サクリファイス(1986)

さくりふぁいす|Offret/Sacrificatio|----

サクリファイス(1986)

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レビューの数

30

平均評点

74.4(184人)

観たひと

314

観たいひと

60

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 スウェーデン アメリカ フランス
製作年 1986
公開年月日 1987/4/25
上映時間 149分
製作会社 スヴェンスク・フィルム=アルゴス・フィルム
配給 フランス映画社
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

言葉を話せなかった少年が話せるようになるまでの1日を、その少年の父の行動を通して描く。製作はカティンカ・ファラゴー、エグゼキュティヴ・プロデューサーは、アンナ・レーナ・ウィボム、監督・脚本は「ノスタルジア」のアンドレイ・タルコフスキーで、これが彼の遺作(86年死去)となった。撮影はスヴェン・ニクヴィスト、音楽はJ・S・バッハ(マタイ受難曲BWV244第47曲)他スウェーデン民族音楽と海音道宗祖の法竹音楽 、美術はアンナ・アスプ、編集はタルコフスキーとミハウ・レシチロフスキーが担当。出演はエルランド・ヨセフソン、スーザン・フリートウッドほか。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

スウェーデンの南、バルト海をのぞむゴトランド島。誕生日を迎えたアレクサンデル(エルランド・ヨセフソン)が息子の少年(トミー・チェルクヴィスト)と枯れた松の木を植えている。かつて「白痴」のムイシキン公爵の役等で大成功をおさめた名優だったアレクサンデルは今は評論家、大学教授として島で静かに暮らしている。「昔、師の命を守って3年間、若い僧が水をやり続けると、枯木が甦った」という伝説を子供に語るアレクサンデル。そこに郵便夫オットー(アラン・エドヴァル)が祝電をもってやってくる。無神論者というアレクサンデルに、オットーは、ニーチェの永却回帰の話をもちだす。喉の手術をしたばかりの少年は、言葉が言えない。親友の医師ヴィクトル(スヴェン・ヴォルテル)を案内して妻のアデライデ(スーザン・フリートウッド)が来るが、アレクサンデルは子供との散歩を続け独白をくり返す。ヴィクトルのプレゼントのルブリョフのイコン画集にみとれるアレクサンデル。妻は、舞台の名声を捨てた夫に不満をもっている。娘のマルタ(フィリッパ・フランセン)も、小間使のジュリア(ヴァレリー・メレッス)も魔女と噂される召使いのマリア(グドルン・ギスラドッティル)も、夫婦の不仲には慣れている。急に姿が見えなくなった子供を探していたアレクサンデルは、突然失神する。白夜の戸外。アレクサンドルは、自分の家とそっくりな小さな家を見つける。通りかかったマリアが、自分で作ったのだという。子供は2階で眠っていた。アレクサンデルが階下へ降りると、テレビでは核戦争の非常事態発生のニュースを報じているが、途中で通信が途絶えた。電話も電気も通じない。パニックに陥る人々。いつも自分の願望とは逆な結果に終わってきたと嘆くアデライデ。子供に気を使う小間使のジュリアを、感謝の気持ちを込めて抱き寄せる彼女。アレクサンデルはヴィクトルのカバンの中にピストルをみつける。隣室ではヴィクトルを誘って服をぬぐマルタ。アレクサンデルの口から、初めて神への願いが発せられる。「愛する人々を救って下さい。家も、家族も、子供も、言葉もすべて捨てます」と誓う。ソファーに眠り込んだアレクサンデルをオットーが起こしにくる。そして彼は、マリアの家に行き愛せ、という。マリアを訪れたアレクサンデルは、彼女に母の思い出を話し、抱き合った。朝、目ざめたアレクサンデルは、光の中、神との契約を守るべく、自らを犠牲に捧げる儀式をはじめた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2015年6月上旬号

HAPPY TIME 見たいものひとりじめ!:再録『ストーカー』『サクリファイス』辻邦生、佐藤忠男

2015年3月上旬号

クロージング・タイムClosing Time 映画が終るとき:アンドレイ・タルコフスキー「サクリファイス」

1987年7月下旬号

外国映画紹介:サクリファイス

1987年5月下旬号

外国映画批評:サクリファイス

1987年4月下旬号

シナリオ:サクリファイス

1987年3月上旬号

グラビア:サクリファイス

特別企画 「サクリファイス」とアンドレイ・タルコフスキー:タルコフスキー論

特別企画 「サクリファイス」とアンドレイ・タルコフスキー:「サクリファイス」評論

1987年2月下旬決算特別号

試写室:サクリファイス

2022/01/12

2022/01/12

-点

選択しない 
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すぐ寝ちゃうので、二日間かけてやっと見終えた。ようやくタルコフスキー地獄はおしまい。明日からもう少しわかる映画を観よう。

2021/09/26

2021/09/26

88点

その他/録画BSプレミアム 
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タルコフスキーの遺作

ネタバレ

 タルコフスキーの遺作、何回目かだけれども、なかなか凄かった。

 途中でダウンし、ウトウトしてしまったが、家が燃えるシーンは圧巻だった。核戦争を止める、という主人公アレクサンドル(エルランド・ヨセフソン)の決意や覚悟を感じた。

 しかし、世界は元には戻ったのに、果たしてこれが事実なのか、主人公アレクサンドルの妄想とも言えるし、彼は精神病と言うことになってしまっている。

 そういう、他の誰にも理解されない苦しみもありながら、世界に訴えて行くような傑作であると思った。それは同時に、アンドレイ・タルコフスキーの遺言でもあると思う。
 
 役者は、ベルイマンの常連でもある、エルランド・ヨセフソン、アラン・エドヴァルが上手かった。

2021/02/04

2021/02/04

60点

レンタル/兵庫県/TSUTAYA/TSUTAYA 三木店/DVD 
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雪解け水の暖かさ。

2020/04/16

2020/04/17

30点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
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30 数年ぶりの再見。父と子の名作映画鑑賞会

タルコフスキーの愚作というか完ぺき失敗作。
長くても《アンドレイ・ルブリョフ》を見ればよかった。
▼核による破局までが長過ぎだし、あの長さ、描き方に意味を見出せない。
▼魔女とされた召使いのマリアと寝れば願い=世界を救う、が叶うというのが唐突過ぎる。
▼で、生贄として?家を焼く行為に至るのもわけがわからん。

エルランド・ヨセフソンは《ノスタルジア》では自らに火をつけたが、《サクリファイス》では家に火をつけたというだけ。

✖︎冒頭と終わりにマタイ受難曲”Erbarme dich, mein Gott”が長々と流されるが核戦争を始めておいて「お哀れみください、神よ」というのは間違ってるでしょ?
✖︎唯一絶対神に生贄を捧げて、なんとかしてもらおうという信仰者の姿勢が不快。絶対神なんだから子供だの羊だのはいらないはずでしょ?アブラハム、あんたは間違ってる!

この作品では水が美しく描かれていない。タルコフスキーのカラー作品では水がとても美しく描かれる。特に《ストーカー》《ノスタルジア》。だがここでの水は黒い灰や黒い残骸を浄める力は無い。放射能汚染は水では浄められない。ということなのだろう。だから正しい描き方ではある。

タルコフスキーはベルイマンをやりたかったのか?
夫アレクサンドルと妻の不仲、妻が医師ヴィクトルを愛しているとかの夫婦のごちゃごちゃなんかいらなかった。

宙に浮くというモチーフがこの作品ほど崇高さを感じないタルコフスキーはない。

良いとこも書いておこう。
冒頭の野原をアレクサンドルと子供がひたすら画面を右から左に移動する、そのドリー撮影からこちらが受け取る呼吸。
いつものタルコフスキーで素晴らしい。
子供はみんなから名前を呼ばれず、常に“子供”と呼ばれる。
あらゆる子供=未来と言いたいのだろう。ちょっと煩わしいというかわざとらしい。《長屋紳士録》の「坊主」「坊や」の方がずっと自然だし、ラストの浮浪児集団の映像でメッセージが強く伝わる。このタルコフスキー遺作ではエンドクレジットの後に『タルコフスキーの息子アンドリューシャに捧げる』と御大層にメッセージと共に子供の名前が使われる。
またダメな点になってしまった!
もう一つダメなとこ。
アレクサンドルの家でのヴィクトルとオットー達の会話。なんか思弁的、観念的で鬱陶しい。暗い家の中での会話、それが1時間ぐらい続く。ベルイマンじゃないんだからさぁ!
はじめの方の野原でのオットーとのやり取りで『願い続ければ云々』『毎日同じことを繰り返すと』というシンプルなメッセージの方がずっと強く伝わってくる。
残念なタルコフスキーの遺作でした。

2019/12/28

2019/12/28

80点

その他/録画BSプレミアム 
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並々ならぬ決意

ネタバレ

 素晴らしかった。
 
 最後に家が燃え上がるのが衝撃的であった。アレクサンデル(エルランド・ヨセフソン)が核戦争を止める代わりに犠牲を払うという所が痛々しく、しかし並々ならぬ決意を感じた。
  
 これはタルコフスキーの決意でもあるのだろう。
 
 演劇を観ている様で、違和感が無い訳ではないが、緊張感が持続し、どの場面も映像が素晴らしかった。特に“水”の映像は本当に美しかった。

  エルランド・ヨセフソンもオットーのアラン・エドヴァルも素晴らしかった。二人とも、イングマール・ベルイマン監督の「ファニーとアレクサンドル」に出ており、エルランド・ヨセフソンはベルイマンの常連で、私にはなじみがあった。

  タルコフスキーの作品はいつも眠くなる筈が、今回は全くそうならなかった。少しは理解できたのかもしれない。

2019/10/28

2019/10/28

80点

映画館/東京都/早稲田松竹 
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終末論から希望へ

前作ノスタルジアから更に終末論的なムードは強くなっていて核の恐怖に踏み込んでいます。荒唐無稽な形で救われますが、映画の始まりとラストがとても美しい。特にエンディングでタルコフスキーがテロップで語る確信と希望という言葉と子供の演技が大好きです。