フランス軍中尉の女

ふらんすぐんちゅういのおんな|The French Lieutenant's Woman|The French Lieutenant's Woman

フランス軍中尉の女

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レビューの数

9

平均評点

70.5(65人)

観たひと

118

観たいひと

15

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ラブロマンス
製作国 イギリス
製作年 1981
公開年月日 1982/2/27
上映時間 123分
製作会社 パーラン・プロ
配給 ユナイト
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

英国ビクトリア朝時代に“フランス軍中尉の女”とさげすまれた一人の女性の愛の物語を現代の俳優が演じるという二重構造のラブ・ストーリー。製作はレオン・クロア、監督は「ドッグ・ソルジャー」のカレル・ライス。「コレクター」のジョン・ファウルズの原作を基に「恋」のハロルド・ピンターが脚色。撮影はフレディ・フランシス、音楽はカール・デイヴィス、編集はジョン・ブルーム、製作デザインはアシュトン・ゴートン、衣装はトム・ランドが各々担当。出演はメリル・ストリープ、ジェレミー・アイアンズ、レオ・マッカーン、リンジー・バクスター、ヒルトン・マクレー、ペーシャンス・コリアーなど。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1980年5月。英国ドーセット州ライム・レジスでアメリカ人女優アンナ(メリル・ストリープ)と英国の若手俳優マイク(ジェレミー・アイアンズ)が新作の撮影に入っていた。ビクトリア朝時代を舞台にした大恋愛映画である―時代は1876年。考古学研究のために、イングランド南西部の小さな漁村ライム・レジスに滞在中の考古学者チャールズ(ジェレミー・アイアンズ)は、地元の権力者の娘アーネスティナ(リンジー・バクスター)との結婚を決意した。彼女は、喜んでプロポーズを受けると、早速彼と共に海岸線へと散歩に出た。そして、荒波が吹きよせる埠頭の先端に人影を見るチャールズ。「あれがサラ・ウッドラフ(メリル・ストリープ)、フランス軍中尉の女よ」。アーネスティナが冷やかに言った。「気をつけて」思わず声をかけたチャールズに目を向けた黒マントの女サラは、蒼白で悲しみに沈んだ表情をしていた。その日から、チャールズの胸裏にサラのことが焼きついていった。一方、雇い主に死なれたサラは、厳格で知られるポートニー夫人(ペーシャンス・コリアー)のもとで働くことになった。やがて、化石の宝庫であるアンダークリフと呼ばれる場所でチャールズは再びサラを見かけた。そこは、サラにとって唯一の安らぎの場所だったのだ。初めて言葉を交わす2人。アンダークリフに来たことを内緒にして欲しいと告げて去るサラ。そして数日後、ポートニー夫人と共にアーネスティナを祝福するパーティーにやって来たサラは、チャールズに手紙を手渡し、その夜彼を墓地に誘い出した。そこで数日後にアンダークリフで会うことを約束したチャールズは彼女の行動を理解できないまま、医師グローガン(レオ・マッカーン)を訪問し、相談した。グローガンは、単に孤独を楽しんでいるサラの愛の犠牲者にならぬようにと忠告した。翌日、アンダークリフで、フランス軍中尉との悲恋を告白したサラに、チャールズは愛しさを感じた。自分を抑えてサラには会わないと決意する彼だったが、サラがポートニー夫人に追い出され失踪したという知らせを聞いて動揺した。納屋にいる彼女を見つけ、ロンドンヘと逃がし、彼は彼女を追ってロンドンへ発った。町の宿で初めて結ばれる2人。そこでチャールズはサラが処女であったことを知り茫然とした。彼はライムに戻り婚約を破棄するとサラの元へと急いだ。しかし、すでに彼女はいなかった……。このドラマを演じているマイクは、実際アンナを愛しはじめており、時おり2人はベッドを共にしていた。しかし、2人は互いに結婚しており、現実に結ばれることは不可能だ。撮影がクライマックスに近づくにつれて、劇同様に心を傷めるマイク。そして、ハッピーエンドの結末で撮影が終わった日の夜、打ち上げパーティの最中、アンナは、マイクを1人残してその場を去るのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1982年4月上旬号

外国映画批評:フランス軍中尉の女

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1982年3月上旬号

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1982年1月下旬号

82年春の話題作 SPECIAL SELECTIONS:フランス軍中尉の女

2019/07/17

2019/07/18

50点

テレビ/有料放送/IMAGICA BS 
字幕


『フランス軍中尉の妾だという事になっていた女』の話。
悪女というわけでもなく、清廉潔白というわけでもないグレイな存在なので、そのモヤモヤ感が最後まで残る。
いっその事「全部アタシが仕組んだ事なの。ワハハハハ!」というブラックな女の方がスッキリするし、最後の方の告白の「あの時は、そういう心境だったのです」みたいな言い訳は好きじゃないなぁ。
この作品、劇中劇のスタイルで現実とお芝居が同時進行するスタイルは斬新で成功していると思う。
ただし、絶世の美女というわけでもないメリル・ストリープに、ジェレミー・アイアンズの学者が若い婚約者とその親の財産を放棄してまでホレ込むのは無理矢理感を感じてしまうが。これは個人の好みだけど(笑)

1982/03/15

2019/04/06

70点

映画館 
字幕


瑞々しい風景描写

現実と虚構がミステリアスに交錯する二つの恋の成り行きに引き込まれる。ただ、M・ストリープとJ・アイアンズが個人的趣味嗜好に合わない上に、メロドラマの主役としてはイマイチ艶っぽさに欠ける気がしなくもなくのこの点数。ともあれ、画面に深い余情を醸し出すラストショットとともに、イングランドのウェットな空気感を見事に捉えた瑞々しい風景描写が心に残る異色の文芸映画だった。

1982年

2017/07/02

75点

映画館 
字幕


単純なメロドラマかと思えば、

とんでもなく手強い文芸作でした。

メインストーリーは、19世紀ヴィクトリア朝時代、特異な一女性に恋した男の物語。謎めいた展開に翻弄され、突然の終幕に唖然とする。これに、この物語を映画化中の俳優たちの恋愛模様が絡む二重構造が、陰影の深い複雑な味わいをもたらしている。

下手すれば駄作になるところを、綱渡りのように渡り切った佳作です。しっかし、観客を選ぶ映画だなあ。

2016/09/25

2016/09/25

52点

テレビ/有料放送/IMAGICA BS 
字幕


「アメリカの夜」に「隣の女」と「アデルの恋の物語」の妄執をプラス

見終わっても幸せな気分になれない。「フランス軍中尉の女」という映画がまず面白くない。「アメリカの夜」の映画中映画「パメラ」もどうでもいいような映画だったけど監督やスタッフがもっとからんで盛り上げてた。これには監督も出てこないしカメラも録音も出てこず「フランス軍中尉の女」は完成された映画として進んでいき、現実の俳優としてのマイクとアンナが「フランス軍中尉の女」に侵入してくる。そこにしか面白さがない。二人で演技を確認しあうとこなんかすごくいいのだが。
「ヴィクトリア朝の既婚男性は週に2,4回、売春婦とfuckしてた」なんてマイクが言うのに意味あるの?終盤、顔を白粉で塗りたくった売春婦の無惨な姿を執拗に映し出すが、リチャードと宿に連れ立って入る売春婦はエルネスティーナだったよね。女はみんな売春婦だ、とでも言いたいのか?

1stシーンの「フランス軍中尉の女」のカチンコが出てメリル・ストリープが防波堤をずっと歩いて行き振り返るとこが一番いいかな。

「マディソン郡の橋」に続けて見たのでメリル・ストリープについて一言。とにかく苦手な女優だったが上手いし彼女の出演作は見ておく価値はあるとわかった。
ここでもヴィクトリア朝時代の抑圧された女性、マントで頭から全身を覆って波にさらされている姿の圧倒的存在感と、ショートカットのヘアスタイルで活動的な生き生きした女優との落差を存在として見せたことにこの映画の価値がある。
そこにしか、メリル・ストリープにしか見る意味はない。

2015/02/27

2015/03/02

75点

テレビ/有料放送 
字幕


魔法が解けたときに

役者が役にどっぷりつかって、現実と非現実の境がわからなくなっている。お互い惹かれあっていてもその役柄に好意を寄せているのであって本当の当人同士ではない。この魔法が解けたとき。。。
見ているほうもうっとりしてしまう、二人の様子に。俳優を奥さん、旦那さんに持つ人はたいへんだ。。。

2014/10/18

50点

選択しない 


本作を見ずしてメリル・ストリープは語れない

 原題は""The French Lieutenant's Woman""で邦題の意。ジョン・ファウルズの同名小説が原作。
『クレイマー、クレイマー』でアカデミー助演女優賞を受賞したメリル・ストリープが主演した次回作で、演技力が高く評価された。
 タイトルのフランス軍中尉は登場しない。不実なフランス軍中尉に振られたイギリス女(メリル・ストリープ)は、貴族の男(ジェレミー・アイアンズ)が事業家の娘と婚約したのを知って悲劇の女を演じ、男の気を引く。同情した男は女の罠にまんまと嵌って婚約者に隠れて女を追いかけ、遂に結ばれるが、世評や彼女の告白に反して処女だった。動転し、責任を感じた男は婚約を破棄し、女の許に向かうが、女は姿を消していた。婚約破棄の代償に爵位を剥奪され、身も心もボロボロになって彼女を捜し、3年後に彼女を発見する。
 以上は劇中劇で、主演の女優(ストリープ)と男優(アイアンズ)はロケ地で関係を結ぶが、二人とも既婚。劇中劇と並行して禁断の恋が進行するという二重構造で、二つの恋の物語はそれぞれにハッピーエンドとアンハッピーエンドを迎えるという凝った物語。
 本作の見どころは、魔性の女を演じるストリープに尽きるところがあって、劇中劇で二人が出会う埠頭のシーンで、嵐の中を振り返るストリープが何とも魅力的。本作を見ずして彼女を語ることはできない。
 ラストの打ち上げパーティで、ストリープを捜すアイアンズが、劇中劇同様に婚約者役のリンジー・バクスターに対して素っ気ないというのも、チェック・ポイント。バクスターはイギリス女優で、劇中劇で男に振られる演技も可憐。(キネ旬9位)