抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より

ていこうれじすたんすしけいしゅうのしゅきより|Un Condamne a mort s'est echappe ou Le vent souffle ou il veut|Un Condamne a mort s'est echappe ou Le vent souffle ou il veut

抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より

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レビューの数

39

平均評点

79.7(142人)

観たひと

205

観たいひと

30

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 社会派 / 戦争
製作国 フランス
製作年 1956
公開年月日 1957/7/20
上映時間 97分
製作会社 S・N・E・ゴーモン=ヌーヴェル・エディティオン・ド・フィルム
配給 新外映
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

フランスのアンリ・ドヴィニ大佐の手記に基き、我が国初登場のロベール・ブレッソンが脚本を書き、自ら監督した異常な物語。ドイツのゲシュタポに捕えられ、死刑の宣告を受けたフランス軍人がモントリュック監獄から脱獄する経過を、記録映画的にレジスタンス精神をこめて描き出す。監督のブレッソンは一九〇七年生れ、一九五〇年に監督したベルナノス原作「田舎司祭の日記」は、五〇年度ルイ・デリュック賞、五一年フランス映画大賞、五一年ヴェニス映画祭・国際賞およびイタリア批評家賞などを受けている。撮影は「わが青春のマリアンヌ」のルイ・アンリ・ビュレル。主演のフランソワ・ルテリエは無名の二十七歳になる哲学科の学生で、その他シャルル・ルクランシュ、モーリス・ビーアブロック、ローラン・モノなど著名な新聞記者、劇評家、装飾家といった人々である。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

一九四三年独軍占領下のリヨン。レジスタンス派のフォンテーヌ中尉(フランソワ・ルテリエ)はドイツ軍にとらえられ、拷問された上モントリュックの監獄に投げ込まれた。独房で死刑の判決をまつうち、彼は脱出することに全力をつくす。まずスプーンをといでナイフをつくり、何日もかかって扉のハメ板を外す。ベッドの毛布を裂いて綱をつくる。朝の洗面のとき、収容者同士は秘かに連絡をとるが、脱出はすこぶる困難だ。フォンテーヌの勇気と強い意志は、次第に人々を動かして行く。ところが、十六歳のドイツ軍の服を着た脱走兵が彼の同室に投げ込まれる。はじめは自分を監視するおとりだと思うが、遂に意を決して、この少年にも脱走計画をもらし協力をたのんだ。いよいよ決行の夜、二人は扉をあけて屋根の上によじ登る。綱をつたって中庭に降り、警察のドイツ兵を殺して壁をこえる。おそらく、一人だったらこの壁をこえることはできなかったろう。壁の外には外庭があって、再び第二の壁がある。壁の外には、衛兵が自転車で巡回していた。この眼をかすめるために、二人は外壁との間に綱をわたし、空中をつたって外へ出る。こうして、綿密な計画と、忍耐と、勇気をもって行われたフォンテーヌの脱出は、厳重な計画を突破して成功した。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2023/12/02

2023/12/10

85点

テレビ/有料放送/ザ・シネマ 
字幕


緊張感が持続する脱走映画の傑作

『抵抗-死刑囚の手記より-』
Un condamné à mort s'est échappé (sous-titré ou Le vent souffle où il veut)
「死刑囚は逃げた」あるいは「風は己の望む所に吹く」
1956フランス

1940年5月ナチス・ドイツはベネルクス三国に侵攻。フランス共和国は応戦したがナチスに敗れた。追い込まれたフランスとイギリス軍はダンケルク海岸から撤退した(『ダンケルク』)

敗れたフランス共和国のペタン元帥はナチスと講和を結び地名にちなんで「ヴィシー政権」が成立した。ナチスと徹底抗戦を主張するド・ゴール准将はイギリスにに亡命して「自由フランス」を作った。

傀儡政権とも呼ばれるヴィシー政権はナチスに協力して労働力を提供し警察を使ってユダヤ人を強制収容した(『サラの瞳』)

ナチスに従うことをよしとしない人々はレジスタンスに加わった。

『抵抗』の主人公もその一人。ファーストカットで主人公フォンテーヌはすでに逮捕されてナチスの自動車の後部座席に座っている。隣に座っている男には手錠がかけられているが手錠が足りなかったのかフォンテーヌには手錠が掛けられていない。

フォンテーヌは自動車が速度を落とした時にドアを開けて逃れる。

しかし囚われてまた車に乗せられて手錠をかけられてモンリュック刑務所に収監される。

タイトルにあるように死刑宣告されたフォンテーヌは脱獄する。

ストーリーはシンプル。フォンテーヌのナレーションもあってほかのブレッソンの映画と比べると分かりやすい。サスペンスに満ちていてとても面白い。

実話に基づいているのでリアリティがある。

カメラは風景を俯瞰したりしない。フォンテーヌたちを画面の中に捉えて閉塞感を出す。

手のアップを多用して緊張感を出している。

フォンテーヌたちは犯罪者では無い。ナチスは犯罪者と決めつけたけど。敵軍の捕虜になった自由フランス軍の兵士だ。捕虜は脱獄することで第五列(敵軍のバックヤード)を混乱させる任務がある。

フォンテーヌの脱獄の意思は変わらないが中には脱獄を諦める者もいる。

監督ロベール・ブレッソンもナチスの捕虜になって収監されたが病気になって解放された経験を持つ。

経験した人たちが出せるリアリティが凄い。特に刑務所の外から聞こえる色々な音。車が走る音、列車の音。

街中にある刑務所ならではだ。

張り詰めた緊張感に満ちたサスペンス映画。しかしブレッソンはのちに作ったロバを主人公にした『バルタザールどこへ行く』を一番好きなように作った映画だと語った。

実際にナチスに捕まって死にかけたブレッソンが何を考え人生をどう捉えていたのか。もっと色々知りたいと思った。

2023/11/21

80点

選択しない 


緊張感のある脱走劇

リアルさに徹したドラマで、プロの役者は使わず音楽もなく、淡々と脱走のプロセスを描いておりドキュンメンタルな作品。その効果で緊張感たっぷり。単純なドラマながら見応えがある。反面、華がなくドラマにメリハリがないのでカタルシスも弱い。

2022/03/04

2022/03/09

70点

選択しない 


マニアックな脱獄映画

ネタバレ

 脱走ものである。脱走、あるいは脱獄映画というのもひとつのジャンルを形成するくらい昔から量産されている。厳しい監視の眼を盗んで自ら自由への扉を開こうとする囚人の四苦八苦がドラマチックかつサスペンスフルであり、娯楽色を容易に盛り込むことができるからであろう。
 そういったジャンルの中に本作を振り分けるとするとちょっと落ち着きが悪いかもしれない。いわゆる脱走映画らしい娯楽色や痛快感が感じとれないせいかもしれない。
 いやラストの脱獄のシークェンスなどそれこそ脱獄映画の醍醐味が感じとれるのだけどそこに至るまでの過程がこの監督らしくなんとも素っ気なく(あるいは愛想もなく)撮られていていささか退屈に感じられてしまうから。
 とにかく脱獄を成功させるために、念入りな計画と小道具集めに始まって、スプーンを研いだり、羽目板を外したり、布を裂いたりといった細かな作業をひたすらカメラが捉えていくだけ。主人公フォンテーヌ中尉のモノローグをそこに被せて脱獄の段取りをひたすら詳細に描きつづける。
 こういった「楽しい工作タイム」というのは脱獄映画には付き物でたとえばイーストウッドが脱走犯を演じた「アルカトラズからの脱出」でもこの工作タイムが丁寧に描かれている。同じ脱走犯による手記からできた映画という共通点もあるけど、あちらはそこにユーモアやサスペンスを盛り込んで、それこそ娯楽映画らしく見せる工夫がなされていた。それが本作には欠けている。
というかブレッソンはあえてそうして撮っている。それが彼の流儀だ。このアプローチはその後の「スリ」にも引き継がれている。
 ドラマ臭さの排除によるドキュメント性、緊迫性の高まりを意識した絵作りと言えようか。プロの役者を使わないという彼のこだわりもそのためであろう。
 脱獄は果たして成功するのか? 失敗と帰すのか? ハラハラさせるクライマックスはそれまでの地味さが嘘のようにサスペンスフル。ドキュメントタッチの効果であろうか

2022/01/28

2022/01/28

80点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
字幕


淡々としてるからこそドラマチック

「ラルジャン」の底のない悪の連鎖が印象に残るブレッソン監督。この作品はぱっと見、暗く難しげに見えたけど、徹底して淡々と脱獄に至る日々を描いていて、本当に日記のようでした。日々のリズムが単調なのもリアル。実話と思えないくらい管理がザルな監獄だと言われるとその通りだと思うけど、淡々と監視の穴を探すのがリアル脱獄だろうし、テクノロジーが発展する前夜の監獄、しかもドイツ統治下とはいえフランス国内なのでこの頃はこんな状態だったってことかなと思います。

「暴力脱獄」や「ショーシャンク」と比較されることも多いと思うけど、あっちはどちらも人間を中心に描いてる。こっちは脱獄する本人が独房にいるので、人間どうしの触れ合いは受刑者どうしでも極めて弱い上、管理者に至っては誰が誰かもわからないまま終わってしまいます。ほとんどのことを知らないまま過ごすのが監獄なのでしょう。

個人的にはとにかく、どんな悪であっても、どんな密室であっても、どこかに逃げられる隙間を残しておいてほしいような気がします。閉じ込められたまま終わってしまうのはイヤなんですよね。生き延びて逃げおおせた人がいたから語られる真実がある。

モデルになった死刑囚André Devignyの罪状は、レジスタンスグループにいたことで、密告されて逮捕されたみたいですね。(英語のWikipediaから)この脱獄のあとスイスへ逃れたけれど、見せしめにいとこが強制収容所に送られたとか、本人はスペインで再度捕まって再度脱獄したなんてエピソードもありました。のちにシャルル・ドゴール大統領に褒章されたりフランス軍の諜報部隊に勤務したりして、アルジェリアにいたときにこの手記を書いたんだそうです。1999年に82歳で亡くなったとのこと。

この映画で彼を演じたフランソワ・ルテリエはいかにも反逆者っぽい反抗的なまなざしが特徴的だけど、実際はすごく理知的で冷静な面持ちですね。政治家とか官僚とかにいそうな。もしかしたら、現在のテクノロジーを駆使した監獄に入れられても、頭脳を駆使して別の方法で脱獄できてしまうんじゃないか、と想像してしまいました。

2022/01/17

2022/01/24

80点

VOD/U-NEXT/レンタル 
字幕


1943年、ドイツ占領下のリヨン。主人公・フォンテーヌの投獄と獄中での生活、満を持した脱獄までが淡々と描かれる。正直なところ、彼が何の罪でドイツ軍に捕らえられたのか、具体的なことはよく分からない。が、それが気にならないくらい、大胆かつ慎重に抗おうとする彼から目が離せない。そして、特別に大きなアクションがあるわけでもないのに、地味にドキドキさせるシーンが多い。木製のドアの解体然り、屋外への脱出ルートの下見然り。また、独房内にあるものや監視の目を盗んで入手した物だけで、あれほどの準備が出来ることに感心する。これまで、ほとんどフォンテーヌの視界に入るものしか見ていないこともあり、無事に脱獄を果たしたラストの解放感が半端ない。今のところ、ブレッソンの中で一番好き。

2021/06/22

2021/06/22

32点

選択しない 
字幕


ドラマは凡作

緊迫感は一級品。