自由の幻想

じゆうのげんそう|Le Fantome De La Liberte|----

自由の幻想

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レビューの数

22

平均評点

75.5(81人)

観たひと

131

観たいひと

14

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 フランス
製作年 1974
公開年月日 未公開
上映時間 0分
製作会社 セルジュ・シルベルマン・プロ
配給 東宝東和
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

非日常的なブラック・ユーモアの世界をオムニバス形式で描く。製作はセルジュ・シルベルマン、監督は「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」のルイス・ブニュエル、脚本はL・ブニュエルとジャン・クロード・カリエール、撮影はエドモン・リシャールが各々担当。出演はジャン・クロード・ブリアリ、モニカ・ヴィッティ、アドルフォ・チェリ、ジャン・ロシュフォール、パスカル・オードレ、ジュリアン・ベルトー、ミシェル・ピッコリ、ポール・フランクール、アドリアーナ・アスティ、エレーヌ・ペルドリエール、フランソワ・メーストル、ミレナ・ヴコティッチなど。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1808年、スペインの卜レド。ナポレオン占領下のここでは、抵抗するスペイン人が処刑される。「自由くたばれ!」という彼らの叫び--。現代のパリ。少女がある紳士より、絵葉書をもらい、母のフーコー夫人(モニカ・ヴィッティ)にそれを見せる。「いやらしい!」という夫人と夫のフーコー(ジャン・クロード・ブリアリ)は、やがて興奮していく。絵葉書は風景物だ。翌朝、フーコーは医者(アドルフォ・チェリ)の所へ、するとそこの看護婦(ミレナ・ヴコティッチ)が休暇を願っている。1泊2日の休みに彼女は父の家へ向かうが、途中、宿屋に1泊。主人(ポール・フランクール)の案内でチェック・インしたが、伯母(エレーヌ・ペルドリエール)と甥の恋人達や、マゾの男などの泊まる所だった。早朝、彼女は車で出発。同乗した教授(フランソワ・メーストル)は街で降りて、憲兵隊本部で講義する。訓練、事故発生等で生徒は減って2人だけ。「習俗の変化」と題し、教授は友人の家での出来事を話す。食事はトイレで、トイレはテーブルの前の椅子=便器で、というお話。講義を終え街へ出た2人の生徒=警官は、ルジャンドル(ジャン・ロシュフォール)をスピード違反で捕まえた。ルジャンドルはガンで、1人娘が行方不明。早速彼は娘をつれて警察へ行き、この娘が誘拐されたと訴える。すぐに捜査は開始され、ライフル乱射魔が捕まり、死刑を宣告されて釈放されてヒーローになった。ルジャンドルは警視総監(ジュリアン・ベルトー)に娘が発見されたと聞かされ、妻(パスカル・オードレ)のつれてきた娘と再会。総監はそれから墓地へ行き、死んだ妹(アドリアーナ・アスティ)の棺桶を開けようとして逮捕される。そして警察でもう1人の総監(ミシェル・ピッコリ)と対面、酒を飲む2人は、やがて動物園へ入ってくる。そして動物達にだぶって、あの「自由くたばれ!」の叫びがこだましてくる--。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1977年12月上旬号

外国映画批評:自由の幻想

外国映画紹介:自由の幻想

1977年11月下旬号

グラビア:「自由の幻想」

特集 「自由の幻想」:1 完全に自由な映画によるブルジョワ批判

特集 「自由の幻想」:2 子供部屋のブニュエル

特集 「自由の幻想」:分析採録

1977年11月上旬号

キネ旬試写室:自由の幻想

2022/05/21

2024/01/06

-点

映画館/神奈川県/川崎市アートセンター アルテリオ映像館 
字幕


ブニュエル無双

断片的なエピソードを連鎖的に繋げて一本の映画として貫いた挙句「くだばれ!自由」と笑い飛ばすブニュエル。
こんな巨匠の名のもとに無双としか思えない傍若無人な作劇が実に面白い。
そう何からしらの比喩なのか暗喩なのかわからないながらもブニュエルの映画は面白いのだ。
シュールだがまったくもって日常的。もはや無敵か。

2023/12/15

96点

購入/ブルーレイ 
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自由くたばれ!

ネタバレ

個人的にはルイス・ブニュエルの最高傑作であり、フランス映画史上でも他に類を見ない傑作だと思っている。
これまでもシュールレアリスムの芸術家として既成概念や美徳を打ち壊し、冒涜的とも取れる作品を数多く世に出してきたブニュエル。
今回の映画でも常識を覆すようなシークエンスが多々挿入されており、登場人物がリレーのようにバトンを繋ぐことによって物語が展開していくシュールなコメディになっている。
バトンは繋がっていくが、それぞれのエピソードに関係性はない。
ブルジョワな夫妻が様々な風景の移った絵ハガキを眺めながら卑猥だと顔をしかめたり、同じように裕福そうな人たちが慎ましく便座に座りながら談笑する傍ら、周りを憚りながら個室で食事を取ったり、目の前に本人がいるのに少女の捜索願が出されたりと、不条理なコメディの場面があれば、警視総監が死んだはずの妹から納骨堂で待っているという電話を受けるなど、『世にも奇妙な物語』を思わせるようなエピソードもある。 
また危篤の父を見舞うために急いでいたはずの看護師が宿屋で神父たちとトランプゲームをしていたり、死刑判決を受けたはずの殺人鬼が周りと握手をしながら堂々と法廷を出ていったりと、道徳を疑うような場面も。
脈絡がないようでいて、実はこの物語は最後に大きな輪で繋がっていることが分かる。
冒頭、ナポレオン軍に占領されたトレドで、反逆者たちは「自由くたばれ!」と叫び銃殺される。
そしてラストの動物園での学生運動の鎮圧場面でも「自由くたばれ!」の叫び声が聞こえ、銃声がこだまする。
まるで夢のようにブルジョワ夫妻の寝室に現れたダチョウが印象的だったが、ラストにも暴動の起きた動物園でダチョウの姿が映し出される。
その姿は暴動に無関心なようにも、どうして良いか分からず困惑しているようにも見える。 
檻から出されてもダチョウには自由はない。
人間にとっても本当の自由などあり得ないのかもしれない。

2023/07/16

2023/07/16

76点

選択しない 


非日常的日常の連続

風景の絵葉書を卑猥だと嫌悪&興奮、インモラルな宿泊客たち、トイレと食卓の反転、ライフル乱射犯への英雄視、誘拐されていない娘の捜査、警視総監の墓場荒らしなどなど・・・。意味や価値観が反転するエピソードの連続の面白さにハマってしまいました。まさにブニュエル感いっぱいの魅力ある映画でした。

2022/06/20

2022/06/20

70点

選択しない 


アイデアの玉手箱

流し見映画ではあったけど、発想力だよなぁってなる。
これを作品として残してることに意義がある。

2022/04/04

2022/05/05

75点

映画館/沖縄県/桜坂劇場ホール 
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何か意味がある・・・かもしれない

ルイス・ブニュエル監督のやりたい放題の映画というわけか。見知らぬ男に「絶対に大人にみせちゃダメ」と言われた写真数枚を手渡された少女。家に持ち帰り、両親がその写真を見る。まあ、イヤらしいというその写真は海外の名所を写した写真。みんなが集って座る椅子が便器などなど、ストーリーがまったくない、まったくわけがわからないエピソードの羅列だ。

こういう変な映画は私は好みなので、ブニュエルのイマジネーションを愉しむ映画として面白かった。オムニバス形式で前に出演した役者が次のエピソードに出て、全部がそれで繋いでいるが、各エピソードには何にも意味が無い・・・と思ったのだが、最初のエピソードで、フランス兵に銃殺されるスペイン兵が「自由よ、くたばれ」と叫ぶ場面がどうやらこの映画のテーマらしいと思った。

通常なら自由、バンザイになるところをくたばれ、と言う。自由なら、自由を否定することを言っても本人の自由だ、と言っているんじゃないか。
というように何かの主張があると思う作品だ。

それで連想するのはブニュエルがサルバトーレ・ダリと組んだ「アンダルシアの犬」である。「自由の幻想」と同様のシュールレアリズムの作品だ。短編で、サイレント映画だから、純粋に絵だけで勝負というところだが、「アンダルシアの犬」で描く各エピソードは各々まったく繋がりがないし、このエピソードの意味は・・・と言ってもホントに意味がない。

それが本作品でなにか意味らしきものを示したから、「アンダルシアの犬」から昇華したとも言えるが、意味らしいものを示している分、シュールレアリスムとしては不純物が混じったとも言える。「アンダルシアの犬」は純粋にシュールで、意味を考えても不毛なのだ。行き当たりばったりで描いているように見える。

映画として体裁を整えた分、不条理な世界が何か意味があるように思わせてはいけないんじゃないだろうか・・・と思ったりするのだが、そう言ったらお前に藝術もシュールレアリスムが判らないと言われそうだ。

まあ、その指摘は当たってるけど。

2022/01/02

2022/01/03

75点

購入/DVD 
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🎍夢で富士山、鷹、茄子をみたことなし。

ルイス・ブニュエル監督による、オムニバス風・不道徳・風刺・夢物語。
😴💭🗻🦅🍆・・・🗼🏟️🛕🚲🖼️🕷️・・・🛌🕒🐔・・・🍽️🚽・・・⛪🚬🥃・・・🔦⚰️📞・・・🎹👱‍♀️🔫👮‍♂️
パリの紳士(ジャン=クロード・ブリアリ)は、蜘蛛の標本を手に、対象は退屈だと呟く・・・。

(DVDパッケージの表スチールは、イタリア女優モニカ・ヴィティが眠る絵ぞらです。で、本作は、とりとめのない夢の話なんだろう。夢のシナリオはメチャクチャで、可笑しなことが起きるものだな・・・。)
(けっさくなのは、トイレは、大勢でにぎやかに、食事は個室ですます逆転コントですね・・・。)