パピヨン(1973)

ぱぴよん|Papillon|Papillon

パピヨン(1973)

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レビューの数

72

平均評点

76.9(516人)

観たひと

786

観たいひと

49

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 冒険 / 伝記 / ドラマ
製作国 アメリカ=フランス
製作年 1973
公開年月日 1974/3/16
上映時間 151分
製作会社 レ・フィルム・コロナ
配給 東和
レイティング
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

場面 ▼ もっと見る▲ 閉じる

予告編 ▲ 閉じる▼ もっと見る

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

胸に蝶の刺青をしているところから“パピヨン”と呼ばれたアンリ・シャリエールが一九三一年、無実の罪で終身重労働を宣告され、南米仏領ギアナの刑務所に送られたが、数度に渡る脱獄を試みたのち、ベネズエラの市民権を得たという数奇な体験を綴った同名小説の映画化。製作は「リスボン特急」のロベール・ドルフマンと「パットン大戦車軍団」のフランクリン・J・シャフナー、製作総指揮はテッド・リッチモンド、監督はフランクリン・J・シャフナー、脚本は「ダラスの熱い日」のダルトン・トランボとロレンツォ・センプル・ジュニア、撮影はフレッド・キーネカンプ、音楽はジェリー・ゴールドスミス、編集はロバート・スウィンクが各々担当。出演はスティーブ・マックイーン、ダスティン・ホフマン、ロバート・デマン、ウッドロー・パーフリー、ドン・ゴードン、アンソニー・ザービ、ヴィクター・ジョリー、ラトナ・アッサン、ウィリアム・スミザーズ、バーバラ・モリソン、ドン・ハンマーなど。日本語版監修は清水俊二。テクニカラー、パナビジョン、スーパー・シネラマ。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

胸に彫られた蝶の刺青があるところから、パピヨン(S・マックイーン)と呼ばれた男が、大勢の囚人と共にフランスの刑務所から、南米仏領ギアナの監獄に送られたのは肌寒い夜明けのことだった。罪名は殺人だが、本当にやったのは金庫破りにすぎない。国籍剥奪の上、二度と生きては帰れぬ“生き腐れの道”へ追放されるのは納得できなかった。灼熱の海を渡る船中で、パピヨンはルイ・ドガ(D・ホフマン)を知った。フランス中を混乱させた彼の罪状は国防債券偽造。パピヨンは、脱走に必要な金を工面するために、ドガの金を狙う囚人から彼の生命を守ることを約束する。夜蔭に乗じてドガを襲った二人の男をナイフで仕末して、二人の仲は深まった。ギアナに到着して、サン・ローランの監獄に放り込まれた二人は、獄吏の買収に失敗し、ジャングルの奥の強制労働キャンプに送られる。ワニが棲む沼地での材木切り出し、粗悪なねぐら。囚人たちは次々に死んでいった。数日後、ヘマをして看守に殴られるドガをかばったパピヨンは、銃弾を浴びせられ、川へ飛び込んで逃亡を計る。だが、無計画だったために捕まり、二年間の島送りとなった。サン・ローラン西方の沖合いにあるサン・ジョセフ島の重禁固監獄は“人喰い牢”と呼ばれる恐ろしい独房だ。吸血コウモリとムカデの住みかで天井は鉄格子。陽はまったくあたらず、ひとかけらのパンとスープしかあたえられず、囚人たちは次々に死んでいく、暗黒の墓場だ。ムカデ、ゴキブリをスープに入れて、餓死寸前のところでパピヨンは二年の刑を終えることができた。サン・ローランに戻ったパピヨンは、ドガの助けを借りて、クルジオ(W・パーフリー)、ホモのマチュレット(R・デマン)と共に脱獄を試みた。クルジオは捕えられたものの、三人は遂に自由の世界に降りたった。ジャルグルでは、奇怪な刺青の男に救われ、さらに、ハンセン病患者の首領トゥーサン(A・ザーブ)にヨットを与えてもらい、コロンビアとおぼしき海岸にヨットをつけることができた。しかし、運悪くパトロール隊と遭遇し、パピヨンはジャングルに舞い込んだ。ドガは捕えられ、マチュレットは銃弾に倒れ、パピヨンもパトロール隊が放った原住民の執拗な追跡に逃げおおせず、毒矢を射られて断崖から激流に落下していった。意識を取り戻したパピヨンは、インディオ集落で手厚い看護を受けた。ゾライマ(R・アッサン)という美しい娘とのロマンスも芽ばえる平和なひとときだったが、酋長の胸に自分と同じ蝶の刺青を彫ってやった翌朝、インディオたちはパピヨンに大粒の真珠を残し、忽然と姿を消した。一たんは修道院に身をひそめたものの、院長の通告で捕えられ、パピヨンの苦難の逃走は失敗に終った。五年後、サン・ジョセフ島での狐独な独房生活から解放されたパピヨンの髪は真白になっていた。そして、悪魔島へ。この島では手錠も足枷もなかったが、周囲は断崖で激流とサメが押し寄せ、脱出はとうてい不可能だった。かつてフランス中を騒然とさせたドレフェスも、そしてドガもこの島に流されていた。ドガは、もはや祖国に帰る夢をなくし、孤独だが平和な日々に満足していた。だがパピヨンは違う。脱出のチャンスをうかがう彼は、試みにココナッツの実を海に投下し波の動きを調べる。そして、断崖の下の入江に押し寄せる波は七つあり、その七つ目の波に乗れば沖へ出られることを発見した。このパピヨンの脱出案にドガも心を動かされたが、ドタン場で決意が崩れた。抱きあって無言の別れを告げる二人。ココナッツの実をつめた包みを七つ目の波に落下させ、パピヨンは絶崖から身をひるがえした。見送るドガの眼には熱い涙がとめどもなく流れていた……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2025年2月号

COMING Old Pictures 旧作紹介:「パピヨン」マックィーンとホフマンが共闘した脱獄映画の傑作

2010年6月上旬号

午前十時の映画祭:「薔薇の名前」「パピヨン」

1975年2月下旬決算特別号

特別グラビア 読者のベスト・テン 外国映画:スティング/ペーパー・ムーン/映画に愛をこめて アメリカの夜/エクソシスト/叫びとささやき/フェリーニのアマルコルド/パピヨン/ジーザス・クライスト・スーパースター/燃えよドラゴン

1974年5月上旬号

映画批評:パピヨン

映画批評:パピヨン

1974年3月下旬号

外国映画紹介:パピヨン

1974年3月上旬号

グラビア:マックィーンとホフマン 「パピヨン」

ドルトン・トランボの「パピヨン」:荒海に浮かんだ蝶のイメージ

「パピヨン」のバックグラウンド:

特別分析研究:パピヨン

2025/03/28

2025/03/28

-点

映画館/東京都/下高井戸シネマ 
字幕

『パピヨン』(1973年、米・仏)。実話をもとに脚色しているらしい。それにしてもパピヨンの精神力には頭が下がる。何としでも生きようと言う気持ちが最後まで持続する。艱難辛苦の連続。独房から出てきたスティーヴ・マックイーンの窶れ具合は凄すぎ。X線管球は剥き出し、防護の概念はないようだ。

2025/02/15

2025/02/15

80点

映画館/東京都/立川 CINEMA CITY/TWO 
字幕


大人になる前に観たかった作品?!

友人のレビューを見て観てみた作品。スチーブ・マックイーンがかっこ良すぎる。ダスティン・ホフマンも上手すぎる!
何も考えない子どもの頃は(少し前?)、自ら働きかけるのが当たり前で、時が来るのを待つなんて考えられず、映画では、パピヨン的な思考だったけど、今では、ドガ的な思考もありだなぁという自分がいます。若い頃にこの作品に出会ってたら、どんな思考になっていたかを、観ながら思っていました。

2025/02/10

2025/02/10

50点

その他/TSUTAYADISCAS 
字幕


俳優たちの演技はいいが…。

1931年、パリ。胸に蝶の刺青を入れていることから “パピヨン”と呼ばれた男は、無実の罪で終身刑を言い渡され、フランス領ギアナの
悪魔島に送られる。周囲を海に囲まれたこの島は、脱出不可能な場所として知られ、囚人達は過酷な強制労働を科せられていた。絶望と死が支配する場所で、自由と希望を求めて足掻くパピヨンは、紙幣偽造の天才ドガと出会い、やがて奇妙な友情で結ばれていく。

うーん。なんかよく分からなかったな。
個々の俳優の演技は凄いが、言ってしまえばそれだけ。

パピヨンにしても、殺人は濡れ衣だとしても罪を犯してることは事実な訳でしょ?囚人たちの扱いは人権問題として酷いには違いないが、パピヨンたちに同情ましてや脱獄を応援する気持ちにはなれない。その辺が、例えば「ショーシャンクの空に」のような映画を観た時の心持ちとは違ってしまう。
脱走中のエピソードに不可解なものもあって頭がとっ散らかるし、何をどう見ていいのか最後まで分からなかった。

2025/02/05

2025/02/06

75点

映画館/東京都/東劇 
字幕


 もっと「ミッドナイトエキスプレス」のような極限の緊張感が漂う映画かと思っていましたが、意外と脱獄エンタテインメントという感じでした。まさかのマック爺さんまで見れて驚きました。実話だそうですが、脱獄を試みる人の根性はすごいです。
 脚本ドルトン・トランボ、音楽ジェリー・ゴールドスミス。

2025/02/01

2025/02/02

78点

映画館/東京都/シネマート新宿 
字幕


シネマート新宿にて4Kスクリーン鑑賞

テレビで見るのとスクリーンで見るのではやはり迫力が段違い。評価アップします。
ただ、マックイーンの老けてしょぼくれた姿は見たくないし、この作品でジャングルの撮影が嫌になって地獄の黙示録出なかったんだとしたらよっぽど本作スキップしてウィラード大尉役やってほしかった、、

2025/02/01

2025/02/02

-点

映画館/東京都/立川 CINEMA CITY/TWO 
字幕


この物語は今も

昨年、アラン・ドロンが亡くなってちょっとあの美形を見返したいなと思い先日、メルビルの『サムライ』なんか見てみたけどやっぱりいい。惚れ惚れする。長い銀幕の歴史の中で色褪せない俳優はいるものだし、その俳優にピッタリの名作というものはある。その代表と言えるのがスティーブ・マックイーンと『パピヨン』。

『パピヨン』と言えばテレビの洋画劇場だ。初見を含め子どもの頃から繰り返し見てきた。吹き替えでないパピヨンを見たのはそうとう大人になってから。初めてスクリーンで見た時は「こんなに長かったっけ?」と。吹き替えとカット版がスタンダードになってたから。

何よりスティーブ・マックイーンの運命に抗しようとする不屈の演技が素晴らしい。国家、司法、看守、闇商人、そして神に仕えるものとしての聖者。あらゆるものに裏切られても自由を求める信念を変えない男を演じている。最後はこの監獄島を取り巻く自然に拒まれてもなお挑み続ける。2年間の過酷な独房生活から生還後も、再び収監され5年間の拘束。老けのメイク、身のこなしにもあらためて驚きを持って見てた。ドガ役のダスティン・ホフマンの演技も負けていないと思う。国債など偽造で貯めた資金を背景に特権的な囚人意識がパピヨンの男気に触れ、何より彼との友情を大切に考える男に変わってゆく。彼の境遇も同じく過酷ではあるが立ち居振る舞いがどことなくコミカルなぎこちなさを湛えている。これは、ホフマンにしかできない演技。作品にこの二人をキャスティングできた時点でほぼほぼ成功といえる。

ただ今回、マックイーン、ホフマンの演技の素晴らしさだけを感じたわけではない。この物語ではパピヨンの境遇、不撓不屈の精神力にあの袴田巌さんの不安と苦しみに耐え、その生きる力、その闘志を重ね合わせて見ざるを得なかった。どこかの物語は今も社会のあちこちに現実として存在する。