バベットの晩餐会

ばべっとのばんさんかい|Babettes gæstebud|Babette's Feast Babettes Goestebud

バベットの晩餐会

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レビューの数

81

平均評点

77.3(395人)

観たひと

637

観たいひと

53

(C)1987,A-S Panorama Film International.All Rights Reserved
  • KINENOTE Selection映画館で観る

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 デンマーク
製作年 1987
公開年月日 1989/2/18
上映時間 102分
製作会社 A-R・パノラマ・フィルム
配給 シネセゾン
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 ヨーロピアン・ビスタ(1:1.66)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビー

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

19世紀後半のデンマークを舞台に、質素な生活を送っているプロテスタントの村人たちとカトリックの国フランスからやってきたひとりの女性との出会いと当惑、そしてある晩餐会の一夜を描く。製作総指揮はユスツ・ベツァー、製作はボー・クリステンセン、アイザック・ディネーセンの小説の映画化で、監督・脚本は「性歴2000年」のガブリエル・アクセル、撮影はヘニング・クリスチャンセン、音楽はペア・ヌアゴーが担当。出演はステファーヌ・オードラン、ボディル・キェア、ビアギッテ・フェザースピールほか。88年度アカデミー外国語映画受賞作。2016年4月9日よりデジタル・リマスター版を上映(配給:コピアポア・フィルム)。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

19世紀後半、デンマークの辺境の小さな漁村に、厳格なプロテスタント牧師(ポウエル・ケアン)の美しい娘、マーチーネ(ヴィーベケ・ハストルプ)とフィリパ(ハンネ・ステンスゴー)は住んでいた。やがてマーチーネには謹慎中の若い士官ローレンス(グドマール・ヴィーヴェソン)が、フィリッパには休暇中の著名なオペラ歌手アシール・パパン(ジャン・フィリップ・ラフォン)がそれぞれ求愛するが、二人は父の仕事を生涯手伝ってゆく決心をし、歳月がたち父が亡くなった後も未婚のままその仕事を献身的に続けていた。そんなある嵐の夜、マーチーネ(ビアギッテ・フェザースピール)とフィリパ(ボディル・キェア)のもとにパパンからの紹介状を持ったバベットという女性(ステファーヌ・オードラン)が、訪ねてきた。パリ・コミューンで家族を失い亡命してきた彼女の、無給でよいから働かせてほしいという申し出に、二人は家政婦としてバベットを家におくことにした。やがて彼女は謎を秘めつつも一家になくてはならない一員となり、祖国フランスとのつながりはパリの友人に買ってもらっている宝くじのみであった。それから14年の月日が流れ父の弟子たちも年老いて、集会の昔からの不幸や嫉妬心によるいさかいの場となったことに心を痛めた姉妹は、父の生誕百周年の晩餐を行うことで皆の心を一つにしようと思いつく。そんな時バベットの宝くじが一万フラン当たり、バベットは晩餐会でフランス料理を作らせてほしいと頼む。姉妹は彼女の初めての頼みを聞いてやることにするが、数日後、彼女が運んできた料理の材料の贅沢さに、質素な生活を旨としてきた姉妹は天罰が下るのではと恐怖を抱くのだった。さて晩餐会の夜、将軍となったローレンス(ヤール・キューレ)も席を連ね、バベットの料理は次第に村人たちの心を解きほぐしてゆく。実はバベットは、コミューン以前「カフェ・アングレ」の女性シェフだったのである。そして晩餐の後パリへ帰るものと思っていたバベットが、この晩餐に一万フラン費やしたことに姉妹は驚くが、やがて今後もこの地に留まりたいというバベットの真意に思い至り、胸をつまらせるのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2016年4月下旬号

UPCOMING 新作紹介:「バベットの晩餐会 デジタル・リマスター版」

2010年10月上旬号

午前十時の映画祭:「眺めのいい部屋」「バベットの晩餐会」

1989年5月下旬号

外国映画紹介:バベットの晩餐会

1989年2月上旬号

外国映画批評:バベットの晩餐会

1989年1月下旬号

グラビア:バベットの晩餐会

特集 バベットの晩餐会:評論

特集 バベットの晩餐会:ディネセン論

1988年11月上旬号

試写室:バベットの晩餐会

2022/04/22

2022/05/05

80点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル 
字幕


19世紀後半、デンマークの小さな漁村。前半は、牧師が二人の娘を犠牲にしていて、それぞれの実らないロマンスが居た堪れなかった。牧師は自身の娘たちだけでなく、相手の幸せをも蔑ろにしすぎ。そして月日は流れ、老いた姉妹と暮らす家政婦のバベット。全体的に静かな映画ながら、村人たちが姉妹の料理を良く思ってなかったり、将軍と村人たちの会話が嚙み合ってなかったり、ちょっとした演出がコミカルで面白い。が、晩餐会に恐怖しかなかった姉妹と村人たちだけれど、口にする言葉とは裏腹な嘘を吐けない表情を見ると、いかにバベットの料理が美味しいかが分かる。とにかく美味しいものの前では、些細な仲違いは綺麗に霧散する。料理やワインに対する将軍のコメントが頼もしく、多幸感に溢れたラストが微笑ましい。

2022/04/29

2022/05/01

70点

テレビ 


デンマークの映画といえばトラウマになった「ダンサー・イン・ザ・ダーク」だけど、この映画もとても地味。バベットが本格的なフランス料理を作る場面は、なかなかグロテスクだった。料理を食べているときに感想を言ってはいけないことになっていたので、何も知らないスウェーデンの将軍が正直に料理を褒めても天気の話にもっていかれたりする場面は、クスリと笑えた。

2022/04/29

2022/04/30

80点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/テレビ 
字幕


まるでハマスホイの絵画を見ているようなデンマークの風景と人々の慎ましやかな暮らし。不便で貧しくて大変そうだけど、何故か観ているだけで心が満たされる気になる。一転して後半は豪華なフランス料理とワインの数々。諍いが絶えなかった村民の心も満たされていく。人間にとっていかに食が大事か。人は死後、天国に生前与えたものしか持って行けないってメッセージが心に染み込む感じ。

2022/04/29

93点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
字幕


天国に持っていけるのは、人に与えたものだけ

ネタバレ

とてもシンプルなストーリーだが、心の奥深くまで暖かくなるような見事な作品だった。
まさにバベットが一切の妥協を許さずに最高級フレンチで村人たちをもてなした、その精神が作品の隅々まで行き渡っているように感じた。
デンマークの貧しい村が舞台で、敬虔なクリスチャンであるマーチーネとフィリパは、信者たちに食事を振る舞うなどの慈善活動をしている。
貧しい身でありながら彼女らの家にはバベットという家政婦が住み込みで働いていた。
その理由は過去を遡って明かされる。
牧師の父と暮らす若きマーチーネとフィリパにはそれぞれに想いを寄せる男がいた。
マーチーネには若い士官であるローレンス、フィリパにはパリの有名な歌手であるアシール。
しかし彼らの恋は成就することなく時が過ぎ、二人の姉妹は神に仕えながら独身を貫いていた。
そんな彼女らの元に一人の女性が訪ねてくる。
それがバベットだった。
パリ・コミューンによって祖国を追われた彼女はアシールの紹介で二人を訪ねたのだった。
帰る場所を失った彼女は、無給で家政婦として働かせて貰うように姉妹に懇願する。
二人は彼女の境遇を哀れみ、彼女を雇う決心をする。
やりくり上手なバベットは料理の腕前も抜群で、やがて村でも一目置かれる存在になる。
月日は流れ、村の信者たちは年を取って気が短くなったこともあり、会合の席では諍いを繰り返すようになっていた。
そんな彼らの心を結び付けるために、マーチーネとフィリパは亡くなった父の生誕祭を祝う宴席を設けようとする。
そんな折、バベットに1万フランの宝くじが当たったという報せが入る。
今まで二人に頼みごとをしたことがない彼女は、生誕祭の晩餐でフレンチを出したい、費用は自分が出したいとお願いする。
彼女はフランスから様々な食材を取り寄せる。
ケージに入れられたウズラやウミガメ、ブルゴーニュの特級畑クロ・ド・ヴージョのワインなどなど。
その様子を見た姉妹がとんでもないゲテモノを食べさせられるのではないかと震え、夢でうなされる姿はおかしかった。
晩餐会にはかつてマーチーネに想いを寄せたローレンスも出席することになる。
正直彼がいなかったら村人の誰も、バベットの作るフレンチの真髄に気づくことはなかったのではないだろうか。
ヴーヴ・クリコのシャンパンをレモネードかしらと首をかしげながら飲む老婦人の姿が滑稽だった。
しかしやがてバベットの作る最高級のフレンチは、村人の心を解きほぐしていく。
彼女はパリの一流レストランのシェフだったのだ。
至高の芸術家が作品に一切の妥協を許さないように、彼女もまた客をもてなすために全てを捧げる。
彼女が手に入れた1万フランはすべてフレンチの食材に使ってしまったのだ。
「人があの世に持っていけるのは、人に与えたものだけだ」
姉妹はバベットの行為に感動し、「天国であなたは至高の芸術家になる。それが神の定めなのだ」と称える。
決して色彩豊かな映画ではないのだが、出来上がっていく料理が本当に美味しそうに見えた。
間違いなく記憶に残る名作だ。

2022/04/24

2022/04/27

70点

VOD/GyaO! 


美食の恩恵

本作は、前半で19世紀デンマークの寒村でプロテスタントの牧師とその娘である2人の美しい姉妹が父親を助けて村人へ質素で誠実な生活へ導く布教活動をしている。
その中で姉妹それぞれに恋する男たちの恋模様を描くが、いずれも恋は破れる。
それでも妹を愛したフランスの歌手パパンがパリコミューンで夫と息子を失って身寄りのないバベットを彼女らに託す。
バベットは寒村の流儀に従い、彼らの生活に溶け込んでいく。
ただ本来パリの名シェフであったバベットが、質素と言うよりまずそうな料理を少しでもおいしくと働かすエピソードが後半の晩餐会でのシーンで生きてくる。
後半くじに当たった1万フランを得たバベットに対して、父親を亡くしその遺志をついで教会を支える姉妹は、バベットがパリに帰ると思う。
一方で父親亡き後、信者同士が仲たがいすることも多くなり姉妹は信仰の大切さを再認識してもらうためと父親の生誕100年の晩餐会を企画する。
バベットは、休みをもらいパリに戻り、姉妹に了解をもらい晩餐会のための食材をそろえる。
生きたウミガメや鶉を見て、普段質素な食生活の姉妹や村民は当惑する。
挙句の果てウミガメの悪夢を見た姉は、村民と晩餐会の食事について話さずスルーしようと結託する。
晩餐会当日姉に失恋して奮起して出せした将軍もゲストとして出席する。
将軍を除いて普段食べたこともないフランス料理のフルコースに当初戸惑う村民と姉妹。
その料理のレベルの高さを熟知する将軍と村民の会話が頓珍漢で笑える。
料理が進むうちにその美味しさに村人たちも堪能し、仲たがいも解消していく。
晩餐会は大成功で、姉と将軍のかつてのロマンスもいい感じで終わる。
バベットは自分がかつてパリの名店でシェフをしていたことを明かし、くじで当たった1万フランをその晩餐会で材料費としてすべて使ったことを明かす。
姉妹は驚き、パリに帰ると思っていたバベットを心配するが、バベットは自分の家はここであるという温かいお金には代えられない感謝の気持ちと誠実な生活が彼女に根ずいていることに感動する。
それにしても姉妹を演じる役者が若い頃と老けた頃が逆になっているのは戸惑った。

2022/04/19

2022/04/21

93点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


料理がもたらす幸福感

 お恥ずかしい話から白状したい。本作は公開当時話題になり、アカデミー外国語映画賞も受賞した。見逃していたので、新聞のテレビ面で放送を知り、観ることにした。その時、はて、この映画は人形劇だったっけ? という疑問がわいた。何と、「バベット」を「パペット」と誤読していたのだ。新聞の活字を読むにもひと苦労という高齢者の悲哀を感じた。
 ヨーロッパ映画が公開されなくなって久しい。フランス映画を中心としたヨーロッパ映画が盛んに上映されていた頃でも、本作のようなデンマーク映画というのは珍しかったに違いない。自分もデンマーク映画は初めてだ。
 19世紀後半、フランスからデンマークに亡命してきたバベットが、漁村に住む老姉妹に住み込みの家政婦として、無給を条件に雇ってもらう。てっきりフランスに近いと思って改めて地図を見ると、ドイツの北に面するのでデンマークはフランスからはほど遠い。お隣は海を隔ててスェーデンだから、北欧に位置している。フランスとは言語はもちろんのこと、文化も違うし、カトリックのフランスに対し、デンマークはプロテスタントだ。おまけに老姉妹の亡父は牧師で、住民もみな敬虔なプロテスタント教徒だ。やっかいなことにならなきゃいいけどと思ったが、バベットは村に溶け込み、住民も彼女を暖かく受け入れる。
 フランスの友達が買ってくれる宝くじがパペットの楽しみだったが、ある時、大金を射止める。老姉妹の父の生誕記念日に晩餐会を提案し、高級食材を買い込み、腕によりをかけたフランス料理のフルコースを姉妹や住民らにふるまう。その料理を口にするうちに、住民らに変化が起きる。それまでいがみ合っていた住民らが互いに笑顔で接するようになる。おいしい料理は人間を幸せにすると、つくづく感じた。料理に幸せを感じない人間が戦争を起こすのだとも。
 バベットの正体が明らかにされるラストシーンもさわやかで、幸福感に包まれる。