マカロニ+カンフー
74年、ドラゴンブームのさ中に公開された「荒野のドラゴン」は、中国人のスゴ腕カンフー使い、上海ジョーが主人公。そしてこの上海ジョーを演じたのは、ローマで空手の道場を開いていた早川明心という名の日本人
つまり本作は、日本人が主演した唯一のマカロニ・ウェスタンとして、マカロニ史に名を残す作品なのです
カウボーイになるためサンフランシスコから西部に旅立った上海ジョー。彼の行く手に立ちはだかるのは、荒くれぞろいの荒野のガンマンたちと、白人からの手ひどい差別だった。
しかし、上海ジョーにとって過酷な運命はなんのその、次から次へと現れる拳銃使いやナイフ使いの強敵たちを、鍛え抜かれたカンフー(素手)で倒していく…
そんなジョーが最後に出会ったのは、ジョーと同門の空手の名手ミクリヤ(ミクリヤ・カツトシ)。(右端の写真を見てください。スゴイでしょう~)。火花が散るような死闘の末、ついにジョーはミクリヤを倒した
しかし、ジョーの闘いはまだ終わっていない。恋仲の美しいメキシコ娘を残して、ジョーは1人荒野に旅立つのだった…。THE END。
(ブルーノ・ニコライの主題曲がめちゃくちゃカッコいいです)
この作品の見どころはまず、主役の上海ジョー(クレジットはチェン・リー)を演じた早川明心さんです。66年頃に空手を広める為にヨーロッパへ渡って空手道場を開き、ローマで空手道場をしていた時に本作の出演依頼が来たそうです。後に日本に帰ったときに志穂美悦子主演の「帰って来た女必殺拳」にも出演しているそうです。
上海ジョーを狙う殺し屋役で、クラウス・キンスキー(すごい怪演です!)始め、ゴードン・ミッチェル、ピエロ・ルッリ、ロバート・ハンダ―など錚々たるマカロニ常連の俳優さんが出演していますが、彼らに一歩も引かず次々と倒して見劣りしない、早川明心さんの空手の技とルックスは大きな見どころです。美しいメキシコ娘とのキスシーンもある堂々の主役です
また、最後の決戦の相手、奇妙奇天烈なミクリヤ・カツトシも日本人で、マカロニウェスタンのクライマックスが日本人俳優同士の対決というのは、後にも先にもこれしかないのではないでしょうか。ワイヤーを多用したり、素手で心臓をくり抜いたり、だんだん何を見ているのかわからなくなってきますが(笑)、一見の価値があります!
また、ブルーノ・ニコライの疾走感ある音楽が素晴らしくカッコよくて、ミックス味のこの作品を、生粋のマカロニウェスタンたらしめています!!
ぜひ一度ご覧ください