叫びとささやき

さけびとささやき|Viskningar Och Rop|----

叫びとささやき

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レビューの数

46

平均評点

75.4(184人)

観たひと

262

観たいひと

32

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 スウェーデン
製作年 1972
公開年月日 1974/1/19
上映時間 91分
製作会社 スヴェンスク・フィルム
配給 東和
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

前世紀末のスウェーデンの大邸宅を舞台に、四人の女性たちの時間の流れの中で各人の心底にひそむ愛、孤独、性、死の断片をえぐる。監督は「ペルソナ」のイングマール・ベルイマン、撮影はスヴェン・ニクヴィスト、編集はシブ・ラングレン、美術はマリク・ボスが各々担当。音楽はシャーリ・ラレテイ演奏のショパン作曲「マズルカ・イ短調/作品17-4」とピエール・フルニエ演奏のバッハ作曲「組曲第五番ハ短調よりサラバンド」を使用。なおこれはわが国で公開されたベルイマン作品の中で初めてのカラー作品。出演はイングリッド・チューリン、ハリエット・アンデルソン、リヴ・ウルマン、カリ・シルバン、ヨールイ・オーリン、ヘニング・モリッツェン、エルランド・ヨセフソン、アンデルス・エクなど。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

スウェーデンのある地方に“お城”と呼ばれる大邸宅があった。時は十九世紀から二十世紀に移る頃の秋である。広々とした屋敷には三七歳になるアグネス(H・アンデルソン)が、召使いのアンナ(K・シルバン)とともに、両親が死んで以来、ここに取り残されたようにひっそりと暮していた。彼女の人生に男性が現われたことは一度もなく、今は、病んでいた子宮ガンが急に悪化したためベッドに臥せていた。そのアグネスの見舞いに姉のカーリン(I・チューリン)と妹のマリア(L・ウルマン)が駈けつけてきた。カーリンは既に二十歳にならぬうちに二十歳年上の優秀な外交官フレドリック(G・オーリン)と結婚しており、五人の子供がいたが、結婚後すぐ自分の選択の失敗を悟っていた。子供たちには母親らしい愛情を抱いて接したことがなく、夫に対するどうしようもない軽蔑と人生に対する敵意を抱いていたが、世間には貞淑な妻と見せかけていた。末の妹マリアも成功した商人ヨアキム(H・モリッツェン)と結婚しており、五歳になる子供がいたが、彼女自身大きな子供のようなもので、美しくして人眼をひくことにしか関心を示さなかった。召使いのアンナは三十歳ぐらいの健康で素朴な田舎女だった。若い頃に生んだ子供は三歳で死亡し、以後アグネスに献身的に仕え、二人の間には主人と召使いという以上の親しいつながりがあった。暁方、アグネスの容態が急に重くなり、そのまま息を引きとった。カーリンとマリアは、もがき苦しみつつ死んだアグネスの手足を見苦しくなく揃え、手に花を持たせてやった。その夜、牧師の祈りの言葉がカーリンに暗い思い出を呼び起こさせた。夫との心の通わぬ夕食のとき、ワイングラスを壊した彼女は、その破片を手もとに取っておきネグリジェに着かえてから、それを歓びのない自分の性器深く突き刺した。彼女はベッドに横たわり、血まみれの肉体をひらいて夫を見すえた……。カーリンとマリアがアグネスの日記を読むと、そこには友情や神の恵みについての言葉があふれていた。苦しみの中で、彼女がそれを心から感じていたのか、それともそれらの事柄に飢えていたのか、二人には判らない。二人は自分たちの冷たい空気について話し合い、カーリンは率直にマリアへの憎しみを口に出し、許しを乞う。そのとき、アンナが子供のような泣き声を聞きつける。その泣き声はアグネスだった。アグネスはまずカーリンに救いを求めるが、彼女はアグネスを愛していないからといって冷たく去っていく。マリアはアグネスを見棄てないというがやはり自分のことしか考えていない。アグネスは最後にアンナに添寝されながら、母親に甘えるようにアンナの膝に頭をもたれて永遠の安息の時をもつのだった……。葬式がすむと、カーリンとマリアは冷え冷えと一族再会を約束して、右と左に別れていく。唯一人、後に残されたアンナは形見にもらったアグネスの日記を読み返す。「姉妹三人が昔のように集まったので、久しぶりにそろって庭を散歩する。明るい日光、明るい笑い。世界中でいちばん近くにいてほしい人が、皆私のそばにいてくれる。わずか数分間のたわむれだが、私にとっては楽しかった。人生に感謝しよう。人生は私に多くのものをあたえてくれた」。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1975年2月下旬決算特別号

特別グラビア 外国映画ベスト・テン:フェリーニのアマルコルド/叫びとささやき/映画に愛をこめて アメリカの夜/スティング/ペーパー・ムーン/ブルジョワジーの秘かな愉しみ/ジーザス・クライスト・スーパースター/黒い砂漠/デリンジャー/エクソシスト

特別グラビア 読者のベスト・テン 外国映画:スティング/ペーパー・ムーン/映画に愛をこめて アメリカの夜/エクソシスト/叫びとささやき/フェリーニのアマルコルド/パピヨン/ジーザス・クライスト・スーパースター/燃えよドラゴン

1974年2月下旬号

外国映画紹介:叫びとささやき

1974年1月下旬正月特別号

「叫びとささやき」は演劇を内側から映画で見せた面白い芝居である:

1973年11月下旬号

グラビア:イングマル・ベルイマン 「叫びとささやき」

「叫びとささやき」研究1:「叫びとささやき」を讃美する

「叫びとささやき」研究2:「叫びとささやき」とベルイマン

シナリオ:叫びとささやき

2021/02/09

2021/02/09

30点

選択しない 
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醜悪

自己憐憫の掛け算。

2020/12/20

2020/12/20

81点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/PC 
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アグネスの幸福

ネタバレ

 アグネス(ハリエット・アンデルセン)は、結婚せず、子供もおらず、癌で激痛で苦しむが、姉妹を慕い、死んでからも姉妹を見守り、最も幸福のうちに亡くなる。

 それが、何でも満たされているように見える、姉のカーリン(イングリッドチューリン)も妹のアンナ(リヴ・ウルマン)も、夫婦関係が崩壊しており、空虚であり、アグネスと比べると皮肉だと思う。

 そして、アグネスが亡くなっていくまでの姉妹のやり取りが、まるで、母の子宮のような赤い部屋で展開され、男たちは、誰もがほとんど存在感がない。

 強烈だった。

 姉のカーリンは、ベルイマンの母と同じ名前で、ベルイマンの母を象徴しているとのことで、それも凄まじかった。

2020/12/08

2020/12/08

60点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/テレビ 
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2度目の観賞

初めて観た時は愛憎渦巻く人間関係と美しい画面のギャップを興味深く感じたのですが、今回は厳しく冷淡なセリフや人間関係に辟易しました。観る側の状態も影響するのかもしれません。ただ、ラストの美しさ優しさには癒されます。

2020/11/03

2020/11/08

90点

映画館/東京都/早稲田松竹 
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写実主義絵画の禅問答。

ネタバレ

映画は、冒頭から「不自然」をぶち込んできます。
過剰な時計音と赤い部屋。
鐘の音に合わせて切り替わるタイトルテロップ。
「姉と妹とアンナが看てくれる」と日記に書いた直後、姉と妹とアンナが真っ赤な部屋に真っ白な服で登場する(そのバシッと決まった構図の美しいこと)。

ベルイマンの映画って「不自然」なんですよ。
でも、その不自然さの向こうに人生の真理がある。真理って言うか、人間の根幹にある痛い所をえぐってくる。ガチなリアリティをぶつけてくるわけじゃないのに、人間の嫌な面を見せてくる。

それに、「難解」なんだけど「奇怪」じゃないんです。
多様な解釈が可能だから難しいんです。分かるんだけど難しい。何が正解なんだか分からないから難しい。だって、それが「人生」だから。
まるで、ルネサンスや写実主義的な西洋画のような美しさを纏った「禅問答」。

次女が幼い頃、母と「触れる」エピソードがあります。
彼女はアンナと触れ合うことで一時の安息を得ます。そして死後、姉と妹に触れることを求めますが拒絶されます。
また、三女は長女との和解を求めますが、長女は「触らないで」と嫌がります。
一方、この映画には男女の触れ合いが描かれません。むしろ、夫や浮気相手の「触れてくれない」様を描写します。

「触れられない」コロナ禍でこの映画を観たのは、個人的には何かの因縁かもしれないとさえ思いました。

2020/10/20

2020/10/20

82点

レンタル/東京都/TSUTAYA/TSUTAYA 恵比寿ガーデンプレイス店 


愛のために死にかけている赤い家

ネタバレ

20世紀最後の巨匠ベルイマンの代表作。

本作で描かれるのは互いに相反しながらも根源では繋がっている切っても切れないもの。「叫びとささやき」「生と死」「情熱と冷酷」「愛と憎しみ」「赤と白」。

まず目を奪われるのはインパクトのある映像。壁から床、家具調度まで真っ赤な部屋の中で、静かに動き回る白い服の女たち。そして赤いベッドで真っ白なリネンに包まれて横たわる病気の女・・・。対照的な赤と白が、その家の特異さを物語る。その家で暮らす4人の女、理性的な長女、病気の次女、華やかな三女、地味なメイド。この4人の女たちの中にある様々な感情が、叫びとなり、ささやきとなり、我々をその世界へ誘っていくのだ。複雑な愛憎で今にもバラバラになろうとしている彼女たちを繋ぎとめているのは、死にかけた次女。彼女の肉体的な苦しみが残りの3人の心を優しくする。長女は、痛みをこらえる彼女の髪をとかし、三女は本を読んで聞かせる。そして母性愛の強いメイドは、まるでピカソの描く聖母のように、豊かな胸で彼女を抱きしめる。

彼女たち心の奥底に潜む歪んだ愛情。それは行き場を失った愛のしこり。長女には愛という情熱を拒む夫への、次女には幼い頃亡くした母への畏怖、三女には自分への愛が覚めてしまった愛人への、そしてメイドには幼くして亡くした自分の娘への・・・。亡霊のように4人の女たちに憑りついている「行くあてのない愛」のため、この赤い屋敷も死にかけているようだ。皮肉なことに、この家で一番「生命」に溢れていたのは、病身の次女。彼女は、肉体の苦しみを何とか乗り切って、生きよう、生きようともがく。夜毎の彼女の「叫び」は、この家に人間が住んでいるという唯一の証だったのだ。「理性」という仮面をつけて、家族の「ふり」をしていた姉妹たちは、次女の死によってついにバラバラになる。

長女と三女は互いの心に秘めていた愛憎を一気に吐露する。愛し合い、憎しみ合って、思いのたけをすべて吐き出すと、彼女たちは再び仮面をつけて、この家を去っていく。永久に・・・。残されたのは次女の悲しい生への想いだけか・・・。

最後に演者についてひとこと。長女役のイングリット・チューリンは、ベルイマン作品の常連だが、私のイメージはヴィスコンティ作品『地獄に墜ちた勇者ども』のマクベス夫人然とした、悪女のイメージ。あの時はグロテスクな妖艶さに圧倒された。しかし、今回の彼女はノーメイクに近い地味な外見で、女教師然とした理性的な女性を演じているが、その外見とは裏腹に、心の奥底には凄まじい愛への情熱が秘められている。肉体的な愛を受け入れない夫へのあてつけに、自分の性器をグラスの破片で傷つけ、あふれ出たその血を、唇に塗りたくるシーンは、鬼気迫る狂気の強烈な印象を残す。

全体的な裏寂れた雰囲気がチェーホフの『三人姉妹』を連想させるが、チェーホフの姉妹たちにはない、壮絶な愛憎を垣間見せる文学的な香りの高い作品だ。

2020/07/11

2020/07/14

87点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
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いろいろな女性の心理

いつも難解なベルイマンの有名作ですので、心して鑑賞しましたが、比較的普通に見られました。といっても、とてもアートな作りになっていました。冒頭が静止画の連続というのがまた目新しかったと思います。あとは、赤い家と白い衣装で作られた雰囲気が全体を支配しています。その中で、アングネスの異様な呻きが印象的でした。物語の方は、三人姉妹とメイドのアンナの4人の女性の性格や感情が見どころと思います。

4人の女性の性格の絡み合いを軸に物語は進行していきますが、長女のカーリンは女性の心の欺瞞を見抜きつつ、それをあえて指摘せずにはいられない女性。次女のアングネスは、自分に愛情が注がれていると感じたことはまれで、いつも愛に飢えている女性。三女は現実的で、感情を利己的に使い分けていく世渡り上手な女性、そしてアンナは聖母のような慈愛を持つ女性といったところでしょうか。それぞれの性格が、女性の持つ類型的な性格の一側面のように思えてきて、一人の女性の心の中の葛藤を見ているようも見えてきました。

女性の中の心の葛藤が、類型的な4人で展開され、そして社会へと敷衍されていくような、広がりを感じる映画というのが感想です。そして、最後の日記を読むシーンから展開される4人が仲良く遊ぶシーンで、抑圧された心が一気に解放され、感動を呼びました。赤の基調も無くなり、神話のような世界。アングネスは今天国でこのような光景の中にいるのではないかと思います。印象的な映像と演技、そして、うまく構成されたストーリー展開をもつ、素晴らしい映画だと思いました。