにドロンの魅力によるところも大きい。なんと言うが独特な魔性の魅力を感じる。だからドンデン返しのラストにドロンの哀れを感じて胸が苦しくなる。そこに流れるテーマ曲のなんと切ないことか。かつて映画音楽全集レコードの定番でした。

2024/08/23

2024/08/24

85点

その他/録画淀川さんの解説付き 
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傑作

  何と言ってもアラン・ドロンの魅力が存分に発揮された作品。

  何回か観ているので、やや冷静に観られたが、何と言ってもアラン・ドロンが美しい、そして、演技とは思えず、本当に、フィリップ(モーリス・ロネ)を殺し、彼に成り代わっているように見える。アラン・ドロンは、犯罪者の役が多いが、本当にピッタリだと思う。

  原作を随分変えたようで、でもそれが、見事な展開になっているし、ラストが衝撃的なのは、原作と全く違うようだ。音楽(ニーノ・ロータ)も超一流かと。撮影のアンリ・ドカエも。

 アラン・ドロンが亡くなり、やはりこれが最も印象に残っているのでまた観ることに。

2011年

2024/08/18

100点

その他/映画館 
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アラン・ドロン主演、映画史上不滅の名作

ネタバレ

永遠の映画スター、アラン・ドロンが本日(2024年8月18日)亡くなった。88歳だった。

巨匠ルキノ・ヴィスコンティに愛され、「若者のすべて」「山猫」に出演、それ以外にも「ボルサリーノ」「冒険者たち」「さらば友よ」など数々の話題作、ヒット作に出演した本物の映画スターだった。

だが私の中でのドロンの代表作は何といっても「太陽がいっぱい」である。

恐らくほとんどの方がそうなのではないか。

この映画の物凄さは、なんと表せばよいのだろう。

初めて観たのはちょうど40年前。中学2年生のとき。

レンタルビデオの吹き替えであったが、あの衝撃のラストシーン。

まるで頭がガツンと殴られたようであった。

その感覚は生涯忘れられない衝撃であった。

その後、何度観てもこの衝撃は変わらない。

この作品には、映像・音楽とオープニングから引き込まれていく。

ヨーロッパ映画のオシャレな雰囲気を漂わせながら、ロータの音楽に載せてスティル・ショットで展開するモーリス・ビンダーの見事なメインタイトル。

アンリ・ドカエの青い空と青い海を見事に映し出した映像の素晴らしさ。

何度聞いても聞き飽きることはないニーノ・ロータの音楽の美しさ。

映画史上、最高レベルの名曲中の名曲である。

そして当時のフランス映画界を席巻していたヌーヴェル・ヴァーグに立ち向かった、ベテラン監督ルネ・クレマンの緻密な演出。

クレマンはパトリシア・ハイスミスの原作を脚色するにあたり、クロード・シャブロルの「いとこ同士」「二重の鍵」で脚本を担当したポール・ジェゴフを起用した。

さらに撮影のアンリ・ドカエも、ヌーヴェル・ヴァーグの代表的な名作、「死刑台のエレベーター」「恋人たち」「いとこ同士」「大人は判ってくれない」などで有名になったキャメラマンである。

素人呼ばわりされることも多かったヌーヴェル・ヴァーグの映画人を脚本・撮影というメインスタッフに起用しながら、ここまで完成度の高い作品を作り上げたルネ・クレマンの仕事ぶりは、まさにプロの監督の仕事と言っていい。 

友人である貧しいドロンを虐め抜き、ヒロインの名前を叫びながら海を走るヨットの上でドロンに刺されて息絶えるモーリス・ロネ。

その金持ちロネになりすますべく、ドロンが必死に彼のサインの練習をするシーン。

ロネが生きていると見せかけるために、常にギリギリのところでかろうじてドロンが逃げおおせるハラハラドキドキの展開。

ジリジリと太陽の暑さを観客にも伝えながら、ジリジリとドロンを追い詰める。

そしてラスト、本当に最後の最後で完全犯罪を成し遂げ、太陽の陽の光につつまれて富とヒロインをつかんだはずのドロンに待ち受ける究極のドンデン返し。

この衝撃のシーンに被さるロータのテーマ曲とドカエの映像の、何と美しいことか。

映像も音楽も脳裏に焼き付いて離れない。

アラン・ドロンは本作で一躍、映画史上の大スターになり、数々の名作に出演する訳だが、やはり彼の憂いに満ちた表情と演技の美しさは、この「太陽がいっぱい」につきる。

単なるサスペンス映画という枠にとどまらず、永遠に忘れがたいといってもいい、映画史上の名作中の名作だと思う。

2024/07/22

2024/07/24

88点

テレビ/有料放送/WOWOW 
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また観た

何度見てもアラン・ドロンの目と太陽と音楽が強烈な印象に残る。