ソ連の中学時代の夏休みの林間学級での少年少女たちの思い出を綴った作品です。
青春のいっときに起こった些細なようであるものの、彼らにとっては一大事である初恋に失恋、諍いと和解、といった出来事は、その小世界以外は彼らには無いに等しく、時間がたってしまえば、まるで麻疹のような通過儀式みたいに、舞台の準備などの様々な活動と並行して章分けして写し撮られています。
そしてラストでは、互いに反目しあっていた男子二人は命じられて牛乳の受け取りに行った帰り途で、殴り合いのけんかをしますが、その原因となっていたのは、好きな女子を巡っての思い込みという、まことにありがちなのは、国は異なれど世界のどこの若者にも共通した感心事だと思います。
そして、空に揚がる凧を全員そろって同じ方向を見上げるシーンは、最後の最後になって、初めて子供たちの中に一体感が生まれた事を示しているとみる事も出来そうですが、ソ連も、もはやがんじがらめの思想教育漬けの合宿の時代ではなくなってきているのを少し皮肉っているのかもしれません。