フェリーニが自身の少年時代を振り返っている。ひとつのエピソードごとに物語が連なる。それぞれが独立した話に思えるが、実はつながっている。
少年は性的好奇心にあふれている。その対象はソフィア・ローレンにチョイ似の美熟女だったり、豊満な乳房を持つ、タバコ屋のマダムだったりする。彼に限ったことではなく、クラスの友達みんながそうだ。年頃の男の子にありがちな傾向だ。ただクラスメイトの美少女に熱を上げる肥満の男の子もいる。彼女に相手にされなくても、それにめげずに妄想がふくらむ。
少年の家族がおおもしろい。家父長そのままの父親。慈愛に満ちた母親。なぜか家族に溶け込んでいる叔父、お手伝いさんのお尻を触っては喜ぶおじいさん。食事の取り合いをする兄弟等々、大家族だ。その家族それぞれのエピソードをまじえながら、1年が過ぎて行く。
タンポポの綿毛が春の到来を告げ、夏にはイタリアの豪華定期船レックス号を一目見ようと、船団を組んで沖合に繰り出す。秋が過ぎ、冬になると雪が舞う。美熟女のお尻目がけて男の子らが雪をぶつける。美熟女が好きな少年だけが、盾になろうとたちふさがるのが健気だ。
1930年代のイタリアの田舎町が舞台で、みんな陽気に暮らしているが、ムッソリーニが台頭し、ファシズムの嵐が吹き荒れる。美熟女は熱心にムッソリーニを応援するが、少年の父親は支持しない。その代償として捕らわれ、拷問を受ける。同時期の日本でも同じようなことをやっていたのだろう。
少年の母親が病気で亡くなり、ふたたび春が来ると、美熟女は軍人と結婚してしまう。母親を亡くしたばかりの少年にとっては失意の連続だ。
少年の成長物語でもあるが、これらの少年時代の体験がその後のフェリーニ作品にどのような影響を与えたのか。興味深い。