ライアンの娘

らいあんのむすめ|Ryan's Daughter|Ryan's Daughter

ライアンの娘

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レビューの数

41

平均評点

78.0(177人)

観たひと

254

観たいひと

25

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 イギリス
製作年 1970
公開年月日 1971/4/24
上映時間 195分
製作会社 ファラウェイ・プロ
配給 MGM
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 70mmワイド(1.2.20)
上映フォーマット 70mm
メディアタイプ フィルム
音声 6chステレオ

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

反英世相高まるアイルランドの寒村を舞台に、不倫の恋に燃える人妻の業を描く。製作はアンソニー・ハヴェロック・アラン、監督は「アラビアのロレンス」「ドクトル・ジバゴ」のデイヴィッド・リーンで、他のオリジナル脚本のロバート・ボルトや撮影のフレデリック・A・ヤング、音楽のモーリス・ジャール、編集のノーマン・サベージ等は両作品の時と同じスタッフである。出演は「秘密の儀式」のロバート・ミッチャム、「遥かなる戦場」のトレヴァー・ハワード、「召使」のサラ・マイルズ、「さよならを言わないで」のクリストファー・ジョーンズ、「ふたりだけの窓」のジョン・ミルズ、その他レオ・マッカーン、バリー・フォスターなど。メトロカラー、スーパー・パナビジョン七〇ミリ。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

一九一六年、反英蜂起が失敗して間もないアイルランドでは独立運動の戦士達がドイツから武器を密輸入して再び蜂起せんとしていた。ダブリンから大平洋海岸の寒村キラリーへ帰って来た教師チャールズ(R・ミッチャム)はロージー・ライアン(S・マイルズ)の迎えを受ける。彼はかねがね彼女を愛していた。しかし、年齢や男やもめの身を考え心を押さえていたのだったが、彼女の激しい愛情に迎えられては、日頃のたしなみも忘れて応ぜずにいれなかった。これを見ていた村の変わり者マイケル(J・ミルズ)は人知れずロージーを愛していたので言いようのない寂しさに襲われる。二人はコリンズ神父(T・ハワード)の手で結婚式を挙げ、ロージーの父トム(L・マッカーン)は盛大なパーティーを催した。人々の祝福にもかかわらず、彼等の結婚は初夜からつまずいた。チャールズは新妻の激しい求愛についていけなかったのだ。他の点では申し分ない夫だけにロージーの悲しみは大きく、それを紛らわすかのように忙しく立ち働くのだったが、コリンズ神父に感付かれ、その物足りなさを告白してしまう。そしてチャールズと正面衝突してしまう。そんな彼女の前に第一次大戦で足を負傷した戦士ランドルフ(C・ジョーンズ)がキラリーに近い英軍守備隊の指揮官として赴任してきた。足が悪く惨めな思いをしていたマイケルは喜び、彼と接近する。或る日、ランドルフはロージーの働く居酒屋に入り、突然、戦場後遺症の痙攣に襲われる。ロージーはかいがいしく介抱した。戦争で傷ついた心と満たされぬ心が相寄り彼等は木立の中の陽当りの良い場所で愛し合う。マイケルが見ていた。チャールズは帰って来た妻の衣服の乱れに気付き、問い質すが妻は欺き通した。ロージーの不義は続いた。チャールズは妻の態度の変化に不信を抱くが、不貞の行為など考えてもみなかった。が、来るべき時が来た。生徒を連れて浜に出た時、二人の足跡が岸の洞窟を往復していたのだ。彼は深い苦しみに襲われ、自分はロージーに相応しいかを自問する。同じく洞窟の中でランドルフのボタンを見つけたマイケルは、独特の突飛な方法で、この不倫な関係を吹聴して廻った。ロージーは姦婦として村人の視線を浴びる。一ヶ月後、独立運動の闘士ティム(B・フォスター)は同志と共に武器を積んでキラリー沖に着くが、海は猛烈なしけで、ロージーの父ライアンの力をかりて陸上輸送に切り替える。だが、軍の前にランドルフの一隊が立ちはだかり、失敗してしまう。密告は僅かな金につられたライアンだった。この事件は、ランドルフへの村人の憎悪を燃え立たせた。ここに赴任して来て、落ち着いたかにみえた彼の心のバランスは、崩れ出す。そして、ロージーとの情事をチャールズに見られてしまった。忍耐強いチャールズも流石に我慢ならず、悶々とした心を抱き、二日も家に帰らなかった。小さな村のことで彼の動向は皆の注視を集めた。ロージーも日頃は温厚な彼を思うと気持も察せられ心が痛んだ。村人達はティム等を裏切ったのはロージーに違いないと至極、常識的に判断し、彼女をリンチ裁判にかける。彼女は父の犯行だと判っていたが自ら罪をかぶる覚悟を決めた。着物を剥がれ、頭をそられるロージーを見てチャールズが庇い身代わりとなり、リンチを受ける。が、コリンズ神父が現われて蛮行は中止させられた。あくる日、海岸をうろついていたマイケルは、一人しゃがみこんで海を見つめるランドルフを見付けた。彼は再び、ロージーを知る以前の男--西部戦線の亡霊--に戻っていた。そして自殺して果てた。一方、ロージーから身を引こうと決心しつつもチャールズの、彼女に対する愛は変わらなかったが、破局はとうに来ていた。二人はいまわしい村人達の視線を欺く為、仲の良い夫婦を装って村を去ろうとしていた。が、装いが装いでなくなる日は、さ程、遠からぬことであるに違いない。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2006年5月上旬号

DVDコレクション:第254回「ライアンの娘」

1972年2月上旬決算特別号

特別グラビア 外国映画ベスト・テン:ベニスに死す/ライアンの娘/小さな巨人/わが青春のフロレンス/バニシング・ポイント/屋根の上のバイオリン弾き/哀しみのトリスターナ/ファイブ・イージー・ピーセス/告白/ボクサー

1971年6月上旬号

今号の問題作 2:ライアンの娘

1971年4月上旬春の特別号

巻頭論文 「ライアンの娘」とデビッド・リーン映画が描く愛の激情:

1971年1月下旬正月特別号

特別グラビア:デビッド・リーンの新作 「ライアンの娘」

外国映画紹介:ライアンの娘

2025/08/05

2025/08/05

84点

選択しない 


絵画の様な美しさ

デヴィッド・リーン監督の壮大な愛の映画で、フレデリック・A・ヤングによる撮影が素晴らしくアイルランドの海岸沿いやその他、風景描写が絵画の様に構図が決まって美しい。その自然の美しさと対比する様に人間の醜悪さも描かれる。ライアンの父親の弱さ、狡さや裏切り者扱いのロージーと夫へのリンチをする街の人々の怖さなど、単なるメロドラマに留まらない。性的に弱い夫をタフ・ガイのイメージのロバート・ミッチャムが演じるののは珍しく新鮮。ジョン・ミルズは本当に精神薄弱者の様で凄い。

2025/02/09

2025/02/09

-点

選択しない 
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アイルランドが舞台ということで、海岸やパブの雰囲気から2年前に公開されたイニシェリン島の精霊の世界を思い出した。群衆の怖さを感じる。

2021/09/08

77点

レンタル/新潟県/TSUTAYA/蔦屋 白根店/DVD 
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【美しい一幅の絵画】

冒頭[日の出]の圧倒的美しさに早速心奪われるのを手始めに、全編美しい一幅の絵画の如し画が次々に展開。崖、浜辺、森…、超遠景で捉えられた画は 自然の底知れぬ力を十二分に伝えると共に、そこで織り成される人の愚かさ・卑小さを見事に際立たせている。
だが人を卑下するだけでなく「愚かな点も含め人は美しく愛おしい」といった温かい眼差しが素晴らしい。

本物の猛嵐下での撮影敢行等 異常とも思える撮影レベルの高さは監督の[執念・狂気]が感じられ戦慄する。

[浜辺飛ぶ日傘]といった作品を印象付ける象徴的[画]が多数織り込まれている事も 物語を深く心に刻み込む。




《DVD観賞》

2020/12/01

2020/12/02

85点

購入/DVD 
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すべてが見事な映画。反イギリスの機運で揺れるアイルランドの寒村。自分は何を求めているのか空をつかむような日々を送っていた娘が、憧れの教師と結婚して平穏な日常に身を持て余す。イギリスの将校との許されない逢瀬に溺れながら誠実な夫の振る舞いに戸惑う。革命戦士が村を訪れてドラマがさらに動き出す。村はずれにバスが停まる度に変化していく構成の巧みなこと。恐ろしいほど美しい自然。何もかもが素晴らしい映画らしい映画。

2020/05/18

2020/05/20

70点

購入/DVD 
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大学生時代に見た作品

KEIと行ったと思う。KEI の好きだった映画、男の私には女の不倫が許せなかった。2時間以上に亘るメイキング他を見ていると物凄い金と時間をかけています。

2020/03/05

2020/03/05

78点

レンタル/東京都/TSUTAYA 
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壮大な自然と野性的な人々

ライアンってアイルランドの典型的な名前なのかな。「Ryan Air」って格安航空が有名なのは、この映画にちなんだものなんだろうか。

この映画は巨匠(作る映画すべて大作という意味でも)デイヴィッド・リーンが力を込めて作ったもので、アイルランドの荒っぽくオープンな人々の普段の生活が描かれていて興味深いです。この映画も2時間半の長尺だけど、30分の連続ドラマ5回分という感じで、テンポが良いので冗長な感じは全然ありません。

ロバート・ミッチャムが…この眠そうな目元は、「LOVE」と「HATE」と指に描いた彼(「恐怖の岬」ですね)を見たときから、腹に何か隠し持った恐ろしい目元にしか見えなくなってしまったのですが、この映画ではあくまでも誠実で妻にとことん愛情を注ぐ男です。疑っちゃいけません。

それにしてもアイルランドの自然は圧倒するものがありますね。超高波が次々に打ち付ける断崖絶壁「モハーの断崖」の迫力といったら。いつか行ってみたいです。

イケメンでデリケートなランドルフも、軍人という責務を負って辛いものがありますね。道化役のマイケルもなにかの役目を負って生まれた者という運命を感じさせます。(スケリッグ・マイケルっていうこの先の美しい島は、スター・ウォーズでルーク・スカイウォーカー翁がこもっていた場所ですね、ああ憧れる)ジョン・ミルズ、名演です。

ライアンの娘、ロージーを演じるのはサラ・マイルズですが、ジュリエッタ・マシーナ(ジェルソミーナ)かと思った(英語なのに)。

村の人たちはマイケルを囲んで大笑いして楽しむ。推測だけでロージーを密告者と決めつけて集団でいじめて腹の底から笑う。「ガキの使い」みたいで、日本人に限らずどこでも人間ってじつに残酷で無邪気で、ここまでくるとこれも一つの人間のサガと捉えて、逃げるしかないんじゃないかという気がしてきます。なんともいえない気持ちになるけど、「親切でやさしい村の人たち」ではないところが、映画としては深みがあります。

アイルランド人って、民族的にはケルト、ゲルマンとか北方の人々で、イングランドと共通の部分が大きいのに、宗教がカトリックというところが、情緒が全面に出る気質と結びついてる気がします。イングランドのプロテスタントと対比しようとしてみたんだけど、よく調べたらイングランド国教会はプロテスタントではなくて、ローマと違う周波のカトリックなんですって?知りたいことがまだたくさんあるな…。

ああ、アイルランドまた行きたい。こんどはとことん全島回ってみたい。